日本共産党いわき市議団

日本共産党いわき市議団に所属する伊藤浩之・溝口民子・渡辺博之・坂本康一各議員の日々の活動や市政情報などをお知らせします。

議員が会派を超えて協力

2018-02-09 16:17:15 | 議員だより
 災害公営住宅の家賃が値上がりする問題で、いわき市議会12月定例会では「市独自の災害公営住宅の家賃減免制度の充実を求める請願書」が、共産党、志帥会、創世会が紹介議員となって出されました。その協力関係をさらに発展させて、居住者から意見を聞く集会を1月28日に開催しましたので報告します。
               渡辺博之

高い住民の関心 
 「災害市営住宅の家賃などについて考える議員と住民の意見交換会」は市議会議員有志が主催し、災害公営住宅内郷砂子田団地の集会所を会場に、8団地から約70人の居住者の参加で開かれ、問題への関心の高さが伺われました。また、10人の議員が参加しました。

議員からのあいさつと報告
 志帥会の大峯議員が進行役と主催者挨拶を行い、「出された意見は市に伝えるとともに住民に知らせます」とあいさつしました。
 また、私からは「収入が基準を超えると住宅の明け渡しを求められ、従わないと高いペナルティー家賃(豊間団地の場合には月11万5千円)が課せられること、また基準以下でも市の軽減措置が無くなり値上がりすること、さらに他市では永久にペナルティー家賃にせず減免期間を20年にしている事例もあること」を報告しました。

高木准教授の調査結果報告
 いわき明星大学の高木竜輔准教授は、災害公営住宅6団地の居住者に対して2015年に生活実態と意識調査を行った結果について以下の報告をしました。
高齢者は震災前には持家の割合が高く、また高齢なほど年収が少ない傾向がある。収入が少ない高齢者はローンを完済した持家に住んでいたから生活できていたのであり、災害公営住宅での家賃や共益費の発生で生活が圧迫されている。
高所得層はコミュニティ形成の維持に大きな役割を果たしており、この層が移転すれば団地コミュニティの活力低下が危惧される。
 また、住宅再建を断念した高所得層が、所得制限で団地を出ていかざるを得なくなると、被災地外のアパートなどへ流出する可能性があり、被災地のコミュニティが低下する危惧がある。
そもそも被災者にとって住宅自体が高価な買い物であるので、入居者一人ひとりの生活状況を調査し、合理的配慮がなされるべきである。

住民の意見
 住民からは次のような意見が出されました。
団地のコミュニティ形成に大変苦労している。その中心を担ってきたのが共働きの働き盛りの世代であるため、この層が団地を追い出されるとコミュニティ全体に影響を及ぼす。
小学生の子どもがいるが、収入が基準を超えており出ていかなければならないと言われた。アパートは近くに適当なものがなく、転校することになってしまう。また、父の介護で月15万円かかり経済的にも大変だ。
津波被災者でも力がある人は既に他の土地を買って建てている。自分は流された家のローンを払っている。被災地の土地は抵当になっているので売りたくても売れない。
久之浜は放射能を気にして子ども夫婦が帰ってこない。老夫婦だけで住宅再建はできないので、収入が基準を超えても災害公営住宅に住み続けたい。

不十分な市の対策 
 集会の2日後に市は施策を発表し、収入が基準を超える世帯の家賃の大幅値上げを1年間延期し、段階的に行うとしました。
 しかし、被災者の退去を求める姿勢に変わりはありません。さらなる改善を求めて頑張ります。


視察報告

2018-02-09 15:52:04 | 議員だより
 いわき市議会は1月、各常任員会が行政視察を実施しました。内容の一部を、それぞれ参加した議員から紹介します。

◎教育福祉常任委員会  坂本康一
 教育福祉常任委員会の視察で1月15日~17日の3日間、岐阜県の家庭教育支援条例と、岡山県高梁市の移動図書館による買い物支援について学んできました。

家庭教育支援条例
 岐阜県では、2014年(平成26年)12月に議員提案で岐阜県家庭教育支援条例が制定されました。
 条例の定義として、子どもの教育を学校任せにせず、家庭でできることはやろうという目的を、祖父母や地域住民、事業者などが支えていく必要があるとしています。
 取り組みのひとつは、毎月8のつく日と第三日曜日を「家庭教育を実践する日」と決め、「話そう!語ろう!わが家の約束」運動を推進するというものです。
 例えば、「スマホの使用は夜9時まで」などわが家の約束を話し合うことで、家庭のコミュニケーションが深まったとの声もあるようですが、親が選ぶべき教育の中身に自治体がどこまで介入するのか、という懸念も感じられました。
■移動図書館による買い物支援・高梁市 
2004年に5市町が合併して発足した岡山県高梁市で、昨年4月から移動図書館車に販売用のパンや日用品を乗せた運用が行われています。
 高梁市立図書館は、佐賀県武雄市を参考に㈱カルチュア・コンビニエンス・クラブ(蔦屋書店)を指定管理者に委託して去年3月にオープンしました。
 移動図書館車の積載は2000冊で、高梁市図書館から抜き出し1カ月ごとに総入れ替えしています。市内30か所を2週間サイクルで巡回しており、販売は学校を除いた14ケ所で行っています。
 販売のきっかけは、山間部や過疎地で移動図書館を利用する高齢者から要望でした。本を借りたりスタッフとのおしゃべりが中心で、ついでに買い物も楽しんでいるようです。
 本市では、2台の移動図書館車で120ケ所を巡回していますが、コースがほぼ小学校や幼稚園ということもあって商品を積み込んでの販売は難しいようです。
 改めて交通弱者への移動手段が求められていると強く感じました。

◎産業建設常任委員会  伊藤浩之
 産業建設常任委員会は1月25日と26日まで、香川県善通寺市で交通弱者対策について、兵庫県西宮市で空家活用についての行政視察を実施しました。このうち善通寺市では、市民バス「空海号」の取り組みを聞きました。

 同市は総面積が約40平方㎞で、本市の常磐地区(44平方㎞)よりも狭い。市域を通過する路線バスはあるものの、市内の移動手段は、自家用車やタクシーとなっていました。
 その中、市民から公共交通の確保を求める声があがり、お年寄りの外出支援等を目的に、無料の福祉バスを運行することにしたそうです。同市の一般会計規模は約130億円で、毎年の運営には、運行管理のバス会社への委託費など2600万円程がかかります。この他、バスの購入費は市が負担しています。
 空海号は誰でも利用でき、停留所以外でも、運行経路内で安全ならば、どこでも乗降可能です。現在は、小型のノンステップバスなど3台で6コース30便を運行し、乗車目標を上回る1日平均約170人が利用しています。 市民には、有料にして便数等を増やしてほしいという意見もあるそうですが、現実の利用者数等から見ると課題が多いとみているそうです。
 そこで、有料になった場合の影響を質問しました。説明者は「例えば100円でも利用者数はダウンするだろう」と答えました。
 本市では、「生活交通ビジョン」に基づき、公共交通のあり方の検討が続けられています。
田人、三和地区では、住民の自家用車を利用したボランティア輸送を試行する準備がすすめられています。
 本市は、基本的に、独立採算の仕組みの構築をめざしています。しかし、空海号のように福祉という観点からの取り組みも検討の余地はあるでしょう。
 一方、広域、新常磐交通との共存などという条件などが、福祉バス導入の制約になるという事情もあります。公共交通確保の市民の要望にどう応えるかは、議会としても引き続き探求が必要と思います。

◎政策総務常任委員会  渡辺博之
 サッカークラブ「いわきFC」を応援する「スポーツによる人・まちづくり推進協議会」が昨年設立されました。そして市長は、「いわきFCのスタジアムタウン構想と連携しながら、スポーツの振興、市民の健康増進及びスポーツビジネスの振興等を図ります」としています。Jリーグ1部(J1)に入るためにはスタジアムが必要で、その建設に市がどのようにかかわるかは未定ですが、今後大きな問題になると思われます。
 そこで、「Jリーグ・サガン鳥栖」の本拠地の鳥栖市のスタジアムを視察してきました。
 スタジアムは、平成8年度に、国や県の補助金なしに市が約100億円をかけて作りました。当時の鳥栖市の年間予算額約140億円に対してあまりにも大きく、当時の市長が推進しても賛成者は少なかったそうです。
 スタジアムの維持管理は、当初は外部委託でしたが、現在は市の直営で行われています。
 一方、「サガン鳥栖」は平成23年にJ1に昇格しましたが、それまでは経営危機、存続の危機が続きました。
J1に入る前のサポーターは少なく、2万5千人収容可能なスタジアムには3千人ほどしか観客は集まりませんでした。現在では、観客は1万人以上集まるようになりましたが、さらに集客する必要があり、市職員が率先してチームを支援するようにしているだけでなく、周辺他自治体と連携して支援を強めています。
 スタジアム運営での市の収支を見ると、使用料収入は年間約1億1千万円、支出は9千万円から1億円で人件費を含めると支出超過です。建設費の借金の返済は平成28年度に終わりましたが、現在大規模な維持補修が必要となっています。
 人口7万人で特筆する産業がない鳥栖市は、「サガン鳥栖」に賭けたのでしょうが、もしチームの経営立て直しが失敗し、J1昇格が実現していなかったならば、などと考えるとぞっとします。
 本市では慎重に考えなければならないと改めて感じました。

◎市民生活常任委員会  溝口民子
 私達の委員会は、高知市の「移住・定住促進計画」と熊本市の「下水汚泥固形燃料化システム」について学んできましたが、熊本市について報告します。

 人口約73万人の熊本市は、下水道普及率が89・1%。全国平均90・4%に近い普及率となっています。
いわき市は人口約33万人。普及率は86・8%(いずれも平成28年度)です。
 熊本市には5つの浄化センターがあり、平成20年以前は、下水汚泥等すべて埋め立て処分とし、リサイクル率ゼロでしたが、国交省の「下水道ビジョン2100」が示される中で、下水汚泥の有効利用(資源供給)と温室効果ガス削減に取り組むことになりました。
 平成25年度以降における汚泥の処理処分は、適正かつ安定した処理方法を採用し、全量有効利用、リサイクル率100%を目指し、 平成28年度の汚泥処理状況は、5浄化センター発生量(日量約78・8トン)の54・5%は固形燃料化に、29・9%はセメント原料に、15・7%はコンポスト化と100%のリサイクル率です。このリサイクル施設は熊本市南部浄化センターの敷地内にあり、設計施工費21億円、20年間の管理運営費40億円の総額61億円です。
 契約については、BO方式を採用。この方式は、設計・建設と運営・維持管理を民間業者に一括発注するもので、公設民営のひとつの方式です。
 メリットは、民間事業者の専門知識とノウハウを最大限活用でき、事業コストを下げることができます。20年間の燃料化物売買・利用の確約書と受入先自治体からの燃料化物利用の承諾書も入札条件でした。できた固形物は1センチほどの大きさで無臭・石炭代替燃料として九州電力や火力発電所で利用されているそうです。売買単価は「その他の収入」に該当する程度との事。 本市では、4浄化センターの汚泥を焼却し、その焼却灰を日立セメント原料として100%再利用されていましたが、原発事故で3割程度になっています。