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アインシュタイン「人生最大の失敗」の驚くべき顛末〈dot.〉

2023年02月15日 00時03分44秒 | 科学のはなし
アインシュタイン「人生最大の失敗」の驚くべき顛末〈dot.〉




誰もが知る天才・アインシュタインには「人生最大の失敗」があったという。

彼を長年にわたって悩ませた「失敗」の驚くべき顛末とは――。その逸話を宇宙物理学者・須藤靖(東京大学教授)の著書『宇宙は数式でできている』(朝日新書)より抜粋して紹介する。

2/24/2022

*  *  *
■アインシュタインの「人生最大の失敗」

 アインシュタインは、現在アインシュタイン方程式として知られている一般相対論の基礎方程式に基づいて宇宙がどのように振る舞うのかを計算した結果、無限の過去から無限の未来まで、ずっと同じ状態のままであり続ける静的な宇宙はあり得ず、宇宙は必然的に時間変化することを「発見」しました。

 今の我々であれば、「宇宙が時間変化しても別にいいじゃん」と簡単に納得することでしょう。しかし、その当時、特に西欧においては「神が創られた宇宙は完璧なものであり、それが時々刻々変化するなどもってのほかだ」と考える人々が大多数でした。このように時間変化する宇宙という結論は、アインシュタインにとっては悩みの種でした。

 そこで彼は、一般相対論が静的宇宙解を持つように、もともとのアインシュタイン方程式に新たな項を付け加えました。それはアインシュタインの宇宙項と呼ばれ、それに対応する定数Λ(ラムダ)は宇宙定数と呼ばれています。

 ダーウィンの進化論を学校で教えることを禁止した州があったり、今でも国民の4割が進化論を信じていないとされたりする米国の例を考えれば、このような宗教的な偏見が科学に影響を与えることは、決して過去の話ではありません。そのような偏見とはほぼ無縁な日本は世界的に珍しいというべきなのです。

 しかしながら、このΛ項を導入すべき積極的理由がない限り、勝手にそれを追加してしまうと一般相対論の美しさを減じてしまう、とアインシュタインは考えました。古くからの宇宙観と物理学理論の美しさの間で、アインシュタインはとても悩んだのです。

 こうして宇宙は時間変化してはならないと考えたアインシュタインは、1917年に渋々宇宙項を追加することに決めたのです。






例えば、1995年には米国のローレンス・バークレー国立研究所のソール・パールムターのグループが、遠方の超新星を用いた観測から、宇宙定数は存在しないとする論文を発表しました。その年に京都で開催された国際天文学連合総会の際のシンポジウムで、パールムター氏が行った講演に対して、私は「理論的には宇宙定数が存在するという間接的証拠が積み上がっているが、あなたのグループの観測結果はどこまで確実に宇宙定数を否定していると考えているのか」と質問しました。これは、その当時、宇宙定数の存在を支持していた日本の理論研究者の疑問を代表したものだったように思います。

 実際その後、彼のグループ、及びハーバード大学のブライアン・シュミットとアダム・リースたちのグループは、互いに独立に多くの観測データを追加し、それらに基づいた解析結果から、宇宙膨張は減速ではなく加速していると結論する論文を1998年に発表しました。さらにその後の観測が積み上がるにつれて、その結果はより確実になりました。この宇宙の加速膨張の発見によって、パールムター、シュミット、リースの3名は、2011年のノーベル物理学賞を受賞しました。そして、その加速膨張の原因としてもっとも有力視されているのが、宇宙定数なのです。

 ところで、その当時の状況を指して、「彼らの発見は、それまで予想もされていなかった宇宙定数の存在を示した衝撃的な結果であった」と述べる人も多くいるようですが、これは明らかな間違いです。意図的に話を盛っているのか、あるいは単にその前後の研究の流れを知らないだけなのかはわかりません。

 しかし先述のように、少なくとも私の周りの研究者たちは、宇宙定数が存在しないとした1995年のパールムターの最初の論文にこそ驚いたものの、それを自ら否定した1998年の論文の結果に対しては、「やっぱり予想通りだったね」といった反応だったと思います。




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世界初「ポータブル量子コンピュータ」が発売。2量子ビットで118万8,000円より

2022年12月19日 21時03分40秒 | 科学のはなし
世界初「ポータブル量子コンピュータ」が発売。2量子ビットで118万8,000円より

2022/12/15(木) 21:20:11.

世界初「ポータブル量子コンピュータ」が発売。2量子ビットで118万8,000円より

 株式会社スイッチサイエンスは、中国・深センのSpinQ Technologyが開発した世界初となるポータブル量子コンピュータ「Gemini Mini」、「Gemini」、「Triangulum」を直販サイトにて発売開始した。

 Gemini MiniはポータブルなNMR(核磁気共鳴)量子コンピュータ。
 量子ビット数は2ビットと最小構成だが、量子コンピューティング教育とデモンストレーションのための包括的なソリューションを提供。
 どのような知識レベルを持つユーザーでも、量子コンピュータの基本的な知識と操作を素早く習得できるという。

(以下略、続きはソースでご確認ください)

impress 2022年12月15日 12:32 


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太陽系のすぐ近くに「海」が存在する可能性の系外惑星を発見

2022年12月16日 21時03分50秒 | 科学のはなし

東京大学は12月6日、東京大学や自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターなどの研究者を中心とする研究チームが、系外惑星「TOI-2285b」を発見したこと発表しました。TOI-2285bは、太陽系から約138光年と近くにあり、表面に海(液体の水)が存在する可能性があるといいます。 

2021・12・6

TOI-2285bは、まずNASAのTESS宇宙望遠鏡(正式名称Transiting Exoplanet Survey Satellite)を使って発見されました。TESS宇宙望遠鏡は、NASAのケプラー宇宙望遠鏡の後継機で、トランジット法を使って全天において明るい恒星の周りを公転している系外惑星を探しています。ただ、この発見は解像度や観測期間の限界から新しい系外惑星の「候補」の発見に留まりました。 

そこで、研究チームは、研究チームが開発した観測装置、マスカット(多色撮像装置MuSCAT)シリーズなどを配置した地上の3台の望遠鏡を連携させて、検証観測をおこない、世界に先駆けて、TOI-2285bが本物の系外惑星であることの確認に成功しました。日本の研究者達も頑張っています!

 こうして発見された系外惑星TOI-2285bは、太陽系のすぐ近くにあり、その大きさは地球の1.7倍ほどになります。公転周期は27日ほどで、主星との距離は、地球から太陽までの距離の1/7ほどしかありませんが、主星の温度が3200℃ほどと比較的に低いために、主星から受ける日射量は地球が太陽から受ける日射量の1.5倍ほどにしかならないと見積られています。そのため、もし、そのコアの外側に水の氷の層が存在し、水素の大気に覆われている場合には、水の氷の一部が溶けて、その表面に海(液体の水)が存在する可能性があるそうです。 


そして、研究チームによれば「TOI-2285bは太陽系のすぐ近くにあり、また、その主星は明るいため、その質量や大気の組成を調べることが十分可能」だそうです。 12月25日に打ち上げに成功したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、系外惑星の大気の組成も調べることになっていますので、もしかしたら、TOI-2285bの大気中に水蒸気などが発見されるかもしれませんね。とても楽しみです!



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「中国の科学技術力、圧倒的」大隅博士が語る、日本の科学の未来。選択と集中の果てにあるものとは?

2022年10月19日 13時03分32秒 | 科学のはなし

中国の科学技術力、圧倒的」大隅博士が語る、日本の科学の未来。選択と集中の果てにあるものとは?


「成長戦略の第一の柱は、科学技術立国の実現です」


10/28(木) 8:10 2021

 10月8日、岸田文雄首相が所信表明演説で語ったこの一言は、筆者にとって衝撃だった。

「日本は、科学技術立国である」

 ことあるごとに聞かされてきたこのフレーズが、すでに過去の産物であるという現実を、首相自らが認めている発言ともとれたからだ。

<中略>


中国の躍進で問い直される「日本の科学」




──日本では、すぐに役に立つ研究への研究予算の「選択と集中」が進められてきました。大隅先生はよく「選択と集中」の問題点を指摘されていますが、あらためてその弊害を教えて下さい。 

大隅良典博士(以下、大隅):選択と集中はあってもいいんです。 ただ、それを進める条件は「基礎」があることです。今は、科学の広い裾野を切り捨てた上で、選択と集中をしようとしている。それは間違ったメッセージです。新しい科学は、裾野の広い知の体系から生まれてくるものです。 このままでは、日本の科学の底が浅くなってしまう。

 なにも、あらゆる分野に多額の資金が必要だというのではありません。 研究者の好奇心に基づいたことをコツコツと研究できる土壌を育て、知の裾野を広げておかなければ、次の世代の科学は育たない。その喪失を早めていることが、選択と集中の最大の弊害なんだろうと思います。 私は、このままだと、10年後にノーベル賞をもらえるような人が出てくることはなくなってしまうのではないかと思っています。 


──そういう意味では、近年あらゆる分野で中国の躍進が注目されています。大隅先生は、中国の科学技術の進歩についてはどう捉えていますか。 


大隅:まず、お金のかけ方が違いますよね。私は昔、植物学の研究室にいたのですが、数十年前は中国ではイネ以外の研究にはなかなかお金が出ていなかったようですが、今では、何でも研究できる自由度があると聞きます。

 中国はまさしく国策で科学技術振興を進めているので、資金力も半端ではありません。投資の意思決定も早いので、原理が分かっていてあとは力仕事になるような分野では、もう圧倒的です。 大学もたくさん作られていて、研究の場(ポスト)も増えている。研究者になることに対して、中国の社会には不安が少ないように感じます。 

──若手も研究者を目指しやすいですね。 


大隅:そうですね。ただ、私はまだ「中国のサイエンス」にはなっていないのだろうなと感じています。現在の中国の科学は、欧米に留学していた人材が戻ってくることで、欧米のスタンダードに則って研究している状況です。 そういう意味では、日本のサイエンスは(数やスピードで中国には敵わない中で)何を目指したら良いのかを考えなければいけないと思います。

 ──「日本式」ともいえる科学への取り組みが必要になるというわけですね。 

大隅:日本には、必要なときに必要なお金が投資されるシステムがありません。 何に対しても「欧米で流行し始めたら日本でも導入しましょう」となってしまう。日本で新しい技術が生まれても、「日本の面白い技術だぞ」となかなか力を入れようとしないんです。


科学技術立国の実現に向けた、企業と大学の役割


──最近、産学連携や大学発ベンチャーなどが増えています。企業と大学の距離間が近くなりすぎると、「役に立つ研究」への集中が加速されるようにも感じます。大隅先生が考える企業と大学の理想的な関係はどのようなものでしょうか? 


大隅:今は大学が貧しくなっているので、とにかく企業との共同研究費を稼ぐのが至上命題になっています。 例えば、企業の下請けのような仕事をたくさん受ければ、企業から数億円という資金を得ることはできるでしょう。でも、それはいい関係とは言えません。 私は、企業における研究と大学における研究の役割が何なのかを明確に意識することが重要だと思っています。 財団を運営している中で、大学に基礎研究を望んでいる企業がたくさんあるということを知りました。 昔は、企業にも中央研究所のようなものがあり、自分たちで基礎研究も進めていました。しかし今は、基礎研究をやるような企業はほとんどありません。 大学は企業にできない基礎研究を進め、企業はそこから自分の目で使える知識や技術を見定め、引っ張り上げることが仕事なんです。


──短期的な製品開発のような形での連携は本質的ではないと? 

大隅:大学発ベンチャーなどで成功する事例がたくさん出てきていることはもちろん歓迎すべきことです。それはそれで進めれば良いと思います。 ただ、初めに(前編参照)お話した「人材の育成」という意味では、大学も企業も利害関係は一致しているんです。企業も意欲的な学生に来て欲しいはずです。

 今は、 「すごく優秀だと思って採用したけれども、言われたことを淡々とこなすだけの学生が増えている」 と耳にすることが多いんです。 企業が単にお金をつぎ込んで自分たちの利益を求めるのではなくて、企業との関わりによって大学の研究力がアップする。そこで育った人材が企業に加わることで、企業の研究力もアップすることにつながる。 そういう関係を築くのが理想だと思っています。

 ──基礎研究への投資が、まわりまわって企業にとっても利益になるということを認知してもらう必要がありそうですね。ただ、企業がそのような支援をできるかどうかは、経営環境とも関係する難しい問題ではないでしょうか。 


大隅:各企業の内部留保金はものすごく大きいので、大胆に踏み出せないのは考え方の問題だと思います。 海外の企業で成功例が出てくれば、日本でも風向きが変わるかもしれませんね。

 私自身、独立した直後、研究費が非常に少なかった頃に、ある企業から研究会へ誘われました。そこでは「発酵」の面白さを学ばせていただき、何年かにわたって研究費を200万円ずつ頂きました。 それはとてもありがたかったし、私との議論の間で彼らは「とても儲からせていただいた」と仰っていました。 そういう関係がね、私は理想なんじゃないかと思います。


(以下略、続きはソースでご確認下さい)

BUSINESS INSIDER JAPAN 10/28(木) 8:10 


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ノーベル生理学医学賞のペーボ氏が語る>当初は何の役に立つか不透明な基礎研究を、社会がどう支えるか

2022年10月09日 11時03分33秒 | 科学のはなし
>当初は何の役に立つか不透明な基礎研究を、社会がどう支えるか世界的に課題になっている



ノーベル生理学医学賞のペーボ氏が語った喜び

2022年10月06日 テクノロジー


自宅からオンライン会見を開くペーボ所長                   

2022年のノーベル生理学医学賞を受賞する独マックス・プランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボ所長が4日、客員教授も務める沖縄科学技術大学院大学(OIST)主催のオンライン会見に出席し、「基礎研究への長期的なサポートが今回の成果に結びついた」と喜びを語った。

ペーボ所長はOISTで古代人と現代人のデオキシリボ核酸(DNA)を比較する研究を進めている。これまでに古代人の遺伝子がコロナウイルスやエイズウイルス(HIV)への感染しやすさなどに影響していることが分かっている。

こうした当初は何の役に立つか不透明な基礎研究を、社会がどう支えるか世界的に課題になっている。ペーボ所長は「我々の研究は大きな予算は要らないため、ボトムアップで国際共同研究を進めるのが適切だろう。期待できる研究者を見いだし、長期的にサポートすることが大切だ」と語った。

古代人の試料は世界中に散らばっていることから発展途上国の研究者とも連携。「相手国の研究者との連携が大切。人材を研修し、技術移転し、研究を支えるインフラを構築を手伝うことが重要だ」(ペーボ所長)と指摘する。


絶滅したデニソワ人はロシアのデニソワ洞窟から見つかったことからウクライナ危機にも触れ、「これまでロシアの研究者とは実りの多い連携ができていたが、ウクライナ危機後は協力できていない。現在の悲劇的な状況が早く解決されることを願っている」と述べた。

日刊工業新聞2022年10月5日                                   
https://newswitch.jp/p/34050



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