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「俺が不幸に遭った日やのに!」逮捕状が出た当日、ガーシーが仲間と交わしていた密談のすべて

2023年03月24日 10時03分53秒 | 事件と事故
>東谷はUAEで居住ビザを持っている。その残存期間は相当な年数がある。たとえ旅券返納命令に応じず、パスポートが切れたとしてもその残存期間はビザは有効で滞在できる公算が大きい。すぐに不法滞在になり、強制送還になるわけではない。また、インターポール(ICPO)を通じて手配されたとしても、殺人などの凶悪犯罪ではないため、滞在国に身柄拘束を求める赤手配(レッドノーティス)ではない


【独自】「俺が不幸に遭った日やのに!」逮捕状が出た当日、ガーシーが仲間と交わしていた密談のすべて《元朝日新聞記者の爆弾の書『悪党』》(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース 



「俺が不幸に遭った日やのに!」逮捕状が出た当日、ガーシーが仲間と交わしていた密談のすべて《元朝日新聞記者の爆弾の書『悪党』》
3/24(金) 6:03配信
6コメント6件

2022年7月10日、参院選で当選確実となった直後の東谷

 ガーシーこと東谷義和(51歳)=敬称略=のインタビュー原稿をめぐる対応で朝日新聞の所属部署と衝突し、昨年8月末で朝日新聞社を退職した筆者・伊藤喜之は、その後もドバイに引き続き住み、取材を継続させてきた。



 *

書籍刊行の前日の急展開


 日本警察が逮捕状を取った3月16日深夜、私はアラブ首長国連邦(UAE)の某所で渦中のガーシーこと東谷義和(51歳)=敬称略=に接触した。日本メディアは一斉に前日までの「議員」とは一転して東谷を「容疑者」呼称で報道し始めていた。 

 屋外の場所で、すでに夏に向けて日々暑さを増しているUAEとは言っても、まだ少し肌寒さがあった。ブルーの長袖トレーナーを着て現れた東谷は私を見るや、「あっなんですか、伊藤さん。また、自分の本の宣伝してもらおうと思てるんやろ。こんな俺が不幸に遭った日やのに。もう結構売れてるらしいなー」と声をかけてきた。相当な皮肉まじりだが、笑みがこぼれている。


  警視庁が人気俳優らへの暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)などの疑いで逮捕状を取得したことには、もうだいぶ開き直っているようで、表情はスッキリしているように見えた。  

皮肉や冗談を飛ばしてくる時の東谷は大抵機嫌が悪くない。逮捕状請求の報道が出た直後のツイキャス配信で、東谷は「すごい国やわ、日本は。一生帰国しないことを覚悟できました」と宣言したばかりだった。 

 ちょうど日本時間では日付が17日となり、拙著『悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味』の発売日になっていた。なんの因果か、3月15日に議員の除名処分、16日に逮捕状という流れで発売を迎えた。もちろん狙いすました訳ではなく、本来は遅くとも1月までに世に出したいと思っていたのだが、私の執筆が遅く、大幅にズレ込んだ結果だった。  

これほど早期の逮捕状は私にとって想定外だったが、リスクは承知の上で、この日ばかりは東谷に会い、面と向かって本の発売を伝えたいと思っていた。本ではあくまで是々非々で東谷について書いたつもりだが、1年近く取材してきた相手に筋は通さないといけない。だが突然、「容疑者」となった東谷と対面し、これまでにない緊張を感じたのも事実だった。


私を「席払い」して語ったこと
3月6日、トルコの被災地を訪問した際、日本のテレビ局の取材を受ける東谷

 3月初旬に会った際には冗談めいた言い方だったが、東谷から私はこう言われていた。  

「結構、書きすぎてるところあるから、もう伊藤さんにはあんまり大事なこと言えへんなって話してたんや」 

 直前にすでに校了した段階で初めて本の内容について秘書を通じて東谷に示していたため、その感想だった。当然だが、私は東谷の周辺にいる人物に取材を重ねたため、そこには彼にとってあまり触れられたくない事実も多く含まれていたのだろう。 

 特にガーシーCHの誕生の陰にどのように舞台裏があったのか、どんなふうにスキームを組み立てたかという詳細は彼自身も具体的には言及してこなかったポイントだった。そして、その点は彼の捜査を進める日本警察も関心がある情報のはずだった。 

 しかし、それこそが私が最も書きたかった点の一つだったし、そこには駆け引きがあった。私は東谷の「書きすぎてる」との指摘に苦笑いで応じるしかなかったが、東谷は特段それ以上何も言わなかった。 

 彼は一度不満を相手に直接伝えたら、その後は大抵ケロッと忘れてしまう性格だった。それに、日本中が東谷に不信の目を向けている時期に、是々非々の内容ではあっても自分に密着した本が発売されること自体は嬉しかったのだろう。 

 だが16日夜に会った際、東谷は良くても、周囲は若干私に対する警戒感があったようだ。私が少し東谷と会話を交わした後、彼の側近からは「これからちょっと打ち合わせするので」と断れられ、席払いを指示された。私は少し離れた別の席に座ることになった。

  それでも東谷と仲間の5人ほどでの会話内容は、私のところまで断片的に聞こえてきた。聞き耳を立てる私へのサービスではないかと思うほど、東谷は時折大きな声で話していたからだ。  


こんな言葉が聞こえた。 

 「いや、ほんま俺はもう帰国する気満々やったんや。直感的にもう帰国するしかないと思った。ここで大博打だと。でもその時に高橋さんからめっちゃ長いメッセージが届いて」

FC2創業者・高橋理洋からの「説得メッセージ」

2022年7月10日、参院選で当選確実となった直後の東谷

 15日の彼の有料オンラインサロン・ガシルの配信でもすでに明らかにしていたが、東谷はトルコ支援からドバイにいったん帰国したあと、すぐに韓国に向かった。除名処分が決定する前に滑り込みで、韓国経由で日本に帰国する。不逮捕特権もギリギリまだ残る中で、逮捕されずに国会に向かう。警察の事情聴取も受ける。そうすれば、除名も受けず逮捕されることもなく、なんとか切り抜けられるのではないかと考えたらしい。 

 韓国で弁護士と落ち合って改めて帰国の是非を話し合った。すぐに逮捕されなくても、やはり旅券返納命令がすぐに出される可能性があること、除名処

  そして、その最中に届いたのが動画投稿サイトFC2の創業者で、東谷の盟友である高橋理洋氏からの帰国を思いとどまるよう説得するメッセージだった。 

 東谷が2021年12月、自らの詐欺疑惑がSNSで暴露され、自殺を図ろうとした際にメッセージを送ったわずか数人の中に高橋氏はいた。それだけ高橋氏の意向は東谷にとって大切にしなければいけないものだった。  

実はその同じタイミングで、私も東谷に同行して韓国入りしていた秘書にこうメッセージを送っていた。  

「東京から真偽不明の情報。万が一、帰国するなら同行取材させてほしい」  私は東谷はまだてっきりドバイにいると考えていた。私もドバイにいたのだが、日本にいる知人から「ガーシーが帰国するって情報がある」と連絡が来ていた。一部マスコミが成田で張っていると。そのため事実確認のために秘書に確認したのだった。 

 だが、秘書は「何かあったんですか」「それは突拍子もない話ですね」と私に返してきた。簡単に言えば、しらばっくれられたわけだ。あとで聞いたところでは、東谷や秘書は私のメッセージを見て、「ゾッとした」らしい。 

 結局、東谷は高橋氏からのメッセージが決め手になり、帰国を取りやめた。15日にドバイに戻った。そして同日、参議院の本会議では賛成多数で除名処分が決まり、続いて16日に逮捕状が出されたわけだ。


これからガーシーはどう動くか?私の直感

 「総領事からパスポートのことで電話があった」。打ち合わせを続ける東谷からは、そんな言葉も聞こえてきた。逮捕状が出されてすぐに旅券返納に向けてドバイ総領事館から連絡があった訳だ。旅券返納命令が出されると、その当事者が海外にいる場合は現地の大使館や領事館が当人に接触を試みて返納を求める。その後、官報に記載され、20日以内に応じなければ、パスポートが失効する。そのプロセスが早くも始まっていたのだった。

  肝心のこれから東谷はどう動くのかという点は、さすがに声を潜めたのか私には聞こえてこなかった。だが私は長らくドバイに暮らしているので私なりの予想はある。 

 東谷はUAEで居住ビザを持っている。その残存期間は相当な年数がある。たとえ旅券返納命令に応じず、パスポートが切れたとしてもその残存期間はビザは有効で滞在できる公算が大きい。すぐに不法滞在になり、強制送還になるわけではない。また、インターポール(ICPO)を通じて手配されたとしても、殺人などの凶悪犯罪ではないため、滞在国に身柄拘束を求める赤手配(レッドノーティス)ではない。 

 一部のテレビ報道では「何年かかっても逮捕する」という捜査幹部の言葉が報道されていたが、それだけ逮捕に時間がかかることを警察も覚悟しているということだろう。東谷は配信で「引っ越す」とも語っていて、居場所を掴みにくくするはずだ。  

一方で、UAEにはタイのタクシン元首相やアフガニスタンのガニ元大統領をはじめ、政治亡命者が数多く滞在している。母国に帰れば刑事訴追などを受ける可能性があるが、彼らはその不当性などを訴えた結果、UAEが保護している。 

 東谷の場合も、最近は警察の捜査を「国策捜査」などと指摘し、その不当性を訴えている。これはUAEという国の根本政策に関わるところであり、日本政府が求めたからといって簡単に身柄引き渡しに応じるとは思えなかった。 

 本連載では、東谷の無垢さゆえに善悪どちらにも振り切れてしまう特性を指摘してきた。もちろん、それで彼の著名人暴露のすべてを正当化させたいという意図はない。ただ、日本のメディアが警察や国会の動きに寄りかかることでしか東谷について報道せず、すでに事実上犯罪者のレッテルを貼り、実際の「顔」が見えなくなっている、いや「顔」を見ようともしなくなっている今だからこそ、彼の実像を伝える意義はあるだろうと思ったのだ。  

会社法違反(特別背任)などの罪に問われ保釈中にレバノンに逃亡した日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告のように東谷もまた逃亡し続けるのか。少なくとも悩みに悩んだ末に結論を出した東谷に今後、何らかの心境や状況の変化がない限り、帰国するという可能性は限りなく低いのは確かだろう。 

 そんな彼を警察はどう追い詰めようとするのか。拙著『悪党』のエピローグでは、「タダでは終わらない」と東谷の行方を予想したが、どうやらその方向に向かうのは間違いなさそうだ。



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