--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

極夜

2006-06-01 | 南極だより・自然
ずいぶん夏らしくなってきました。
肌寒い日が時折あるものの、たいてい半袖で過ごしています。
今年はイネ科の花粉が多いのか、私の周りではくしゃみをしている人もいます。
ラングボブデで夏にイネ科のオオスズメノカタビラが今年も生育していたという新聞記事があったけれど、このオオスズメノカタビラもそこら中に山ほど生えています。
ただし、このオオスズメノカタビラが花粉症の原因になっているかどうかは不明です。
あらぬ疑いをかけないように気をつけなくっちゃ。
それでは渡井さんからの南極だよりです。
---------------------------------------------------------------
2006年5月31日(水) 曇り 極夜

#最後に晴れた5月28日の夕日?いや、朝日?
今日から昭和基地では太陽が昇らなくなった。
晴れても曇っていても一日中太陽を見ることができないということだ。

ところで日の出の時間は太陽の上端が水平線や地平線上に出た時間。
日の入は逆に上端が沈んだ時間になる。
月の出や月の入は月の中心が基準だ。

まぁとにかく太陽を見る機会は7月13日まではない。
最後に太陽を見たのはいつだったか?
太陽が水平線を転がるように移動する時は、雲を横からみて、その奥に太陽がある感じになるので、雲に隠れる確率も高くなり現地の天候以上に見え難くなる。
そんな訳でこのところ水平線上に雲があるおかげでまともに太陽を見た記憶がない。

今日の全体会議で隊長から極夜期における人体の影響についての話があった。
科学的に証明した例はないようだが、以前越冬したことのある隊員は、極夜期になると体重が増える傾向にあるとのこと。
γGTP値も増加してしまったようだ。
体もそう動かせないし体内のリズムの狂うのであろうか?

しかし、まだ太陽は水平線のすぐ下にあるので、正午前後2時間はそれなりの明るさだ。
電灯が必要な状態ではない。
ところが前後3時間になると早朝や晩の薄明かりという感じ。
太陽が最も沈む6月下旬には一体どのようになるのだろうか?


-----本日の作業など-----
・全体会議
・S17旅行計画草案作成
・MWF前夜祭企画案草案作成
・MWFスポーツ大会案調べ
・HVS充填
・炭素同位体比分析用大気サンプリング
・温室効果気体濃度分析用大気サンプリング
・二酸化炭素精製
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック
・酸素窒素比分析用大気サンプリングx2

<日の出日の入>
日の出  なし
日の入  なし
<気象情報5月31日>
平均気温-7.7℃
最高気温-5.5℃(1953) 最低気温-11.0℃(0027)
平均風速10.0m/s
最大平均風速18.8m/s風向ENE(1910) 最大瞬間風速25.6m/s風向ENE(1856)
日照時間 0.0時間

--------------------------------------------------------------
昭和基地はやはり昨日から太陽が昇らなくなったのですね。
数日前から見えなかったということなので、実感は薄いのかもしれませんが、どんなに晴れていてもひと時たりとも太陽を見ることができないというのは、想像しただけでも寂しいです。
極地では今回のような「極夜」や「白夜」という時期があります。
隊員が昭和基地に到着した時にはすでに太陽の沈まない「白夜」で、しかも着いた途端に毎日作業に明け暮れていたので、ゆっくりと「白夜」を味わったかどうか分かりません。
少なくとも私は、何の心の準備?もないままだったので、バタバタと「白夜」の季節が終わっていったという印象があります。
どんどん短くなっていく昼間を日々気にしながら「極夜」はどんなものだろうか?と考えてきました。
実に興味津々なのです。
全体会議で人体の影響についての話があったようですが、体内時計が狂ってしまうことから、体調や精神的にも不安定になることがあると聞いています。
人間の持つ体内時計は一日がおよそ25時間ほどといわれています。
でも、一日は24時間。
それを太陽の光を浴びることでリセットしているというのです。
ですから、極夜になり太陽の光を浴びられなくなると25時間の体内リズムで時を刻んでしまうみたいなのですよね。
人によってもずいぶん違いがあるとは思うのですが。
γGTPも上昇?
肝臓の働きも悪くなるのですか?
それはお酒好きの方は要注意ですね。
人体への影響を調べるというのも、医療担当の観測?になっていると聞いています。
医療は一応専門なので、そういう論文も読んでみたいなぁと思います。
とにかく「極夜」とはどんなものか、渡井さんにいろいろ聞きながら楽しませてもらおうと思います。

そうそう、本日の作業などを見て、昨日の疑問が解けました。
MWFというのは「ミッドウィンターフェスティバル」極夜のまん中、冬至のお祭りですね!
なんだろ?と思っていたのです。
極夜の時期にはこういう催し物もあるのですよね。
MWFかぁ、どんなことがあるのだろうか?
ワクワクします。

それから、どうして日の出入りと月の出入りの基準が違うのか?
私はできれば日の出入りに合わせたい気持ち。
だって、少しでも見ることができたら「あ!出た!!」って思うもの。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
月の出入り (南斗遊星)
2006-06-02 11:27:12
月の出入りの基準が違うのは、「月は形が変わるから」と聞いたことがあります。

影の部分が地平線から出てくる時は見えていないのに月の出時刻になってたりするんでしょうね。
返信する
Unknown (み・くり)
2006-06-02 23:49:22
なるほど!

確かに形が変わりますよね。

見えないのに月の出の時刻になるのもなんだかピンと来ませんが、形を考慮すると月の出や月の入りの時刻計算するのがとっても難しそうですものね。



極地では、水平線や地平線を転がるように登ったり沈んだりするので、日の出日の入り時刻が分かりにくいのだと聞きました。

月もそうなのかな?
返信する