goo blog サービス終了のお知らせ 

ヒルネボウ

笑ってもいいかなあ? 笑うしかないとも。
本ブログは、一部の人にとって、愉快な表現が含まれています。

漫画の思い出 花輪和一(33) 『赤ヒ夜』(青林堂)

2025-03-20 22:31:31 | 評論

   漫画の思い出

   花輪和一(33)

   『赤ヒ夜』(青林堂)

『牛耳る女』

疲れる。

これは、つまらん。ただのエログロ。掲載誌のせいか。

 

『玉の価はかりなき事』

これもつまらん。掲載誌は前と同じ。

「アホ みたいね 恋とか愛なんて…」

(『玉の価はかりなき事』)

だから何? 

 

『心の影』

「天狗の子」と呼ばれるETみたいな「あの子」に、ある少女が拘泥する。好奇心、慈愛、嫌悪、恐怖など、さまざまの感情が入り混じっている。

縄屋の縄助さんが あの子を見て笑っていた。縄助さんが立ちあがってあの子に何か話しかけているようだった。私は庭虫を釣っていた。

「あっ!釣れなかった……。あっ!また釣れなかった……。あっ!また釣れなかった…… あっ!ん?まただ…… あっ また釣れなかった!あっ また釣れなかった…… どうして? あれ? まただ…… ようし! あれ! またつれなかった…… あっ! まただよ…」

しつこい。「庭虫」が何か、不明。後で出て来る蚯蚓みたいな化け物か。

「あの子も一人ぼっちなんだわ あんなに涙が……」

同情したせいで「あの子」は彼女にまとわりつき、少女はうるさがって「あの子」を避けるようになる。

「でも どうして こんなに おっかないのかな」

母親を後追いする幼児の依存と、後追いされる母親の心労とが、入り乱れている。母親に対する作者の遺恨と愛着が分離できなくなった。しかし、そのせいで、偽の融和が保たれることになる。停戦か。

「あんなやつ絶対に 絶対に入ってこられない所へ逃げ込んでやるわよ!」

逃げ込もうとした穴は子宮の象徴だ。穴には「あの子」がいる。

作者は、母親への執着を諦めることと、母親から受けた虐待の記憶を薄めることとが、分離できない。そして、一休みしているところだ。

「入らなくてよかったわよ」

もし、穴に入ってしまえば、どうなっていたか。彼女も「天狗の子」になるのか。あるいは、彼女と「あの子」が合体して「庭虫」になるのか。どちらでもなくて、漫画家になるのかもしれない。

(33終)

 

 



最新の画像もっと見る