JAHPON LAND( Pucci )

スケートファニチャーやステンドグラス作品などJAHPON.comとして活躍する作家 土屋隆亮(プチ)のメッセージ!

ペンキの精霊ユズル君

2007年10月17日 | Weblog
では具体的に どんな症状で病的な深読み遊びをしているのかを検証してみます。自由が丘の巨大な壁画作品を鑑賞します 最初に見てから読んで下さい!(ユズル君のサイトに写真があります)まず遠くに黒い海が見えます 壁の色のまま残した空はグレーの曇り 右の小屋の屋根の上で その波をチェックするサーファーが1人 左の家の窓からは白いオバケが オバケポーズでニョッキリ!煙突?からピンクの煙がもくもく オレンジの道にはパーカーをかぶったスケーターが読書しながらカメラ目線でニッコリ そして近景には巨大に描かれた 青いウサギらしき動物を抱えて黒いペンキ缶を下げたボクちゃんが歩いて来ています。最初に引っかかる事は黒い海です!あれー?黒い色のペンキ持ってるし 海を塗っちゃったの?ホワイ何故~に~?ここで永ちゃんでは無くローリング・ストーンズの曲「Paint It Black」が聴こえてきます!幻聴です!口ずさむなら清志郎の日本語カバーでOK!「黒く黒く黒く塗りつぶせ」という心理には不満や何かしらのネガティブ要因がある,,,ここでこの絵の主人公のボクちゃんに おれが憑依してしまいます。「おれぇ~海が恐いんだよね、前世で溺れたかも...友達にサーファーが多くて スケート狂のおれなら絶対ハマるって誘われるんだよね~でもぉ...」実際 異常に憧れていて「好き 好き 大嫌い!」な分裂症ぎみの感覚が絵の中のボクちゃんに ピったり一致したのです!「青い海なんて だいっきらいだぁ~」なんて昭和的な青春シーンがチラつきます。でもそんなに深刻じゃ無いんだよね!イタズラ的な感覚で 大好きな女の子を ついつい いじめてしまうのに似た 正直なラブコールで 奇麗な色の海を描く「ラッセン」的なストレートな絵よりも、この黒く塗っちゃった事の方が断然リアリティーのある愛情ではないかと思う程 信じられる感覚なのです。そんな事を考えながら作品を見上げていたら、少し感動して来ちゃって、彼女に 大っ嫌いって言いながら抱きしめられる想像したら眼も潤んでしまいました。次にスケーター!古典絵画にも見られる絵の中から絵を観てる人を見る カメラ目線の人物!それは作者だと定説がある通り 笑うユズル君かな。しかも 中沢新一先生著「精霊の王」によるとフード ずきん をかぶった子供 = 精霊です。世界の神話や風習から紐解かれた この存在は霊性の世界との壁や動物との境界等を流動的に行き来する通路を持つ者なのです。こういった書物からの深読みの際「知らなくても不思議と無意識に知っている事が起こるのが絵なのです!」何故なのかは読んでみて下さい。イタズラに反応したオバケちゃんが べろ~ん!ピンクの煙はもくもくもく 火事かしら?同時に起こるインスピレイションは、意味よりも感覚で 音を口で当てて言ってみるのがオススメです。結局 絵に たくさんの何かが登場すると、全部作者の幽体離脱した分身なんだよね!無い所から生んじゃってる訳だから当然か!って時に 絵の中に現実のユズル君が黒いペンキ片手に梯子に登って海を仕上げ塗りしだした時なんて 可笑しくて吹き出しちゃいました!最高!パラドックス!ライブ見に来て良かった。そうやって全キャストの関係や設定を勝手に把握すると途端に絵が動きだすのです!オバケなんて 出たり入ったり ハト時計みたいでしょっ!勝手な効果音とか、リズム感の無い自分の声のBGM「くろく~くろく~」とか にぎやかです。こんなに 病的に長い時間楽しむ事が出来るのは、おれの チャンネル チューニングの様なものがユズル君と合うからかもしれませんが、繊細な愛情を 決してハート形なんかで下品に現さないリアリティのセンスは、多くの人に 簡単では無い 複雑で見えづらい 人間や世界の 本当の美しさを導える力を持っているのだと信じられます。ありがとう!