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量子力学が投げかける究極の問い──「物質は実在しない」は本当か?

2024年03月09日 21時03分08秒 | 科学のはなし

量子力学が投げかける究極の問い──「物質は実在しない」は本当か?

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 相対論とならぶ二大物理理論・量子力学は、世界の見方を根幹から変えたことで知られています。
 量子力学が提示した世界観・物質観に猛然と異を唱えたアインシュタインは、量子力学の創始者の一人・ボーアと激しい論戦を繰り広げました。

「果たして実在とは何か」──大いなる問いをめぐる熱い論争の100年を克明にたどった近刊『実在とは何か──量子力学に残された究極の問い』(筑摩書房)が話題となっています。
 
 同書の翻訳を担当した吉田三知世さんに、その深い魅力を語っていただきました! 

10/18/2021

量子力学の解釈問題



ニールス・ボーア photo by gettyimages

 20世紀の幕開けに萌芽(ほうが)した量子力学は、1925年に理論的に定式化され、はや100年になろうとしている。その応用は着々と進み、エレクトロニクスを生み出して、情報通信技術や医療その他の産業を成り立たせている。スマートフォンなど、日常生活で触れる機器をとおして暮らしにも浸透している。

  ジャーナリストのブライアン・クレッグによれば、2014年における「先進国」のGDPの約35パーセントが量子技術に由来するという。今や量子力学は現代社会にとって不可欠だ。  

そんな量子力学だが、わかりにくい。 


 だが、それはある意味当然だ。量子力学は、日常生活では見たり触れたりできない分子や原子、そしてそれよりもはるかに小さな要素を扱う理論だからだ。そのため高度な数学が必要で、訓練なしには厳密には扱えなくなってしまう(だが、数学抜きでも、最も大切なその「考え方」は議論できるので、ご安心を)。 

 さらに量子力学には、その解釈を巡る問題がつきまとう。 

 量子力学の正統的な解釈法は、ボーアが提唱したコペンハーゲン解釈である。観測結果のみが実在であり、その背後に実在など存在しないという、実証できることだけを問題にする立場だ。観測対象を記述する波動関数は、観測によって乱され、瞬時に「収縮」して一つの値に決定するという。 

 『実在とは何か』は、コペンハーゲン解釈の持つ問題点を取り上げ、それが初期から批判されてきたこと(特に、局所的な客観的実在を信じるアインシュタインによって)、代替解釈がいくつも提案されていること、そして実験によって局所実在論的な見方は否定されたものの、コペンハーゲン解釈の実在の捉え方にも問題があることを紹介し、このような状況に至った科学史的経緯を、多くの文献やインタビューを通して明らかにし、最後に今後物理学者はどのような姿勢で物理学に臨むべきかを提案する意欲的なものだ。 


 著者アダム・ベッカーは、宇宙論の博士号取得後、カリフォルニア大学バークレー校の客員研究員を務めたこともある。BBCのウェブ動画の原稿や、科学誌『ニュー・サイエンティスト』の記事なども執筆し、量子力学の不思議な世界を人々に広める活動に取り組む。

  「How can we truly understand what’s real? (実在とは何か、真に理解するには? )」という約7分のウェブ動画に『実在とは何か』のエッセンスがアニメでわかりやすく紹介されているので、ぜひご覧いただければと思う

(https://www.bbc.com/reel/video/p09fgqll/how-can-we-truly-understand-what-s-real-)。




従来とは異なるボーア像



 『実在とは何か』で驚くのは、従来とは違ったボーア像だ。 

 賢人と呼ばれながら、話は要領を得ず鈍重で、自らを中心とするグループが構築した、実在については不問にする解釈を強気で押し進めたかのように描かれている。これは、若手研究者を大切に育てた徳の高い科学者としてデンマーク市民からも尊敬されているという、ほかの多くの本のボーア像とはかなり違う。 

 じつのところボーアは、コペンハーゲン解釈を当面のあいだ守り通すことにより、慎重な不可知論の立場で、生まれたばかりの量子力学を大切に育てたかったのではないだろうか。ノートルダム大学のドン・ハワード教授が述べているとおり、不明な部分を推測で論じるのではなく、しばらく不問にしておいて、確実にわかる観測結果だけを論じているうちに、やがて客観的で腑に落ちる全体像が出現するだろうと期待していたのではないか。 

 科学で問題に取り組む際、わからない困難なことに出会ったなら、多くの科学者がするように。それは不誠実さとは違うだろう。 

 20世紀前半にウィーンを中心として興隆した論理実証主義哲学と、量子力学との双方向の影響について、詳しい事実が紹介されているのは興味深い。観測結果だけが実在だというコペンハーゲン解釈は、知覚可能なものだけが存在するという論理実証主義の考え方とうまく合致していた。  

ウィーンの論理実証主義者たちと、コペンハーゲンの物理学者たちは交流もしていたという。同時代にあって、共通する考え方の枠組みを使い、影響しあっていたようだ。科学は、哲学をはじめとする思想や、時代の趨勢と常に関わりあっている。

  ボーアはまた、東洋の陰陽思想や、美術のキュビズムにも触発され、相補性の考え方に至ったそうだ。物理学の思考と、ほかの思想との類似性を見抜き、役に立つ思想を柔軟に取り込み、物理学に活かすことのできる人であったと言えよう。


アインシュタインの先駆性



1920年初頭のボーア(左)とアインシュタイン(右)。アインシュタインは、後にボーアらの実証主義的なコペンハーゲン解釈の批判に回った 

photo by gettyimages


 アインシュタインも、常に哲学を思考に活用していた。相対性理論構築の際、論理実証主義の前身とも言えるエルンスト・マッハの思想を拠り所とした。 

 しかし後に実在論的立場へと転じ、いわば量子力学の哲学的な基盤を厳しく問い、実証主義的なコペンハーゲン解釈の批判に回る。二度のソルヴェイ会議で論争を挑み、また、1935年にEPR論文を発表して、量子力学は「非局所的か、あるいは不完全だ」という議論を突きつけたことはつとに有名だ。彼は、量子力学の背後に、何らかの実在的な「隠れた変数」があると考えていた。


  科学史においては、ボーアとアインシュタインの議論では、保守的な実在論に固執するアインシュタインが、進歩的なボーアに論駁(ろんばく)されたとされることが多いようだが、じつのところ、古典力学に従う巨視的な観測者に依拠した観測論に固執したボーアのほうがむしろ保守的で、アインシュタインが行ったコペンハーゲン解釈批判こそ、ボーム、エヴェレット、ベルをはじめとする新しい考え方につながったように思われる。 

 1964年、ベルは量子力学の予測と一致するような予測をする隠れた変数理論はすべて非局所的であることを発見し、仮に局所的な隠れた変数理論が存在するなら、それが満たすべき不等式を突き止める。これにより、それまで哲学的傾向の強かったボーアとアインシュタインの論争が、科学的に検証可能なものとなった。 

 そして、ついに2015年、ベルの発見から半世紀を経てようやく、四つの研究チームが独立に、正確な検証実験に成功。ベルの不等式の破れが検証され、アインシュタインの局所的実在論は反証されたのだった。  

しかし、証明されたのは、非局所的な相関が存在するということであって、実在を考えないコペンハーゲン解釈が正しいということではないだろう。非局所的な相関を持つ実在には可能性が残っている。つまり、観測による波動関数の瞬時の収縮を持ち込まないで済むような量子力学の解釈の可能性は否定されていない。エヴェレットの多世界解釈など、新しい提案はこの方向にあるといえよう。


「新しい物理学」のために必要なこと

哲学や科学の思考と社会の共通認識や風潮は、互いに影響を及ぼしあって変化していくだろう photo by gettyimages


 波動関数の収縮と、たとえば多世界、どちらも直観的にはなじみにくく、どちらを好むかは人それぞれだろう。解釈は恣意的に選べるなら、既存のコペンハーゲン解釈を使い続ければいいという考え方もある。 

 しかしベッカーは、どの解釈を採用するかは大きな問題だという。現状を打開し、新しい物理学を発見するには、解釈の選択は重要なのだ。 

ァインマンも、数学的に等価な二つの理論を実験によって区別することはできないが、どちらの理論を選ぶかは、その人の世界観に大きな違いをもたらすと指摘している。科学理論は実験結果だけから構築することはできず、世界観を必ず伴っている。つまり、新しい物理学をもたらすには、新しい世界観が必要なのだ。 


 ある科学理論が、進歩のために変化すべき時点に到達しているのに、特定の考え方に固執しつづければ、それは謬見(びゅうけん)・偏見となる。進歩するには、考え方の枠組みはシフトしなければならない。

  シフトの方向の導き手となるのが世界観であり、哲学はその源として頼れるだろう。シフトを妨げる、科学者個人や科学者コミュニティーに潜む偏見に常に注意を払い、理論にどんな解釈があり得るのか、どの解釈に発展性があるのかについて、オープンな心で探り続け、また、哲学や歴史を学んで、大局観を失わないようにしようと、ベッカーは呼びかける。  

たとえばデイヴィッド・ドイッチュは、エヴェレット自身からその多世界理論を聞き、並行宇宙という新しい世界観を獲得し、これを利用して量子コンピュータ理論を考案したという。

ドイッチュらの成果を足がかりに、従来のコンピュータでは事実上不可能な計算を超高速で成し遂げる量子コンピュータの開発が実際に取り組まれている今日、多世界解釈には発展性が感じられる。

  このように科学理論が突き動かす実社会の動きは、市民の世界観にも変化をもたらし、新しい量子力学の解釈が人々の共通認識になっていくのだろう。逆に社会の共通認識や風潮も、哲学や科学の思考に影響を及ぼして、すべてが絶えず変化していくのだろう。

  ゆっくりと、あるいは急激に。

 ---------- 実在とは何か――量子力学に残された究極の問い 著:アダム・ベッカー/訳:吉田 三知世 『実在とは何か』については、

〈https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480860927/〉からどうぞ 宇宙の終わりに何が起こるのか 著:ケイティ・マック/訳:吉田 三知世 『宇宙の終わりに何が起こるのか』については〈https://bookclub.kodansha.co.jp/product? item=0000325637〉からどうぞ ----------


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現代ビジネス 10/17(日) 7:36 

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死に関する衝撃的な事実

2024年02月22日 21時03分48秒 | 科学のはなし


死に関する衝撃的な事実



死は人生の避けられない側面であり、すべての個人がある時点で直面しなければならない普遍的な経験です。しかし、恐ろしい出来事である必要はありません。死について理解する際には、多様な視点や解釈が存在します。
亡くなった後に何が起こるのか、誰も確定的には言えませんが、このテーマに関連する興味深くて珍しい事実があります。以下のギャラリーで、死に関する魅力的で珍しい事実のコレクションを探求しましょう。


自然がすべてを解決する
人の死後3日経つと、最後の食事の酵素がその死体の消費を始めります。



埋葬
歴史的記録によれば、亡くなった人を埋葬する習慣は35万年以上前にさかのぼります。


死者数
人口参照局によると、人類誕生以来、約1170億人が亡くなっています。

生年月日
あなたが生まれた日に約15万3千人が亡くなりました。

処方された薬
国立医学図書館の論文によると、米国だけでも毎年7000~9000人が、医療用原稿の字の汚さが原因で死亡しています。



聴覚
聴覚は、私たちが死ぬときに最後になくなる感覚です。


エベレスト山
エベレスト山には登山道沿いに200の遺体があり、頂上を目指すハイカーたちの基準となっています。




対照
Sentient Mediaによると、人間へのサメ襲撃の直近5年間の世界平均は年間72件で、人間は1時間に約11,000匹のサメを殺し、年間1億匹のサメを殺しています。


リスク
浴槽で滑って死んだり、雷に打たれて死んだりする確率は、テロ攻撃よりも高いです。



ベッドから落ちる
CDCによると、米国では高齢者の転倒死亡率は2012年から2021年にかけて41%上昇し、10万人当たり55.3人から78.0人に増加しました。



飛行機
統計によれば、飛行機事故よりも空港に向かう途中の交通事故で亡くなる確率の方が高い。




最前線のハート
心血管疾患は依然として世界的な死亡原因の第一位です。




永遠
クラゲは老衰で死なない唯一の動物です。







https://www.msn.com/ja-jp/entertainment/hollywood/%E6%AD%BB%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%A1%9D%E6%92%83%E7%9A%84%E3%81%AA%E4%BA%8B%E5%AE%9F/ss-BB1ispHV?ocid=msedgdhp&pc=NMTS&cvid=902cf429450d428f8f3e9f332e74bdf8&ei=9#image=1
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アインシュタインの重力理論と量子力学の統一を目指す新理論――時空は量子的ではなく古典的

2024年02月04日 11時03分57秒 | 科学のはなし


アインシュタインの重力理論と量子力学の統一を目指す新理論――時空は量子的ではなく古典的

2023-12-28化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース




Credit: Isaac Young


アインシュタインの古典的な時空概念を維持したまま、重力と量子力学を矛盾なく統一する革新的な理論が発表された。この理論は英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)によるもので、2023年12月4日付で『Physical Review X(PRX)』と『Nature Communications』それぞれに異なる論文が掲載された。


現代物理学は、宇宙における最小粒子を支配する量子論と、時空の歪みによって重力を説明する、アインシュタインの一般相対性理論という2本の柱の上に打ち立てられたものだ。しかし、これら2つの理論は互いに矛盾しており、この問題は1世紀以上にわたって解決できていない。


一般的な仮説は、アインシュタインの重力理論が量子論に適合するように修正されなければならない、つまり「量子化」されなければならない、というものだ。量子重力理論の有力候補である「弦理論(ひも理論)」と「ループ量子重力理論」はこのようなアプローチとなっている。


UCLのJonathan Oppenheim教授が提唱した新しい理論は異なるアプローチを取っており、一般的なコンセンサスに疑問を呈し、時空は古典的である、つまり量子論には全く支配されていない可能性を示唆している。


PRXに掲載された「古典重力のポスト量子論(postquantum theory of classical gravity)」と呼ばれるこの理論では、時空を修正する代わりに量子理論を修正し、時空そのものが媒介する予測可能性における本質的な崩壊を予測する。その結果、量子論で想定されるよりも大きい、ランダムで激しい時空のゆらぎが生じ、正確に測定しても物体の見かけの重さが予測不可能になる。


『Nature Communications』に掲載されたもう1つの論文では、この理論の帰結のいくつかに注目している。それを検証するための実験として、非常に正確に質量を測定し、その重さが時間の経過とともに変動するかどうかを確認することを提案している。量子重力と古典重力の両方において、時空はわれわれがまだ検出できないスケールで、激しくランダムにゆらいでいるはずだが、時空が古典的であるならば、ゆらぎはあるスケールより大きくなければならないのだという。


例えば、フランスにある国際度量衡局では、かつて1kgの標準であった国際キログラム原器を常に測定している。この測定値の変動が、数学的な一貫性を保つために必要な値よりも小さければ、今回の理論は否定されることになる。


過去5年間、UCLの研究グループはこの理論のストレステストを行い、その結果を探ってきた。UCLの博士課程の学生として実験提案の開発を助け、理論そのものにも重要な貢献をした論文共著者のZach Weller-Davies氏は「この発見は、重力の基本的な性質についてのわれわれの理解に挑戦するものだが、同時に、その潜在的な量子的性質を探り出す道を提供するものでもある」と述べている。


関連情報
New theory seeks to unite Einstein’s gravity with quantum mechanics | UCL News – UCL – University College London
Phys. Rev. X 13, 041040 (2023) – A Postquantum Theory of Classical Gravity?
Gravitationally induced decoherence vs space-time diffusion: testing the quantum nature of gravity | Nature Communications

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タイムマシーンの実現に>過去を変えても大丈夫!>パラドックスなしに行えると数学的に証明

2024年01月27日 21時03分43秒 | 科学のはなし
タイムトラベルはパラドックスなしに行えると数学的に証明


2022/12/22(木) 20:23:22


タイムトラベルはパラドックスなしに行えると数学的に証明

 私たちが知る限り、過去へのタイムトラベルに成功した人間は存在しません。

 しかし、タイムトラベルの研究は、理論物理学の限界を探る試みとして現在でも盛んに行われており、多くの優れた科学論文が発表されています。

ただタイムトラベル理論には共通して「祖父殺しのパラドックス」問題がついてまわります。
 
 タイムトラベルを行った人が、過去の世界で、まだ子供である祖父を殺してしまった場合、「祖父は存在しないはずの孫によって殺された」ことになり、因果の崩壊が起きてしまうからです。


タイムトラベルを行った人が、過去の世界で、まだ子供である祖父を殺してしまった場合、「祖父は存在しないはずの孫によって殺された」ことになり、因果の崩壊が起きてしまうからです。


しかしオーストラリアのクイーンズランド大学(UQ)で行われた研究により、タイムトラベルで過去に行った人間は自らの自由意思に従って行動することが可能なものの、パラドックスを起こすような行動は修正され、パラドックスが発生しない結果に落ち着くことが示されました。

しかし、過去でやりたい放題できるのに、なぜパラドックスは起きないのでしょうか?

今回はタイムトラベルの基礎理論を解説しつつ、研究成果の紹介を行っていこうと思います。

研究内容の詳細は重力と時空理論の科学雑誌『Classical and Quantum Gravity』にて掲載されています。

ナゾロジーチャンネル動画公開中
オウムはなぜ人間のマネをしてしゃべるのか?


目次
  • タイムトラベルの基礎理論と自由意志の問題
  • 過去でなんでもできるがタイムパラドックスは起こらない
タイムトラベルの基礎理論と自由意志の問題
タイムトラベルの基礎理論と自由意志の問題


タイムトラベルの基礎理論
タイムトラベルの理論的な基礎は、アインシュタインの考案した一般相対性理論に存在します。
一般相対性理論では「重力が空間や時間を歪める」とされており、時間は絶対的な「神様の時計」によって流れが一定に決められているのではなく、相対的であることが示されています。
以前に行われた研究でも、地表から数ミリほど原子時計を上昇させて地球の重力の影響をほんの僅かに弱めただけでも、時間の流れが加速していることが示されています。
(※強い重力圏の中では時間の流れが遅くなります)
スカイツリーは地上より10億分の4秒速く時間が流れていたことが判明
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では、重力が時間や空間を歪められるならば、重力の操作を工夫することで、世界線の開始点と終結点が繋がっている、ループ世界を作ることはできないのでしょうか?
一般相対性理論に従えば答えは「可能」であるようです。
右側が普通に時間が経過する世界線、左側が開始と終結が繋がっている閉じた世界線右側が普通に時間が経過する世界線、左側が開始と終結が繋がっている閉じた世界線 / Credit:Benjamin K Tippett, David Tsang . The Blue Box White Paper
1949年、ゲーデルは一般相対性理論の方程式から、世界線の開始点と終結点が繋がっている閉じた世界線(時間的閉曲線)を可能にする解(ゲーデル解)を発見することに成功しました。
世界線が閉じている世界では、世界線の終わりを迎えた直後に世界線の開始地点に戻される、ある種のタイムトラベルが発生します。
そのため理論物理学では、タイムトラベルが可能であれば閉じた世界線を作成することも可能であると考えられています。
このゲーデル解はその後も研究が進められ、大質量の円筒を高速回転させることで時空を歪ませ特定の未来を過去の世界線に繋げる「ティプラーの円筒」の概念や「通過可能なワームホール」の理論が発見されることになります。
これらの成果は、一般相対性理論に関する限り、重力を制御することができればタイムトラベルが可能であることを示します。
理論物理学者たちが真剣にタイムトラベルを研究しているのも、理論的な裏付けが存在しているからだと言えるでしょう。
(※一般相対性理論の解から現れる時間的閉曲線(閉じた世界線)は、新たな視点から重力を解釈する量子重力理論や素粒子論によって将来的に排除されると考えている研究者たちもいます)
しかし既存の理論ではタイムトラベルに付随する「祖父殺しのパラドックス」を解決することはできませんでした。
祖父殺しのパラドックスはアインシュタインの方程式を検討したり重力制御装置を開発したりするのとは別次元の、人間の自由意志にかかわる問題だったからです。
私たちは過去改変を自由意志で行えるのか?
私たちは過去改変を自由意志で行えるのか?私たちは過去改変を自由意志で行えるのか? / Credit:Canva

祖父殺しのパラドックスが根深い問題であるのは、古典物理において基礎となる原因と結果の関係を破壊してしまうからです。

祖父殺しのパラドックスが起きてしまうと「祖父は子孫を残さず「未来の子孫に」殺された」という、滅茶苦茶な結果がうまれてしまいます。

このような因果の破綻は、タイムトラベルの基礎となる一般相対性理論をも否定することにつながります。

この厄介な問題に対処するために考案されたのが「ノヴィコフの首尾一貫の原則」です。

この仮説では、タイムトラベラーが何をしようと、その全ては既に歴史の一部として織り込まれているとされています。

宇宙が誕生してから銀河や星ができて、生命が誕生し、人類がうまれる全ての過程が運命づけられているのだから、人類がこれから何を行おうともパラドックスは発生しないという決定論的な考えです。

ノヴィコフの首尾一貫の原則では、人間の自由意志は幻であるとされており、ある人間がどんなに滅茶苦茶な行いに出たとしても、宇宙開闢と星々の形成に続く、予定された出来事とみなされます。

確かに私たちの脳の神経回路は、宇宙の物理法則に従って動いており、私たちが自由意志と思っている何かは、投げたボールが落ちるように宇宙の運命の一部なのかもしれません。

しかし新たに行われた研究では、タイムトラベルっで過去に行った人間の自由意志とパラドックスの問題を同時解決することが目指されていました。


過去でなんでもできるがタイムパラドックスは起こらない

時空間連続体は任意の数の決定論的プロセス(運命)を内包できる時空間連続体は任意の数の決定論的プロセス(運命)を内包できる / Credit:Canva
新たに行われた研究はタイムマシンの作り方を発表しているわけではありません。


代わりに、開始と終結が繋がっている閉じた世界線(時間的閉曲線)で自由意志にもとづいて行動した場合の、世界線に与える影響について数学的な解明を行っています。

アインシュタインの方程式によれば、閉じた世界線の存在はタイムトラベルの可能性へとつながります。

そのため閉じた世界線での人間の自由意志を数学的に解明できれば、タイムトラベルに付随する祖父殺しのパラドックスを理解することが可能です。

結果、閉じた世界線(時間的閉曲線)は非常に複雑なシステムを構築可能であり、タイムトラベルでも自由意志による選択が可能だと判明します。

(※より専門的には「時空間連続体は任意の数の決定論的プロセス(運命)を内包できる」となります)

ただし同時に、閉じた世界線やタイムトラベルがどんな選択をしても、世界の出力が固定されている限り、タイムパラドックスは起こらないことも明らかになりました。

例えば、もしある人間が過去に戻って新型コロナウイルスの最初の感染を阻止したとしても、新型コロナウイルスは別の感染者を通じて感染をはじめるため、結局は世界的なパンデミックは防げないことになります。

もし未来が変わってしまった場合、そもそもタイムトラベラーが過去へ行く動機自体が失われてしまいますが、ここではタイムトラベラーは過去に行って感染を阻止するという動機も失われないため、タイムパラドックスは回避され続けます。


研究者たちは「タイムトラベラーは過去で好きなことを自由に行えますが、常に調整の力が介入して、パラドックスが回避される」と結論しています。

数学的な話ではありますが、ドラえもんのエピソードなどを思い出すと、過去にタイムスリップして未来を変えようとした行動が逆に裏目に出て、変えたかった未来に繋がってしまう、なんて展開が描かれているので、人間が自由意志で行動しても未来が変わらないという状況はイメージしやすいかもしれません。





(以下略、続きはソースでご確認ください)



ナゾロジー 2022.12.22 



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人間の脳は量子計算をしているとの研究結果

2023年12月22日 03時03分01秒 | 科学のはなし
人間の脳は量子計算をしているとの研究結果

2022/10/22(土) 21:02:19


人間の脳は量子計算をしているとの研究結果

 脳を特殊な方法でスキャンする研究により、人の脳が量子的な機能を持っていることが判明したと報告されました。
 この発見は、なぜ人の脳が一部の分野でいまだにスーパーコンピューターをしのぐ能力をもっているのかの解明につながると期待されています。

 Experimental indications of non-classical brain functions - IOPscience
 https://doi.org/10.1088/2399-6528/ac94be



今回の発見は、重力を量子力学の観点からひもとく量子重力の研究から着想を得たもの。ダブリン大学トリニティ・カレッジ神経科学研究所の研究者であるChristian Kerskens氏とDavid López Pérez氏の研究チームは、量子重力の存在を証明するための考案されたアイデアで人間の脳の働きを調べることで、人の脳が量子計算を行っていることを突き止めました。

 
Kerskens氏は研究の内容について「私たちは、量子重力の存在を証明する実験のために開発されたアイデアを応用しました。このアイデアでは既知の量子系、つまり正体が分かっている量子の領域を特定し、それを未知の系と相互作用させます。既知の系が何かと量子的なもつれ、つまりエンタングルメントを起こすのであれば、未知の系も量子的であるはずです。これにより、未知のものを測定するという難題に挑むことができます」と説明しています。

研究チームは今回の実験で、「既知の系」として脳の水分の陽子スピンを使用し、エンタングルメントしたスピンを検出するために考案された特殊な手法で磁気共鳴画像装置(MRI)による測定を行いました。その結果、脳波の信号の一種である「心拍誘発電位」に似たMRI信号を捉えるのに成功したとのこと。

このような信号は通常のMRIでは測定できないことから、研究チームは人の脳内の陽子スピンがエンタングルメントを起こしているからこそ今回の発見ができたと考えています。

 
この発見のポイントは、単に脳で量子的な信号が確認されただけでなく、それが短期記憶といった能力や人の意識といった脳の機能にも関係していたという点です。このことからKerskens氏は「これらの量子プロセスが私たちの認知的・意識的な脳機能の重要な一部である可能性があります」と指摘しました。

 「シュレーディンガーの猫」で有名な物理学者のエルヴィン・シュレーディンガーが「生命とは何か」について有名な講義をした場所で行われた今回の実験により、不測の事態への対応や意思決定、新しいことの学習などを行う人の脳が最新のスーパーコンピューターを上回る能力を発揮する理由が説明できるようになるのではないかと、科学者たちは考えています。


(以下略、続きはソースでご確認ください) 




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