地図をひらこう。
ひらいたら北から南へ定規をあてて、
赤鉛筆でまっすぐに線をひく。子午線。
東と西を区切る架空の直線。
東経135度子午線は兵庫県明石市を通過する。
明石天文科学館にはプラネタリウムがある。
おまえは記録する。
地名を、天体の名前を学芸員に質問する、
こども新聞の記者として。
赤道や黄道、オリオン大環状線。
架空の空にけものたちが並べられ、
そこに一定の法則が発見される。
スーパーに並んだ青梅にも法則がある
アナウンスにしたがって点と点を結んでみよう。
六分儀、八分儀、望遠鏡、コンパス。
記録のための道具たち、
その幾何学的なイメージ。
春と夏のあいだに6月がある。
地下水道を通ってきた雨の匂いが
地表に拡散していく。
化粧合板に区切られた一角で
水着売り場の設営がはじまった。
天文科学館の屋上には
直径8メートルの人間日時計があって、
影法師が正確な時刻を教えてくれる。
「影時計と名前かえろ」
太陽が南中するとき時間は消える。
24時は0時、
27時は3時、
「30時はラジオ体操」
グリニッジに天文台はない。
温度と湿度がある。
テムズ川沿いに帆船・カティサーク号が展示されている。
現存する唯一のティークリッパー。
中国からイギリスまで
いかに早く紅茶を届けるか競った。
これは記録だ。
記録はもちろん発見の役に立つ。
「時間が発見されたのはいつ?」
6月はすっぽりと列島をおおった。
校庭の回転遊具は
地球儀のかたちをしている。
掴んだ手はさびの匂いがした。
「赤道は鉄でできているんだ」
おまえはまだ小さい。
でも小さいってどんなこと?
たてとよこ、それから高さ。
「スリーサイズ」
そう、3つの数字が私たちを固定する
三角測量で天体の距離を測定してみよう。
ただしあの光は残り火で、
星は500年前に消滅しているのだ。
交易によって暦がうまれた。
つまり欲したのは商人たちで、
管理したのは僧侶たち。
天体の名前で曜日をかぞえ、
7日目を決済日として契約した。
4つの季節、12の月、並んだけものたち、そして
13番目に人間があらわれる、
蛇と一緒に。
この人物は医者だ。
命をよみがえらせるため船に乗りこむ。
地球はかたむいている、
これは記録しておくべきこと。
誤差を修正するため架空の太陽を設定しよう。
時間は直線ではない。
絶滅した鳥のように、天文台は頭の中にある。
頭蓋骨のドームに投影される星団、照葉樹林、田園地帯。
「いつかだったか、梅干しの漬け方を教わった。
お礼の手紙を書いたけど間に合わなかった。
いつだってそうだ」
もういちど地図をひらこう。
赤鉛筆でしるしをつけよう。
海岸の断崖のしたで古代人と思われる骨が発見され、
そのかたちを自由帳にかきうつす。
沖合いを長距離フェリーが航行していく。
火をおこそう。
燃えるものを集めてこよう。
薪や新聞紙、ノートやアルバム、竜骨と帆柱。
川のほとりに船があった。
役目を終えて保存されていたが火災で焼失した。
それは過去の話。
「時間はいつ眠るの?」
手をつないで残り火の上を跳びこそう。
これは季節の行事、記憶しておくべきこと。
地上を去ったものたちが一晩だけ戻ってくるのなら、
今こそおまえに発見されたい。
時間は点滅する。
景色を色彩が焼き落とす。
手紙はいつも間に合わない。
おまえはストーンサークルの真ん中に直立するひとつの棒っきれ。
遺跡をむらさめが通過して、
明日には夏日が戻ってくるだろう。
ひらいたら北から南へ定規をあてて、
赤鉛筆でまっすぐに線をひく。子午線。
東と西を区切る架空の直線。
東経135度子午線は兵庫県明石市を通過する。
明石天文科学館にはプラネタリウムがある。
おまえは記録する。
地名を、天体の名前を学芸員に質問する、
こども新聞の記者として。
赤道や黄道、オリオン大環状線。
架空の空にけものたちが並べられ、
そこに一定の法則が発見される。
スーパーに並んだ青梅にも法則がある
アナウンスにしたがって点と点を結んでみよう。
六分儀、八分儀、望遠鏡、コンパス。
記録のための道具たち、
その幾何学的なイメージ。
春と夏のあいだに6月がある。
地下水道を通ってきた雨の匂いが
地表に拡散していく。
化粧合板に区切られた一角で
水着売り場の設営がはじまった。
天文科学館の屋上には
直径8メートルの人間日時計があって、
影法師が正確な時刻を教えてくれる。
「影時計と名前かえろ」
太陽が南中するとき時間は消える。
24時は0時、
27時は3時、
「30時はラジオ体操」
グリニッジに天文台はない。
温度と湿度がある。
テムズ川沿いに帆船・カティサーク号が展示されている。
現存する唯一のティークリッパー。
中国からイギリスまで
いかに早く紅茶を届けるか競った。
これは記録だ。
記録はもちろん発見の役に立つ。
「時間が発見されたのはいつ?」
6月はすっぽりと列島をおおった。
校庭の回転遊具は
地球儀のかたちをしている。
掴んだ手はさびの匂いがした。
「赤道は鉄でできているんだ」
おまえはまだ小さい。
でも小さいってどんなこと?
たてとよこ、それから高さ。
「スリーサイズ」
そう、3つの数字が私たちを固定する
三角測量で天体の距離を測定してみよう。
ただしあの光は残り火で、
星は500年前に消滅しているのだ。
交易によって暦がうまれた。
つまり欲したのは商人たちで、
管理したのは僧侶たち。
天体の名前で曜日をかぞえ、
7日目を決済日として契約した。
4つの季節、12の月、並んだけものたち、そして
13番目に人間があらわれる、
蛇と一緒に。
この人物は医者だ。
命をよみがえらせるため船に乗りこむ。
地球はかたむいている、
これは記録しておくべきこと。
誤差を修正するため架空の太陽を設定しよう。
時間は直線ではない。
絶滅した鳥のように、天文台は頭の中にある。
頭蓋骨のドームに投影される星団、照葉樹林、田園地帯。
「いつかだったか、梅干しの漬け方を教わった。
お礼の手紙を書いたけど間に合わなかった。
いつだってそうだ」
もういちど地図をひらこう。
赤鉛筆でしるしをつけよう。
海岸の断崖のしたで古代人と思われる骨が発見され、
そのかたちを自由帳にかきうつす。
沖合いを長距離フェリーが航行していく。
火をおこそう。
燃えるものを集めてこよう。
薪や新聞紙、ノートやアルバム、竜骨と帆柱。
川のほとりに船があった。
役目を終えて保存されていたが火災で焼失した。
それは過去の話。
「時間はいつ眠るの?」
手をつないで残り火の上を跳びこそう。
これは季節の行事、記憶しておくべきこと。
地上を去ったものたちが一晩だけ戻ってくるのなら、
今こそおまえに発見されたい。
時間は点滅する。
景色を色彩が焼き落とす。
手紙はいつも間に合わない。
おまえはストーンサークルの真ん中に直立するひとつの棒っきれ。
遺跡をむらさめが通過して、
明日には夏日が戻ってくるだろう。