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コロナ禍で露呈した正体 IOCは「世界最大のスポーツ興行主」【本当にやるのか? 東京五輪7つの壁】

2021年07月28日 23時00分07秒 | 社会のことなど
>興行主の立場を優先し、コロナ未収束でも開催を強行するなら、IOCは人類の敵対者に成り果てるだろう


【本当にやるのか? 東京五輪7つの壁】#6 「事の始まりには不思議な力が宿る」 

 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は3日、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会と日本政府、東京都、IOC、国際パラリンピック委員会(IPC)の5者協議の冒頭、独詩人ヘッセの詩を引用し、協議に期待を寄せた。だが、合意内容は、訪日外国人客受け入れ是非の月内判断だった。政府と組織委は訪日外国人客見送りへ舵を切り、バッハ会長の通常開催論はようやくついえた。


  世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は1日、世界の新型コロナウイルス感染が7週間ぶりに増大し、ワクチン頼みは限界があると、感染拡大抑制措置を緩和しないよう各国に要求。マイク・ライアン上級ディレクターは、年内コロナ収束を非現実的と断じた。コロナ禍は世界を席巻し続けているのだ。 

 だが、バッハ会長はこの1年「WHOの助言に従う」と繰り返しながら、通常開催に拘泥した。IOCは2009~10年にWHOが新型インフルエンザパンデミック宣言中、バンクーバー冬季五輪を開催した過去がある。  

コロナ禍は「平和の祭典」「スポーツの祭典」と称されたオリンピックとIOCの正体を世界にさらした。IOCは、スポーツを通じた理想世界を目指す「オリンピック・ムーブメント(運動)」の推進者ではなく、「オリンピック・モーメント(惰性)」に伴う利益確保に血眼な「世界最大のスポーツ興行主」だったのだ。 

 これを端的に示すのがIOC幹部の言動だ。新型コロナが欧米でも感染爆発した昨年3月になって、IOCは東京大会の延期を決める。感染は世界に広がり、バッハ会長は同年5月のインタビューで中止の可能性にも言及した。  

ところが、東京大会の調整委員長で、IOC副会長のコーツ氏は昨年9月、「コロナがあろうとなかろうとオリンピックを開催する」と唐突に表明した。感染収束も、ワクチン接種もない時期の発言の背景にあったのは、32年大会開催地選考だ。

  コーツ氏は豪オリンピック委員会会長でもあり、豪ブリスベンは招致運動を行っていた。モリソン豪首相は昨年11月に訪日し、菅首相との同日夕の会談に先立ち、バッハ会長と会談した。IOCは今年2月、32年大会優先候補地にブリスベンを選ぶ。豪大手メディア「ニューズ」は、「モリソンとオリンピックのボスの会談が秘密兵器となった」と伝えた。  

時系列を追えば、コーツ氏は自国大会招致のため、東京大会開催を主張したとしか見えない。IOCも東京大会再延期に伴うブリスベン先送りを避けられた。オリンピック開催を「惰性」で続けたいIOCの本音がそこにある。興行主の立場を優先し、コロナ未収束でも開催を強行するなら、IOCは人類の敵対者に成り果てるだろう。(つづく) (後藤逸郎/ジャーナリスト)


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