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あれこれ備忘録

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個人情報保護の“波に洗われる”学校現場

2005年07月25日 09時45分29秒 | 個人情報
●学校には様々な個人情報が存在する。中でも学生情報を大量に保有している。個人情報保護体制を築くには、個々の情報のリスク評価を行って、取り扱いのルールを定める必要がある。

●もっとも、法律違反を恐れるあまりの行き過ぎた対応は、「教育」という学校本来の目的を失わせかねない。適正な取得と利用を心がけたうえでの学生のためになる情報活用こそ、今求められている。

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先日、某大学の個人情報保護セミナーで「うちの大学は開校して日が浅く、2000名の在学生しかいないので、『個人情報取扱事業者』にはならないのでしょうか」という質問があった。「5000件を超える個人データを持っていなければ、個人情報取扱事業者にならない」と定められているため、出た質問だった。

個人情報保護法では、「個人」とは「生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるものであれば、全て個人情報に該当する」(法2条1項)と定められている。

学校の場合、在学生以外に卒業生のデータを持っていることから、ほとんどの学校は個人情報を5001件以上保有していると考えて間違いない。確かに中には死亡した卒業生も含まれるだろうが、それを割り引いても5001件以上の情報の蓄積があるはずだ。

セミナーでの質問者に、入学志願者からの資料請求への対応を尋ねたら、請求者データをそのまま保有しているとのことだった。つまり、開校して日の浅いこの学校の場合でも、累計すると、難なく個人情報取扱事業者に該当したのである。

■個人情報が学内の至る所に分散

それでは学校には、どのような個人情報データが蓄えられているのだろうか。

大学を例にとって考えると、およそ基本的なものだけで次のような個人データを保有している。

(1)入試資料の請求者情報(学校案内等を請求する高校生・父兄)
(2)志願者情報(調査書、願書等)
(3)在校生(学籍簿、学生証データ、成績原簿等)
(4)保護者(保証人誓約書、奨学金申請書等)
(5)卒業生(卒業生名簿、卒業証明書、寄付者芳名録等)

これ以外に教員、職員の個人情報があり、地元の自治体や企業、取引先関係者などの個人情報を含めると、学校は膨大な個人情報を保有していることになる。

また、在学生に限っては、各部署(入試課/教務課/学生課/就職課)で連携して保有している場合もあるが、多くは各担当部署・課で別個に保有しているデータも多く、どこにどのデータが、どういう状態で管理されているかとなると、はなはだ心もとない、というのが現状である。

一般の企業と違うのは、「教員」の存在である。事務方は諸手続きを所管しており、文書管理が仕事の一つであるから、学生情報の取り扱いには慎重な面もある。ところが、教員の場合、講義と研究が主な仕事だから、学生情報の管理は二義的な問題となりがちだ。学校側が主体的に教員の個人情報管理の指導をしているわけでもなく、事務方とは信頼関係で成り立っているだけという面がある。

一つの例を挙げよう。筆者は某大学で非常勤講師をしているが、学生情報の取り扱いについては、学校側からほぼ「お任せ」の状態である。「出欠カード」がそうだ(この大学では紙のカードで管理するのが基本になっている)。毎回授業で出欠を取り、出席日数が足りない場合、単位を認めない決まりになっている。出欠カードには、担当教官名、科目名、学籍番号、学生の氏名などが記入されているが、このカードの保管・管理は教員に任されている。

教務課に提出するのは、学生の評価情報のみであるため、出席日数や授業態度、レポート提出の有無などは教員個人で記録しておかなければならない。どこに記録を保存するかというと、私物のPCということになる。出欠カードをメールで授業中に取得するなど一部分だけIT化しても、バックヤードがこの状態では、漏えいリスクは高まる一方だ。教育現場はいまだに情報化の「原始時代」にある。

■漏えいのリスクは、低年齢の児童ほど高まる

このように、学校というところは学生を預っている立場にありながら、学生情報の管理については野放し状態だ。先述の出欠カードをもし筆者が落としたら、個人情報の漏えい事件になるが、学校側からは「出欠カードをなくさないようにしてください」という指導は一度もないし、その文書規程もない。

出欠カードはまだリスクレベルが低いが、学校というところは成績表や学生相談票、健康診断書など“センシティブ”な情報を多数保持している。こうした情報が外部に漏れると、悪用されるリスクは格段に高い。

大学を例に見てきたが、学校は幼稚園、小学校、中学校、高等学校とあり、低年齢の児童が通う学校では、特に生徒情報が漏れないように気を配る必要がある。

例えば、幼稚園・小学校などでは、園児、児童が特定できる個人情報の漏えいが、誘拐や監禁など、身体、生命に危害が及ぶ重大な犯罪の原因となる恐れがある。子どもの氏名と住所だけで存在が特定されてしまうし、父兄の勤務状況(例えば共稼ぎであるとか、延長保育記録など)とあわせて情報漏えいが起きると、一層悪用のリスクは高まる。

こうしたことは、ちょっと想像をめぐらせれば誰でも分かることなのだが、その認識が情報管理・運用のルールづくりまでに至っていないのが現状だ。

何度も繰り返しになるが、幼稚園や小中高校など未成年者を抱える学校法人は、生徒が重大な犯罪に巻き込まれないよう、特に生徒情報の取り扱いに注意を払わねばならない。

残念なことにその自覚が学校関係者に薄いのが気にかかる。金融、通信、医療の特定3分野では、より厳しいガイドラインを定めているが、教育分野でも同様に取り組むことが必要だ。もっとも、文部科学省のガイドラインには最低基準のことしか書かれていない。この点については、拙著『学校における個人情報保護Q&A』(田淵、高橋、妹尾共著:NPO法人学校経理研究会発行)に詳しいので、参考にしていただきたい。(田淵 義朗氏/ネット情報セキュリティ研究会代表)

日経BP社 2005年7月22日

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金融機関の個人情報紛失、1069機関・678万件で発生と判明=伊藤金融担当相

2005年07月25日 09時27分57秒 | 個人情報
 伊藤金融担当相は閣議後の会見で、国内の銀行・証券・保険(1069社)のうち、全体の26.8%(287社)で合計約678万件の個人情報の紛失があったことを明らかにした。金融庁では、「これだけ多くの情報が紛失されたことは真に遺憾」(伊藤担当相)とし、金融機関の信認を確保するため、顧客情報の適切な監理と整備を求めた。

 金融庁は、今年4月の個人情報保護法の施行にともない、金融機関に対して個人情報の管理態勢に関する一斉点検を要請。6月末までにほぼすべての金融機関から結果を受け取った。「個人情報の紛失によって不正利用につながり、顧客に被害が発生したもの、またはその可能性が高いと報告されているものは、現時点ではない」(伊藤金融担当相)という。

 個人情報を紛失した287社の金融機関については、「問い合わせに対応するための相談窓口の設置や業務フローの見直しなど、再発防止のための内部体制を講じるか、または講じる予定になっている」(伊藤金融担当相)としている。

ロイター通信 2005年7月22日

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個人情報漏えい事件を斬る(3):小さなUSBメモリの大きなリスクに翻弄されたNTTデータ

2005年07月25日 09時24分04秒 | 個人情報
 前回は、ファイル交換ソフトを取り上げた。今回は、USBメモリ(外部記録媒体)紛失による個人情報流出事件を題材にして、利便性の裏側に潜む個人情報のリスクを引き続き考えてみたい。

他人事ではない「悪意なき個人情報流出」

 5月24日、NTTデータは、社員1万1835人分の個人情報ファイルを記録したUSBメモリを入れたかばんを、同社の社員が紛失したことを公表した。具体的内容については、NTTデータ「当社社員情報紛失について」 に掲載されている。

 実は、発覚の1か月前、同社の別の社員の自宅に空き巣が入り、顧客情報2146件を保存したノートパソコンを盗まれるという事件が起こっていた。その対応策として、同社が個人情報管理の強化を発表した矢先に、この事件が起こったのである。

 このように、日本最大手のSI企業であるNTTデータでも、紛失、盗難、うっかりミスなど、ツールの使いやすさと危機意識の低さに起因する「悪意なき個人情報流出」が顕在化しているのだ。

プラグ&プレイ機能は便利だがリスクも大きい

 キーボード、マウス、プリンタ、外付けドライブなどの周辺機器をパソコンのUSB端子経由で接続すると、OSが内部にあるドライバを自動的に検出・設定してくれるのが、プラグ&プレイ機能だ。この機能を活用した外部記録媒体がUSBメモリであり、パソコンのUSB端子に差し込むだけで、簡単に大容量のファイルを受渡しできるようになったのである。

 このプラグ&プレイ機能の普及とともに、PS/2ポートという独自の端子で接続していたキーボードやマウスも、USB端子経由での接続が普通になってきている。この機能は、便利さや簡単さの面で、それほどのインパクトがあったのである。

 使いやすいUSBメモリだが、セキュリティ面ではそれがあだになっている。自由にファイルの受渡しができるということは、誰でもファイルの中身をのぞけることを意味する。

 また、コンパクトな形状だと、紛失しても気付きにくい。個人データが記録されたUSBメモリが、丸裸の状態で悪意ある第三者の手に渡ったらどういうことになるか。この手のリスクは昔からあったのだが、個人情報保護法の施行後に、ようやく多くの企業から認識されるようになったようだ。

 NTTデータは、再発防止策として、暗号化やアクセス制限機能のないUSBメモリの使用を禁止する旨のルールを定めた。ではSMB(中堅中小企業)はどうだろうか。多くの企業では、いまだに丸裸状態のUSBメモリで、データやファイルの受渡しが日常的に行われている。社内におけるUSBメモリの利用状況すら把握できていないようだと、NTTデータのような事件がいつ起こってもおかしくない。

できることから始めよう、USBメモリのへの対策

 実は、個人認証、暗号化、データ完全削除機能など、技術的対策を施したUSBメモリが発売されている。また、サーバーにインストールするだけで、クライアントPCからUSBメモリなど外部記録メディアへのファイル書き出しを禁止するソフトウエアも登場している。

 しかし、前者については、通常の商品と比べて割高感は否めない。後者のソフトを利用する場合も、全てのUSB端子の使用を制限すると、キーボードやマウスが使えなくなるパソコンもある。旧タイプのPS/2ポートを装備したパソコンを指名買いする企業もあるくらいだから、注意が必要だ。

 新技術の導入なしに、セキュリティ強度を上げる方法はある。例えば、USBメモリに保存するファイル自体に、パスワード認証などの制限を設けておくのも1つの方法だ。

 またパソコンの「\Windows\infフォルダ」内をチェックして、USBメモリとのプラグ&プレイの互換性を制限することもできる。ここには、「.inf」「.pnf」など、周辺機器のドライバを設定するのに必要なWindowsファイルが格納されている。フォルダ内の該当ファイルを削除してプラグ&プレイを無効化すれば、USBメモリを差し込んでも自動認識できなくなる。初心者向けの対策として有効だ。

 とにかく、紛失や盗難に気付いてからでは手遅れなので、すべて番号を付与して管理するなど、早めの対策が必要だ。

 次回は、同じようなリスクを抱えるパソコンに話題を移してみたい。

日経BP社 2005年7月20日

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個人情報残さない端末配備/第一生命、大手生保で初

2005年07月25日 09時22分07秒 | 個人情報
 第一生命保険は20日、個人情報保護法の施行を受け、全国4万5000人の営業職員に貸与するパソコンを顧客の住所や氏名などの個人情報を保存できない仕組みにする、と発表した。総費用は約100億円となる。

 第一生命によると、国内の大手生保で、営業職員のパソコンにデータを残さない仕組みを作ったのは初めてという。生保業界では、営業職員のパソコンが盗まれたりして個人情報が漏れるケースが起こっており、各社とも対応を迫られている。

 同社は8月中旬から個人データなどを内部に記憶できないパソコンを営業職員に配備。顧客情報はサーバーで一元管理し、顧客データが必要な時は、パソコンに接続しているデータ送受信専用の携帯電話端末を通じて取り込む。

四国新聞 2005年7月20日

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個人情報保護法の対応率、「個人情報取扱事業者」でも4分の1程度

2005年07月25日 09時20分48秒 | 個人情報
 NRIセキュアテクノロジーズは、東証1部・2部上場企業を中心に「情報セキュリティに関するアンケート」を実施し、その調査結果「企業における情報セキュリティ実態調査2005」を公表した。有効回答数は447件。

 調査結果によると、個人情報保護法にひと通り対応が完了したと考えている企業は21.7%。一方で、実施すべき作業が残っている企業が34.1%、一部対応できていない項目がある企業が19.3%、ほとんど対応できていない企業が24.1%を占めた。

 なお、5,000件以上の個人情報を取り扱う企業ではひと通り対応が完了したとの回答は25.4%。5,000件未満の企業では14.9%となり、いわゆる「個人情報取扱事業者」が10%程度高い結果となった。

 情報セキュリティ対策への投資額は、2004年度に比べて10%以上増やすと回答した企業が61.2%に達した。そのうち、30%以上の増額を計画している企業は27.0%を占めた。

 導入済みのセキュリティ対策は、ウイルス対策ソフト(98.4%)やファイアウォール(95.4%)、VPN機器(73.4%)が上位を占めた。今後導入を予定している対策は、情報の不正な持ち出し防止するためのツール(45.2%)、PCやサーバーのログ取得ツール(41.8%)、データ・メールの暗号化(39.1%)といった企業内部のセキュリティ対策へと移行しつつあるという。

 従業員向けの情報セキュリティ教育を実施している企業は44.7%と全体の5割以下。また、教育の目的が「達成されている」もしく「ほぼ達成している」と回答した企業は34.5%に止まっている。

INTERNET Watch 2005年7月20日

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「個人情報の漏洩を補償」新たな保険を設定 日薬

2005年07月25日 09時19分02秒 | 個人情報
 日本薬剤師会はこのほど個人情報漏洩保険を設定し、今年度分の加入募集を開始した。

 加入対象者は日薬正会員として会員番号が付番されており、薬局、一般販売業、薬種商販売業の「開設者」「法人代表者」「管理薬剤師」として登録されている人。加入単位は店舗単位で、複数店舗を開設している場合は、各店舗ごとに管理薬剤師の名前で申し込む。

 補償の対象となるのは、薬局・一般販売業等の業務と直接的に関連し、店舗内(薬事法で届け出を行った領域)で取得した個人情報の漏洩。具体的には調剤録・処方せん・薬歴、顧客名簿・OTC薬の販売記録、店舗で発行したポイントカードなど。複数店舗の場合は5店舗までで、全店舗が加入することが条件。それ以上の場合は個別に損保ジャパンと契約することとなる。

 今年度の保険期間は、2005年9月1日午後4時から06年9月1日午後4時までの1年間。

薬事日報 2005年7月20日

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「場当たり個人情報」から「攻めの情報活用へ」

2005年07月25日 09時03分24秒 | 個人情報
顧客をないがしろにした過剰な法律順守


個人情報保護法が今年4月に完全施行されて、ちょうど3カ月が経過した。役所、企業、学校、病院、商店など、あらゆる場所で対応が始まっている。ところが、その取り組みたるや、ややもすると形式主義に陥り、施行以前には想定していなかったような事態を引き起こしている。

例えば、JR西日本福知山線で起きた列車脱線事故で、負傷者が担ぎこまれた病院(28病院のうち10病院)が、安否を問い合わせた家族などに対し、負傷者の氏名の開示を拒否するという事態が起こった。これは法律で「個人情報取扱事業者(病院)は第三者に本人(負傷者)の同意なく個人データを提供してはならない」と定めているからで、これを理由に病院側は情報公開を拒絶したのである。

実は、同法23条の例外規定で「人の生命、身体または財産の保護のために必要であり、本人の同意を得ることが困難なときは、同意がなくても第三者に提供できる」とも記されている。一時の混乱が止んでそのことを知った病院側は、ようやく問い合わせに対応し始めた。しかし、家族からの安否確認に対する拒絶が起きた事実は、多くの専門家や関係者にショックを与えた。組織が法律を順守するあまり、顧客に不条理なまでの不便を強いるといった、本末転倒の構図を生み出している。

こうしたことが起きた背景には、「個人情報保護法」という行政が主導して作った法律が、いまだに現場で働く人たちに十分に理解されていない現実がある。法律が使用者責任、つまり経営者側の責任を重く課しているため、ともかく対応に漏れがあってはならないと、従業員に「建前だけ」「文字面だけ」──言い換えれば「形だけ」の教育をした結果ともいえる。

最近は、大手企業で社員に個人情報保護に関する「試験」を実施しているようだが、社員にはおおむね不評のようだ。多くの人が「試験が終われば内容はすっかり忘れる」と筆者の取材に答えている。

具体的な手続きの前に、個人情報保護法の立法趣旨があるはずだ。法律の精神をきちんと理解していれば、現場は柔軟に対応できるのだが、そうした教育が行われているところは、筆者が知る限りごく少数である。個人情報保護は一時の“詰め込み型教育”で解決する問題ではない。教育に数多くの工夫が必要なのである。

無防備のまま放置された情報漏えい対策

一方、むしろ過剰に、神経質に取り組まなければならないのに、職場で無防備のまま放置されている問題がある。それは「情報漏えい」の問題である。

個人情報保護法は、個人のデータの取り扱いに関して、情報漏えいを起こさないために、「安全管理措置」(第20条)、「従業員の監督」(第21条)、「委託先の監督」(第22条)を定めている。これらは各省庁のガイドラインで最も多くのページが割かれている部分だ。しかし実際に法律を読めば分かるが、条文は数行の記述にとどまっているにすぎない。あとは業界の慣行、会社の業務内容、社風に即して「現場」が自ら知恵を絞ってこの部分を補強する必要がある。

日常業務の中で起こりがちな過失や事故に対して「どうすれば防げるのか」を職場の中で議論し、積み上げていく。その繰り返しを通じて社員を次第に啓発していくような教育でなければ成果は上がらない。残念ながら「通り一遍の講師の話を聞いておしまい」という会社や団体が多いのが実情だ。

個人情報保護法の完全施行後も一向に減らない個人情報漏えい事件を見ても分かるとおり、情報漏えいが起こる原因は複雑化し、問題が多岐にわたっている。情報技術のめまぐるしい変化に呼応して、新たな情報犯罪の手口が続々と生まれている。情報漏えい対策の教育は、最新の事例に即して普遍的な教訓を抜き出し、会社の業務に照らし合わせながら自分たちで落とし込み方を考える作業が欠かせないのである。

日経BP社2005年7月4日

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なぜ、情報漏えいは止まないか

2005年07月25日 08時59分58秒 | 個人情報
2005年4月1日から個人情報保護法が民間企業にも適用されて全面的に施行されたが、逆に個人情報の漏えい・流出は増える一方だ。この3カ月間で報道された事件は120件を超え、特に大手銀行・地方銀行などは87金融機関が350万人分もの個人情報を紛失するほどのずさんさである。同法は5000件以上のデータベースを持つ個人情報取扱事業者が対象となり、悪質な場合は刑事罰も科せられるが、企業側の個人情報に対する意識はまだ低い。

6月には約4000万件ものクレジットカード情報が危険にさらされた米カード情報流出事件があり、日本にもジワジワと影響が広がっている。いまや個人情報は世界を駆けめぐり、どこで漏えいするか誰も分からない。企業としては社員の意識の向上や取扱の日常的な訓練、およびITなどの技術によるセキュリティ対策を行った上で、漏えい事件が起きた後の事後対策を策定しておく必要がある。本特集の最後では、その6ステップを整理した。被害を最小限に押さえるためのリカバリー法として参考にしていただきたい。

【PART1】個人情報漏えい・紛失が止まらない!
~大手銀・地銀では総計350万人を超す勢い~

個人情報保護法が4月1日に全面的に施行された以降でも、個人情報の漏えい・紛失事件が後を絶たない。この約3カ月間に報道されたものだけでも少なくとも120件を超える。特に大手銀行・地銀のずさんぶりが浮き彫りになった。

■みちのく銀行に初の是正勧告

今年4月22日、みちのく銀行(本店・青森市)は「お客さま情報が記録されたCD-ROM(バックアップ用)3枚が当行内で紛失していることが判明致しました」と発表した。その際のニュースリリースでは、CD-ROM3枚に記録されている顧客情報として約131万件としている。金融機関としてはかつてない規模の個人情報流出であるだけでなく、氏名、住所、電話番号、生年月日、年齢のほか、預金残高や貸出金残高などの重要情報まで記録されていたCD-ROMが紛失したという。

金融庁は同行が規定通りに個人情報を扱わず、行員に対する教育を怠っていたとして、5月20日に個人情報保護法の全面施行後、初の是正勧告を出した(詳細は「法令等遵守態勢及び経営管理態勢の確立・強化に関する業務改善命令ならびに個人情報保護に関する勧告措置の受命について」)。

ところが、7月1日に同行がまたしても4万件近い顧客情報を紛失したことが明らかになった(詳細は「個人情報管理態勢に係わる点検結果の公表について」)。

4月1日に個人情報保護法が全面的に施行され、民間企業にも順守が義務づけられて以降でも、顧客情報の漏えい・紛失が逆に急増したかに思える。4月以降、この7月初旬までの間、毎日のように事件や事故が続き、報道されたものだけでも120件を超える。

前半はNTTデータや松下電工などの大手企業が漏えい事件を起こし、6月後半からは三井住友・りそな・UFJ信託などの大手銀行をはじめ、地方銀行や信用金庫など金融機関の情報紛失が“ラッシュ”のように続いている。7月初旬時点で公表した金融機関は数にして87、紛失した情報は350万人を超す。各行とも個人情報の記録されたCD-ROMなどのメディアを誤って破棄した可能性が高いとしているが、個人情報に対するずさんさはあきれるばかりだ。

また、4000万件というクレジットカード情報が危険にさらされる漏えい事件も米国で起き、私たちの個人情報は想像以上の危機的状態にある。

■事件発生後のリカバリーが大切

日本ネットワークセキュリティ協会の安田直義事務局長代理(主席研究員)はこう語る。

「みちのく銀行が受けた是正勧告は、セキュリティポリシー(規定書)などを作るだけでは足りず、内部でどう運営するかが問われたのだと思う。ただ、今は事故を起こしてはいけないという前提ばかりが強調され、発生したとき、いかにリカバリーするかがあまり話し合われていないのが気になる。事故ゼロを前提の指導など、非現実的だ」。

『日経コンピュータ』誌(日経BP社)の小原忍デスクも「隠しておくと事が大きくなるので積極的に公開している面もあるが、いくら規定を作っても情報が漏れるときには漏れる。漏えいを完全に封じることはできない」と語る。

そのためにも、規定に関する定期的な啓蒙(けいもう)活動と内部への浸透、およびITなどの技術の活用が必要だと小原デスクは指摘する。つまり、社員一人ひとりが日常的に個人情報の扱い方と意識を身につけ、トラブルが発生したときには被害を最小限に押さえる行動ができるかどうかだ。同時にデータの暗号化やネットワーク上の防御、セキュリティソフトの導入など、技術的対策も必要となる。

国民生活センターが今年3月に発表した『個人情報流出に関する事業者調査結果-急がれる個人情報管理体制の強化-』によると、流出先が判明した事例(12件)のうち、4件は架空請求や商品先物取引等などの電話勧誘などに利用されている。

情報漏えいは、架空請求などによる顧客からのクレームで初めて発覚するケースも少なくない。いかに“早期発見”し、初動を早めることができるかが今後、問われることになるだろう。

日経BP社 2005年7月19日

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全銀協会長、相次ぐ個人情報紛失は遺憾と強調

2005年07月25日 08時55分59秒 | 個人情報
 全国銀行協会の前田晃伸会長(みずほフィナンシャルグループ<8411.T>社長)は19日午後に会見し、金融機関で個人情報の紛失が相次いだことについて「誠に遺憾」と強調。保護規定を整備するなどして情報管理体制を強化したい考えを示した。
 今年4月の個人情報保護法施行に伴い、過去にさかのぼって一斉点検した結果、今月8日時点で情報紛失を公表した金融機関は184に上る。前田会長は、「極めて多くの紛失が分かった。今後、あってはならない」としたうえで、「保護、管理を重要課題と再認識したい」と述べた。

 金融審議会(首相の諮問機関)が7日、包括的に投資商品を規制する投資サービス法の中間整理をまとめたことに関連し、前田会長は、投資家保護の観点では評価する一方、「過度な規制は、取引がうまくいかなくなる」と指摘した。

 景気認識については、「輸出の停滞や原油価格の上昇、米金利に不透明感が残る。足踏みの状況から抜け出すには、もう少しかかる」と語った。さらに量的緩和解除について、デフレ克服や資金需要に課題があるとし、「条件はそろっていない」と述べた。

ロイター通信 2005年7月19日

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個人情報10万人以上 銀行の8割が保有

2005年07月19日 15時58分03秒 | 個人情報
 銀行業の80%近くが十万人以上の個人情報を保有している-。銀行や保険業など金融機関が抱える個人情報の件数が多い一方、建設などの業種では比較的少ないことが内閣府の調査で十八日までに分かった。

 今年四月の個人情報保護法施行を控えた二月に内閣府が初めて上場企業中心に一万社を対象に実施、二千九百七十四社が回答した。結果について内閣府は「保有量の多さは、情報漏えいリスクにつながる」(国民生活局)と情報管理の必要性を強調した。

 十万人以上の個人情報を保有する企業の割合を業種別にみると、信用金庫などを含む銀行業(78・3%)が最も高かった。保険業(52・3%)でも半数を超えた。そのほかでは、小売業(62・6%)、旅行業・宿泊業(55・0%)などが目立った。

 半面、建設業(6・9%)、卸売業(19・3%)、農林水産業(20・0%)などの保有件数は比較的少なかった。

 また、インターネット関連サービス業は46・5%と、銀行、保険業より低かった。内閣府によると、銀行などは一度登録した個人情報を長期にわたって保管する一方、情報技術(IT)関連企業は必要でないものはできるだけ廃棄している、という。

東京新聞 2005年7月19日

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