
著者の作品を読むのは,「流転の海:第9部」以来です。
やはりこの人は関西弁を書く名手ですね。
独特の書き方で,関西弁の柔らかさと上品さを醸し出しています。
本の帯には以下のように概要が記載されています。
「いつか、愛する者たちを招いて晩餐会を――
九十歳の記念に祖母が計画した、一流のフレンチシェフと一流の食材が織りなす、豪華絢爛な晩餐会。
子どもたち、孫たちはそれぞれの思いを胸にその日を迎える。
徳子おばあちゃんは、なぜ出征が決まった青年と結婚したのか?
夫の戦死後、なぜ数年間も婚家にとどまったのか?
そしてなぜ、九十歳の記念に晩餐会を開くことにしたのか?
孫の綾乃は祖母の生涯を辿り、秘められた苦難と情熱を知る――。
一人の命が、今ここに在ることの奇跡が胸に響く感動長編!」
京都を舞台とした作品の背景がとてもよろしい。
徳子さんは大正生まれ(おそらく)ですが,明治生まれのボクのおばあちゃんを思い出しながら読み進みました。
ボクのおばあちゃんは徳子さんのようなユーモアはなかったけど,凛としたところに共通点を感じました。
優雅な時代を生きてきたことがよくわかります。
現代のあくせくした日常を送っている方にぜひ読んでいただきたい一冊です。