そんな僕が好き

アディクションとかその他日常の事

ブログを書く「思い」というもの

2008-12-05 13:16:35 | アルコール依存症
直前の記事のコメント欄に書いた通り、自分の思いのたけを書こうと思ったわけですが、ブログの過去ログを読み返したら、いいたい事はほとんど書いてあったりしました。
書き直しも二度手間だし、たいした量はないのでリンクであげときます。

アルコール依存症は不治の病?その6と7の間:自己紹介
自助グループメンバーとしての私
雑感、飲む言い訳とカルト集団(笑)
雑感:ACと世代間伝播とアル症と

直前の記事にコメントしたさとるさんは、たぶんAAのメンバーなんでしょう(この点はYesもNoも言わなくていいですよ)。さとるさんにとってAAが一番で最高なのは当然ですし、そう思っていらっしゃるのであればそれは素晴らしい事で、AAとは直接関係のない私も喜ばしく感じます。またそう感じていないと回復が難しいと思います。さとるさんが飲まずに生きることが出来れば、それはそれだけで素晴らしい事だと思います、マジで。

ただ、ビルも言っているように「AAは最良でも唯一でもない」というのも事実です。少なくとも全ての人がAAで回復できるわけではないし、他のところでも回復している人も多いのは事実ですよね(日本だと特に断酒会ね)。

私が学んだ方法はアルコール依存症の治療を根本的に変える可能性を秘めていると考えています(もちろん激しい外れであるかもしれませんが)。アルコールで苦しむ人が助けを求めたときにAAがそこにあるようにするのがAAメンバーの責任なわけですよね。それとは少しニュアンスが違いますが、アルコール依存症の治療方法を模索する人に、この方法を目にする機会を作るのが俺の責任のような気がするわけです。
まあ、しかし正直全然届いていないんですけどね。関係者に手紙やメールで紹介した事があるのですが、当然総スカンだし。現状私が無理の無い範囲で出来る事としてはブログで公開し続ける事位でして.....非力を痛感しています。

さとるさんと私は本人と家族という違いはあれども、アルコール依存症という病気と向き合わざるを得ないという点では広い意味での仲間でもあるわけです。罵倒しあうというのもある種楽しい事ではあるのですが(実は相当楽しかったです)、今後の関係というものがあるのなら、できれば相互に少しでも理解し合おうという姿勢の会話が出来ればいいなと思うのであります。

追記:以下のように修正を入れた。
×「AAは最良でも最善でもない」
○「AAは最良でも唯一でもない」

アルコール依存症に関する間違った情報

2008-11-26 17:04:56 | アルコール依存症
↓ブログ、「夢は叶う、アルコホリズムについて」に関して
http://moment-being.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-4b3c.html
(↑当該記事は削除されましたので、リンクを削除しました。)

実は紹介したブログを書いているエリックさんという人とはミクシーで知り合いました。

何かのキーワードで検索してエリックさんの日記にたどり着いて、その足跡からエリックさんが私にマイミクにならないかと誘ってきたわけです。

エリックさんは紹介したブログと同じ内容を日記にアップしています。その日記を読んで明白な間違いがあったので、その点を強めに指摘しました。すると「意見が乖離していて論争になるのがいや」という理由で削除されました。

正直そういう人は好きではないのでマイミクを解除し、縁を切ることにしました。普通であればそれでお終いなのですが、上記ブログには事実と違う事が書かれ、しかもそれがアルコール依存症で医療を受けようとする人に対して害を与える恐れがあると考え、あえてブログで指摘させていただく事にしました。

>アルコホリズム(アルコール嗜癖障害症)は、肉体的な病気であり、
>精神的病気であり、霊的な病気であります。

>このことは、日本の社会、医学会においては殆ど理解されていません。
>ゆえに、アルコール嗜癖障害症の患者は増える一方です、政治も、
>マスコミも、経済界も、医学会も何の手も打てていません。

上記記述は誤りです。まず依存症の研究で有名な斉藤学氏は理解してます。
また医師で作家でもある「なだいなだ」氏も理解しているでしょう。なだいなだ氏は日本のアルコール医療の先駆者と言える存在で、アルコール医療に関わる人なら必ず氏の研究を見るはずです。
また、AAはその性格上医師との関係は弱いですが、断酒会はアルコール医療に関わる各地の医師によって広められた側面があります。

日本のアルコール医療は無理解でも低レベルでもありません。日本の通常のアルコール専門の医師にかかれば、きちんとした治療が行われます(まあ成功率は芳しくないけど、それは諸外国でも大差ないです)。

どうかアルコール依存症本人の方も家族の方も、日本の医療はダメだからと最初から諦めて診察を受けないというようなバカな真似はしないで下さい。まずは保健所に相談して、アルコール専門の医師を紹介してもらいましょう。

なお、エリックさんのブログで書かれているアルコールアレルギーですが、正直AA創立者の主治医が(第二次世界大戦の前に)そういう理論を述べていたというのは見たことがあるのですが、それ以外の場では見たことがありません。
どなたか、現在このアルコールアレルギー理論がどのように評価されているのかをご存知の方は教えていただけると幸いです。

なお、エリックさんは私と論争したくないそうですが、私もするつもりはありませんので、先方のブログにコメントはしません。
単純にアルコール依存症者に被害を与える恐れのある情報に対抗すべく、ブログを書いて先方にトラックバックを送るだけです。

追記:早!早速トラックバックを削除されました。時折チェックして削除されていたらトラックバックを送りなおす事にします。でもきっとトラックバック欄自体無くなりそうな気がしますが。
現在のトラックバックが削除された回数:4回
追記2:
当該記事のトラックバック欄が削除されたので、コメント欄に書き込む事にする。書き込む内容は
当該記事には誤った情報が含まれていて、これから治療を受けようとするアルコール依存症者に被害を与える恐れのあるので、トラックバックを送っていましたが、トラックバック欄がなくなったので、コメント欄に書き込みます。
誤りと思われる内容は
http://blog.goo.ne.jp/jiro_yu/e/25f62258616a909cd3e3242ad8f60f9d
に記載しました。
現在のコメント欄削除回数:0回
なお、当該記事のコメント欄が削除されたら、こちらも新たなエントリーを立て、他の記事にトラックバックなりコメントなりする予定。
追記3:ようやく当該記事が削除されました(ブログ自体は残ってる)。エリックさんが今後もブログでアルコール依存症に関する誤った事実関係を書く可能性がありますので、今後も定期的にチェックする予定です。

アルコール依存症の治療、その6:先祖への報告(一応最終回)

2008-10-31 14:27:51 | アルコール依存症
長らく放置したアルコール依存症の治療に関しての最終回です。

飲み方のレクチャーをしたら、最後は祖先に対し「報告」をするという習慣を実行します。

これは、母・妻の立場の人間が子・夫の一日の行動で良い面を祖先に対して報告する(以下「報告」と呼ぶ)という方法です。お酒を供えたのと同じように、仏壇に対してその日一日、夫や子供のよい面を声を出して報告します。

アルコール依存症になる人は、安全欲求に基く甘えが満たされず、それを何とか充足したいという渇望があります。それを普段は越行で埋めていて、その緊張緩和のために飲酒をし、かつ、飲酒に対する罪悪感がそれを悪いサイクルにしているわけです。

従って罪悪感を低減させると同時に、安全欲求に基く甘えを充足させる事が肝要になります。先祖に対する報告は二重拘束を外して母・妻の気持ちを真っ直ぐに夫に伝える事ができます。そして各種の未充足の欲求に基く甘えを充足することが可能なようです。

以上でアルコール依存症の治療の説明は一通り終わりです。

まあ、実際の運用ではたやすくはないのですが、特に本人に止める気が一向に見えないような場合のアプローチとしては特に有効ではないかと思います。

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結局親子の絆なんでしょうか

2008-09-24 13:20:11 | アルコール依存症
物質(アルコール・薬物等)やプロセス(買物とかギャンブル)依存はいずれも二次嗜癖であり、これらは一次嗜癖が根底にあって、それが様々な形で表出したものであるというのが、現在の依存症研究で考えられているモデルです。

一次依存というのは、人間関係依存であり、それらは大抵共依存という言葉で表現されます。
ACOA(アダルト チュルドレン オブ アルコホリック=アルコール依存症のある家庭に育った人)の世界ではこの受け継いだ人間関係依存をパラアルコホリック(擬似アルコール依存症)という言葉で表現してます(パラアルコホリック=共依存とはっきり書いてある文献もありました)。

世の中には生育暦とは無関係にアルコール依存症になる人もいるのかもしれないですが、それはここでは除外して、生育暦に問題があり、結果一次嗜癖の表出としてのアル中を発症する場合について考えると....結局は親子関係をどうするかに行き着くわけです。

このブログで述べているアルコール依存症の解決方法も行き着くところは親子のつながりをしっかり作り上げる(健康な家庭であれば自然とそうなる)事が最終目標です。その親子関係の結びつきを「子(アル中本人)」と「親」、「親」と「親の親」、「親の親」と「親の親の親」という具合に結びつける事により、一次嗜癖を解決するというのが基本です。

なぜ親だけでなく祖先とも結びつける必要があるかというと、嗜癖(アディクション)は世代間伝播する性質があるためです。だから自分(子)のアル中は父の影響であったり祖父の影響であったり曽祖父の影響であったりするわけで、解決には自分を成り立たせている祖先の影響に向かい合う必要があります。

子は親に似て、親は親の親に似て、以下連綿と続くわけで、ある意味自分の心というのは祖先の集合体と言える訳です。従って自分の中身と折り合いをつけるためには、父があるいは祖父が、あるいは曽祖父がどうして彼らなりの生き方をしたのかを知り、それを受け容れる事が必要です(知り、受け容れる事を「悟る」という)。

そのための方法論として子から親に対するアプローチが血筋正し(シジタダシ)、親から子に対するアプローチが御願(ウガン)です。シジタダシもウガンも沖縄の伝統的な祖先崇拝で実践されてきたやり方です。

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アルコール依存症の治療、その6:飲み方のレクチャー

2006-12-15 13:44:52 | アルコール依存症
さて、非常に長らく間があきましたが、いよいよアル症の話の続きです。

アル症治療の第一段階は飲酒の原因の説明です。かいつまむと、
 お酒を飲みたくなる原因は先祖(無意識)にお酒を飲み足りない(問題が解決されていない)人が、あなたの体を借りて(意識では認知されない無意識に突き動かされて)飲酒する

というものです。

こうした原因の説明は、罪悪感の低減に役立ちます。
余談ですが自助でも「アル症は風邪と同じように、病気である」というレクチャーをしますが、おそらくは罪悪感(自分がダメだから、意志が弱いから飲むのだ等)を低減することで飲酒圧力を低下させる効果を経験の中から学んだのでしょう。

次にお酒の飲み方をレクチャーします。
お酒の飲み方は、
「仏壇にお酒をお供えして、それを下げて飲む」
のが基本となります。

まず、普通は仏壇に悪いものは供えないでしょう。仏壇にお供えするのは良いもの、大切なものというのが常識です。
したがってそこにお酒を供えるのは、「お酒は悪いものではなく、祖先から自分の代わりに飲むように頼まれて飲んでいるものだ」という罪悪感低減の方向に働きます。

基本的には妻・母がお酒を供えます(お供えされてない場合は、本人が供えて下げて飲みます)。もともと近親者(妻・母等)に植え付けられた飲酒への罪悪感ですから、近親者がお酒を神聖なもののように扱う事でより効果的に罪悪感を低減させる事が出来ます。

また、アルコール依存症にしてもただの大酒のみにしても、もともとは「幼児がいつまでもタオルにしがみつくここを参照」事と同じ理屈です。つまり酒飲みにとってお酒はとても大切なものです。その大切なものを、仏壇にお供えするほど大事なものであるように扱えば、アル症本人にとってもとても嬉しい事です。

自分が大事にしているものを大事にしてくれる人に対しては、人間親近感や愛情や忠誠心が沸いてくるものです。アル症はもともと人間に対する依存が酒という物質に向かっているものです。これを人間に向けなおして、適切に依存させる(正しく甘えさせる)というのがアル症回復の鍵ですが、ここで培われる親近感・愛情・忠誠心等はそれを促進する効果があります。


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雑感:ACと世代間伝播とアル症と

2006-09-04 13:23:27 | アルコール依存症
またまた、アル症の事を書くのに飽きてきました(笑)

つーかですね、よくよく考えてみたら、アル症よりも先にACの話を書くべきではなかったのか、という気になって来ました。

前にも書きましたがACとは越行の病気であり、その原因は子供の頃を過ごした家庭にあります。
(越行の説明に関してはアルコール依存症は不治の病?その1その2その3その4あたりをごらん下さい)

で、 ACと呼ばれる人たちはアディクションの予備軍(あるいはすでに依存症本人)であります。実際にアル症や摂食障害、薬物、ギャンブル、買い物等の依存症の 根源的な原因は、家庭環境にあるという事はAC関係では常識として言われている事です。しかし、私の知っている範囲では、アル症の人はあまりそういう考え 方を受け入れない傾向があります。

このことを受け入れる入れないで断酒の成功率に差があるわけでもないでしょうし、個人的にはアル症の本 人がどう考えようとも飲まずに生きてれば(あるいは正常飲酒していれば)いいと考えているので、どうでもいいといえばどうでもいいんだろうけど、一つ気に なることがあります。それは前にも説明した世代間伝播の事です。

私も以前はAA等に通って断酒を成功させれば、アル症本人の子供の問題も 何とかなるかもしれないと思っていました(もちろん飲んでる親より断酒した親の方が10000倍マシですからこれだけでもすばらしい事と言えるでしょ う)。具体的に言うと、アル症本人がAAに、奥さんはアラノンに、子供たちはアラノンAC等に通う事で、最終的には世代間伝播を断ち切れるのではないかと 考えていました。

しかし、又吉氏の理論を読むにつれ、どうやらそれは無理らしいと考え始めています。でも、もしかしたらAAの方法で断ち 切れるのかもしれませんが、実証するにはあと200年位生き続けて、子孫の追跡調査が必要なんで実証は無理です(笑)。アル症は親子だけでなく、祖父孫と いう形で隔世で現れる事がままあるからです。

斉藤学氏をはじめ、アディクションの遺伝について指摘し研究している人は少しはいます。しかしこれらは単に「そういう事が原因としてある」という 認知の段階にとどまっていて、伝播を絶つためにはどうしたらいいか、そしてそれをどう治療に利用するかという方法論がありません。又吉氏の方法に近いと言 える内観療法にしても自分と親の関係までです。

しかしこの世代間伝播とそれが従来の手法では断ち切れないという事を言うと、子供のいるアル症の本人にはなかなか受け入れられないでしょうね。つーか激烈な反応があるでしょう。

しかしそれでもなお、子供そして子孫に対する禍根は出来れば自分の代で絶っておきたいと願う人の役に少しでも立てばと願いながら筆を進めるのでありました。

今日はまとまんねぇ~!けど、この世代間伝播を従来の方法では防げないというのは、胸にわだかまった事なんで少し吐き出させてもらいました。

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アルコール依存症の治療、その5:アル症の遺伝

2006-09-01 10:16:58 | アルコール依存症
前回はアル症治療の具体的な方法だけを記述しましたが、今回はその方法の中の飲む理由の解説をします。

「あなたの先祖で飲み足りなかった人がいる。死んだ人は肉体がないので、あなたの体を借りてお酒を飲みたがっている」

これだけを聞けばただのオカルトですが、こう言い換えるとどうでしょうか?

「アルコール依存症は遺伝する」

アル症の遺伝も眉唾に思われる方も多いでしょう。これはAC(アダルト・チュルドレン)の問題とつながって来るところなのですが、事実として親がアル症という家庭 に育った子供はアル症になりやすい(あるいはアル症の人と結婚する)傾向が見られます。またアル症本人も両親や祖父母がアル症である場合が多いようです。
いわば「親父みたいな酒飲みなどに、ならぬつもりがなっていた」というアレですね。

この現象は米国ではファミリーチェーンと呼ばれ、又吉氏はチヂウリ(継降り)という言葉をあてています。
チヂウリという言葉は沖縄で昔から使われている用語で、「先祖の誰かと同じ性格や運命を引き継いでいる状態」を指します。

アル症の「遺伝」は肉体的なもの(例えばアルコール分解酵素の有無等)も含まれると考えられますが、ここで論じるのは主に精神的な遺伝の話だとお考え下さい。

又吉氏の日本文化を基調とした心理学では、人間の心は自己(意識)と他者(無意識)から成り立つとされています。そして無意識は祖先の集合体であるとみなしています。

アル症は明らかに意識領域ではどうにも出来ない病気で、自分では認知できない無意識領域に原因があると考えられます。したがってその無意識領域(祖先)の中の「飲み足りない祖先」の事を供養(理解)することがアル症の治療には欠かせないのです。


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アルコール依存症の治療、その4:具体的な手順

2006-08-25 12:57:47 | アルコール依存症
さて、長い道のりでしたが(笑)ようやく具体的な治療法の説明にたどり着きました。

ここまで説明したことをまとめると、
○アルコール依存症の治療のためにはお酒に対する嫌悪感、飲酒にたいする罪悪感を払拭する必要がある。
○そしてそれはアル症本人と心理的一体化ができている(あるいはこれから一体化が強化できる可能性のある)母、妻によってしか払拭できない。
○しかし二重拘束があるために、「お酒は悪いものじゃないのよ、飲むことも悪くないのよ」という事をまっすぐに伝えることができない。
○そこで利用するのが神(祖先)である。

では、誤解を恐れず(笑)具体的な方法を書きます。

1:飲む理由を説明する
なぜ酒が欲しくなるのかという理由として、
「あなたの先祖で飲み足りなかった人がいる。死んだ人は肉体がないので、あなたの体を借りてお酒を飲みたがっている」
という説明をします。

2:飲み方を教える
したがってお酒を飲むときには、仏壇にお酒をお供えして、それを下げて飲むように条件をつける。そして飲むときには感謝して大事に飲むようにすることも同時にレクチャーする。

3:祖先に対し「報告」をする
母・妻の立場の人間が子・夫の一日の行動で良い面を祖先に対して報告する(以下「報告」と呼ぶ)。

以上の3つを「正しく」行うと約9ヶ月以内に33%の確率で、アル症の飲酒行動が改善します。

といっても、これだけでは何がなんだかわからないと思いますので、今後のエントリーで詳しく説明していきたいと思います。


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アルコール依存症の治療、その3:どうして他人が変えられるか?

2006-08-21 15:28:05 | アルコール依存症
「変えられるのは自分だけであり、他人を変える事は出来ない」
きっと依存症関係に少しでも関わった人であれば、耳にタコが出来るほど聞いた言葉でしょう。

しかし私が書いている又吉氏のアル症治療法はこの常識に反しています。実際の治療方法に関して論じる前に、まずは他者をどうして変える事が出来るのかの原理を説明します。

ちょっと汚い話になりますが、ご勘弁を。
ふと居眠りをした時に、涎(よだれ)をたらす事がありますよね。涎は唾液ですが、普段口の中には唾液があります。自分の口の中にある唾液は自分にとっては気持ち悪くありません。
涎を垂らして、「あ、いけない」とばかりに、まだ垂れかけている涎をすすり上げる事があります。これも(見たり聞いたり読んだりしているほうは気持ち悪いですが)本人にとっては気持ち悪くありません。
しかし、きれいなお皿の上に涎を垂らして、それを舐めようとしても、気持ち悪くて出来ないでしょう。

以上の点から、人間には自己から分離された瞬間に、物理的には何の違いもない(口中の唾液だろうが、皿の上だろうが唾液は唾液)ものでもそれを自己の一部ではなく、他者と認識するという心理的な働きがあると考えられます。

しかし恋人同士はどうでしょうか。チューやその他性行為の事を考えれば、他者としてはあり得ないような事を行うわけです(笑)。

実はこの「あり得ないこと」が行われるときには程度の差はあれ、自他区別の境界線が取っ払われています。つまり親密な人間関係においては他者と自己が一体になるような心理的な状態が発生するわけです。

自分のことは変えられるわけですから、自分と一体となっている他者も変えることができる、これが他者を変える原理の基本です。アルコール依存症を治す方法の基礎にはこの原理を利用しています。
したがって治療がうまくいくかどうかは、この一体化がどのくらい濃密に行われているかが鍵になります。
残念ながらアル症のような物質依存ではこの一体化が弱いため、成功率が低くなっています(3人に1人)。
逆にDVのような人間関係依存の場合は成功率が高くなります(約99%)。


ところで、アディクションの世界でも「人を変えることはできない」と言いながら、実は変えている(と私が思う)事例があります。
例 えば奥さんが夫のアル症について相談に来たら、その回答は「人は変えられない、あなたがあなた自身の回復の道を歩くしかない」というのが普通です。そして 妻がアラノンに通いはじめ自分自身の回復を目指すようになると、なぜか夫がAAに通うようになるという事があります。この事例は特殊なものではなく、かな り一般的に見られる事例です。
この事例はおそらく「人を変えられない」のではなく、「今のやり方では人は変えられない、しかし他の方法でなら変えられる」という事を指し示しているのではないでしょうか。

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いんちきなアルコール医療の専門家?

2006-08-08 13:01:56 | アルコール依存症

8/16追記
「返答がなかったのは出したメールがわかりにくかったのでは?」というご意見をいただき、メールを読み返したのですが、たしかに「回答を強要しない」という点を前面に出すあまり、返事がほしいのかほしくないのか、わかりにくくなっているものがあるの気がつきました。
したがって、返事がないのは私のメールの文面が拙いせいかもしれません。

先日夏風邪(らしい)で嘔吐と下痢が酷く、医者に行きました。
診察を受けた後、点滴され、薬を出されました。

その際私は、点滴された薬や処方された薬に関して、何の疑問もなく受け入れます。それは医者がきちんとした根拠に基づいた治療をしていると信じているからです。
普通の医療ではこれは当たり前のことでしょう。 しかしどうも、アルコール医療では違っているようです。

前のエントリーのAAには効果があるのかで書いたのですが、AAに効果が無いという批判が本当かどうか、あのエントリー以降も医療関係者にメールしてみました。問い合わせた数は10人以上。もちろん回答を強要しませんでしたが、とうとう一人も返事がありませんでした。

この状況からすると、日本のアルコール医療の専門家はAAに関し客観的に効果があるという資料を持っていないと考えざるを得ません。

しかしながら、同時に、ぜひともAAを治療の手段の一環として利用されている、アルコール医療関係者にAAの効果に関する根拠をお聞きしたく思います。
コメントでも結構ですし、メールでも結構です。
アドレスは
jiro_yu@
の後に
mail.goo.ne.jp
です。

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追記:8/9にちょっと文章の棘を丸く(笑)しました。