大東亜戦争時の東南アジアを舞台にした小説です。
とても興味のある時代なので,本書を読んでみました。
第13回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作ということから,ミステリ小説のジャンルだとは思いますが,史実を捉えた作品で会って興味深く読み進みました。
ブックカバーの折り返しには以下の概要書きされています。
「1936年,父子家庭で育った滝口鞠は,名門女子専門学校を不合格になったのを機に,父が綿花貿易を営む仏領インドシナのハノイへと渡る。猛勉強の末,外務書記生・植田勇吉の助力もあってハノイ大学への入学を果たした鞠は,“新天地への冒険”という夢を胸に地理学を学ぶことに。一方,父から見合いを勧められた南亜洋行の商社マン・今野永介は,どこか不穏な雰囲気を纏い,仏印会社で暗躍していた。そんな矢先,植田が国境地域で敵兵に拉致されたとの報が届く。日本軍の仏印進駐が迫る中,植民地主義の非情な現実が,鞠を翻弄していく」
作品の中で主人公の鞠は,戦前の1936年に旧弊な日本を抜け出し,仏印ハノイで地理学を学ぶことになります。
現地で父親と二人で暮らす中,今野,植田,前島,オリオンという四人の男との出会う中,彼女は戦時中の植民地における非情な現実に直面します。
そうした混乱の中,鞠は自分の運命に翻弄されながら懸命に生きるのですが,時として気になるのが鞠のお嬢さんとしてのふるまいです。
いつも誰かに助けてもらうという結末を作者はどのように描きたかったのか,ボクには理解できず,そこがちょっと残念でした。
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