そんな僕が好き

アディクションとかその他日常の事

AAには効果があるのか?(カルト的マインドコントロールなのか)

2006-07-14 14:41:16 | アルコール依存症
実は最近更新がとまっていたのは、他所のブログでずっと議論に参加していたためというのが理由の一つとしてありました。

macska(マチカと読むらしい)さんとおっしゃる、フェミニズム運動に関わっておられる方のブログなのですが、「「無名のアルコール依存症者たち」のカルト的マインドコントロールというタイトルで記事を書かれています。

AAはカルト的なマインドコントロールをする集団であるというのも、承服し難いのではありますが、それよりもなによりも。
-引用開始-
では、このような問題のある AA などの12ステッププログラムだけれど、肝心なことはそれが効くのかどうかだろう。はっきり言うと、効かない。というか、大規模な調査がこれまで何度か実施されたけれども、そのどれを見ても AA は効果がない(断酒に成功する確率が、何の治療も受けなかった場合と何ら変わらない)か、もしくはいま存在する治療法のうち効果が最低という結論になっている。
-引用終了-
という事が述べられていて、論拠の論文をいくつか提示してあります。

論文は英語なので、もちろん読めません(笑)がmacskaさんが書いている事が正しいとすると斎藤学氏をはじめ、日本のアディクションの研究者は非常に重大な情報を意図的に隠していたという事になります。

私は性悪説はとってないので、おそらくmacskaさんが挙げた論文に反論できるような論拠が専門家にはあるのではないかと考えました。そこで私が知っていて、メール等でコンタクトが可能な専門家5名に問い合わせてみました。
もちろん回答を強要できるわけもなく、問い合わせの際にもその旨は明記していたのですが、結局1件たりとも全く反応がありませんでした(実は回答がきっと帰ってくるだろうと期待していたのでした)。

そんなわけで現在のところの結論としては、日本のアルコール医療で自助グループを推奨する方法をとっている専門家は、重大な事(AAの効果の低さ)について隠していると考えざるを得ません。 もちろん、この結論はきっちりした反論が来たら喜んで撤回させていただきたいと思います。

ちなみに同時にAAのメンバーでHPを公開している人に問い合わせたところ、すぐに返事があり、その人が知っている限りの事をメールで知らせていただきました。私も知らない事を沢山教えていただいて、とても助かりました。

さて、他人の意見はともかく私の意見ですが、長期的(10-20年単位)で考えるとおそらくAA(日本では断酒会を含む)以外の方法では、効果が期待できないだろうと考えます。
理由は飲酒は代理欲求であり、AAにせよ他の療法にせよ、結局は本来の欲求を充足する事が出来ずに、「飲酒」の形で現れている代理欲求を他の方法で埋める形での治療となります。
AAはその「他の方法」が本人がAAに関わり続けることで供給されるような構造になっているのですが、他の療法、特に自助ではない場合は「他の方法」を自力で見出してやっていく必要があります。したがって、AAに比べると再飲酒の方向に流れていきやすいと考えられます。

これは伝聞情報ですが、20年以上の追跡調査ではAA以外の方法は効果が無かったという研究結果があるらしいのですが、だれか出典をご存知ないでしょうか?


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AAにおける回復の考察

2006-07-07 17:04:04 | アルコール依存症
 以下で述べる事は全て仮説で、私なりの検証もまだ済んでいないものと思ってお読み下さい。

最近あるきっかけで、少し突き放してAAを眺める機会がありました。その結果、なんとなく今までひっかかってた「どうしてAAで酒が止まるの」に関して、いくつか新しい考察が生まれたので、メモの意味も込めて記述します。

まずAAでは「本来の欲求に基づく甘えの充足」が行われない可能性が高いと考えます。理由は「ずっとAAに通い続ける必要がある」という点です。
基本的には本来の欲求(多くは安全欲求)に基づく甘えがある程度充足されれば、飲酒欲求自体は自分の意思の力の範囲内におさまり、ミーティングへの出席が断酒の必須条件ではなくなるはずだからです。

ではAAで断酒継続が出来る理由は何でしょう。 今考えているのは
退行によるアルコールでの代理欲求の充足→越行による承認欲求の充足
という転換こそがAAの根幹の一つではないかという事です。

AAで最初にアル症患者が体験する事は「自分と同じような人(アル症)の体験談を聞くこと」ですが、これは聞く側に非常に大きな安心感を与えるようです。この安心感が、一時的な飲酒欲求の低減につながり、断酒継続のエネルギー源となっています。
そして今度は話す側に回った時に「自分の体験を他者に語る事による承認欲求の充足」が発生すると考えられます。AAのメンバーはよく「受け入れられた」という表現を使いますが、ミーティングで自分の話をしたときに、全員が一切批判せず黙って話を聞いてくれるのを実感すると「話が受け入れられた→承認された」という認知が発生するのではないでしょうか。

さらにAAでは承認欲求の充足手段が他にも用意されています。
1:サービス(グループの運営の仕事)に携わる
 回復のためには、ミーティングを持続するための実務等を行う事が薦められています。サービスを行う事で、様々な承認が得られます。
2:スポンサーシップ(個人的な相談・被相談関係)
 スポンサーに自分の事を聞いてもらったり行動を誉めてもらう事で、承認欲求が満たされる。また相談を受ける側も、自分が相談を受ける事で相手の役に立っているという感覚が得られ、これも承認欲求の充足に繋がります。
3:メッセージ活動(アルコール病棟等へ行ってまだAAに参加していない患者に自分の体験談を語る行為)
 自分の体験を語ること、そしてそれが聞く側に受け入れられて利益になっている事がわかるので、承認欲求が満たされる。

結論としては、 AAの中心的な作用の一つに、「安全欲求に基づく甘え」の未充足を、越行した「承認欲求に基づく甘え」の充足によって補うという、いわゆる「正しい越行の使い方」を利用している部分がある。そして、承認欲求を満たすためのツールが各種用意されている。 という事が考えられます。
したがって、越行が主に承認欲求の形で出ているような人に特に効果があると考える事が出来ます。

ただし、12ステップをどう見るかというはまた別の問題としてあります。まだうまく説明できませんが、おそらくは12ステップをやり切ると欲求の充足が行われ、それをなしえた人は他者に対する高度な洞察力が身につくのではないかと考えています。

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