--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

今期最低-19.2℃

2006-03-21 | 南極だより・自然
今日はWBCの決勝(日本VSキューバ)がありました。
最終回、普段なら勝算なくホームにつっこむことのない冷静なイチローの、イチローらしからぬ熱いプレーを見て妙に感動してしまいました。
いい試合であればどちらが勝ってもよかったのですが、こういいプレーを見ると日本に勝ってほしいと思うものですね。(結局日本が10対6で日本が勝った)
では、渡井さんからの南極だよりです。
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2006年3月20日(月) 快晴 

昼間はずっと11倉庫前の片付け。
先々週も行ったのだが、先の金曜は強風のため流れてしまったので本日に延期となったのである。
朝方の気温は-20℃に迫ろうかというほどで、作業を開始した時でも-18℃オーダー。
皆で話していた時では5℃か6℃(もちろんマイナス)かなぁ、などと言っていたのだがそれより大きく下回る。

幸運だったのは風がほとんどといっていいほど吹かなかったことだ。
もし吹いていたら体感温度はかなり低くなって作業どころではなかっただろう。

+10℃と+20℃の差は体感としては大きいが、
-10℃と-20℃の差はそれほど大きくないのかもしれない。
とにかく寒くて、後はみーんな一緒。
15年程前中国の奥地のウルムチを訪れたことがあったが、そこでの明け方の気温は-30℃ほどであった。
それでも寒さの違いはよくわからなかったのである。

そうそう、なんでも越冬すると寒さの感覚がおかしくなるらしい。
帰路の「しらせ」の船上、夏隊はジャンパーを着込んでいるのに、越冬隊は半袖のTシャツで平気な顔をしているという。
そうなってしまうのかなぁ?


-----本日の作業など-----
・11倉庫前片付け
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック
・テストガス精製

<日の出日の入>
日の出  6:18
日の入  18:38
<気象情報3月20日>
平均気温-12.8℃
最高気温-6.2℃(2334) 最低気温-19.2℃(0608)
平均風速2.7m/s
最大平均風速9.0m/s風向ENE(2330) 最大瞬間風速11.4m/s風向ENE(2322)
日照時間 11.5時間

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前日の最低気温が-13.1℃(2358)、その中で「快適に」オーロラの撮影をしていたとメールに書いてありましたが、その後さらに下がって朝には19.2℃だったんですね。
以前からの「昭和基地NOW!!」で気温が下がるのは快晴で風のないときというのは経験的に?知っていたのですが、今シーズン最低気温はやはり快晴の日でした。
前日も晴れていたので、放射冷却でぐっと気温が下がったのですね。
カーリング大会の日だったかな?確か最高気温が+になっていて、まだこんなに暖かい日があるのだと思っていたら、一気にきましたね。
一気に気温が下がった様子は澤柿さんのブログの「冷えた」で見ることができます。
オーロラもきれいでした(渡井さんも写ってました、たぶん)。

私が体験した最低気温は-20℃。
一度は八ヶ岳で、一度は昨年12月の極地研究所の見学会での低温室でした。
極地研の低温室は長居をしなかったので、ちょっと寒かったくらいでしたが、八ヶ岳の時はそれなりに寒かったです。
でも、-13℃の北海道のほうが寒かったのはやはり風が強かったからでしょうか?
いや、防寒着が違ったからかもしれません。

+10℃と+20℃の差と-10℃と-20℃の差が違って感じるのは、人間の感覚器の問題なのか、それとも経験の問題なのかな?
だって+10℃や+20℃は私たちの生活によくある気温だけれど、-10℃や-20℃は滅多に経験しないのですよね。
もしかして-10℃や-20℃が一年のうちの多くを占めている地域の人だったら、+10℃や+20℃はどちらも同じように感じるようなことはないのかな?
だって、越冬すると寒さに慣れてしまうんでしょう?
そのうち-10℃や-20℃が分かるようになって、+10℃や+20℃をどちらも「暑い」と言うようになるのではないかと思っているのですけれど。
そうじゃないと「しらせ」の船上でTシャツでうろうろしないでしょう?
ね、どうです?

作業は風がなくても、手先や足先からしんしんと冷えてきませんでしたか?
気温の低い中の作業、お疲れ様でした。

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