ポエ活

村田活彦 a.k.a.MC長老のブログ。ポエトリー・スラム・ジャパン代表。ラップスクール2期生。

夏至

2009年06月30日 08時28分04秒 | 作品
地図をひらこう。
ひらいたら北から南へ定規をあてて、
赤鉛筆でまっすぐに線をひく。子午線。
東と西を区切る架空の直線。
東経135度子午線は兵庫県明石市を通過する。
明石天文科学館にはプラネタリウムがある。
おまえは記録する。
地名を、天体の名前を学芸員に質問する、
こども新聞の記者として。


赤道や黄道、オリオン大環状線。
架空の空にけものたちが並べられ、
そこに一定の法則が発見される。
スーパーに並んだ青梅にも法則がある
アナウンスにしたがって点と点を結んでみよう。
六分儀、八分儀、望遠鏡、コンパス。
記録のための道具たち、
その幾何学的なイメージ。


春と夏のあいだに6月がある。
地下水道を通ってきた雨の匂いが
地表に拡散していく。
化粧合板に区切られた一角で
水着売り場の設営がはじまった。
天文科学館の屋上には
直径8メートルの人間日時計があって、
影法師が正確な時刻を教えてくれる。

 「影時計と名前かえろ」

太陽が南中するとき時間は消える。
24時は0時、
27時は3時、

 「30時はラジオ体操」


グリニッジに天文台はない。
温度と湿度がある。
テムズ川沿いに帆船・カティサーク号が展示されている。
現存する唯一のティークリッパー。
中国からイギリスまで
いかに早く紅茶を届けるか競った。
これは記録だ。
記録はもちろん発見の役に立つ。

 「時間が発見されたのはいつ?」


6月はすっぽりと列島をおおった。
校庭の回転遊具は
地球儀のかたちをしている。
掴んだ手はさびの匂いがした。

 「赤道は鉄でできているんだ」

おまえはまだ小さい。
でも小さいってどんなこと?
たてとよこ、それから高さ。

 「スリーサイズ」

そう、3つの数字が私たちを固定する
三角測量で天体の距離を測定してみよう。
ただしあの光は残り火で、
星は500年前に消滅しているのだ。


交易によって暦がうまれた。
つまり欲したのは商人たちで、
管理したのは僧侶たち。
天体の名前で曜日をかぞえ、
7日目を決済日として契約した。
4つの季節、12の月、並んだけものたち、そして
13番目に人間があらわれる、
蛇と一緒に。
この人物は医者だ。
命をよみがえらせるため船に乗りこむ。


地球はかたむいている、
これは記録しておくべきこと。
誤差を修正するため架空の太陽を設定しよう。
時間は直線ではない。
絶滅した鳥のように、天文台は頭の中にある。
頭蓋骨のドームに投影される星団、照葉樹林、田園地帯。

 「いつかだったか、梅干しの漬け方を教わった。
  お礼の手紙を書いたけど間に合わなかった。
  いつだってそうだ」


もういちど地図をひらこう。
赤鉛筆でしるしをつけよう。
海岸の断崖のしたで古代人と思われる骨が発見され、
そのかたちを自由帳にかきうつす。
沖合いを長距離フェリーが航行していく。


火をおこそう。
燃えるものを集めてこよう。
薪や新聞紙、ノートやアルバム、竜骨と帆柱。
川のほとりに船があった。
役目を終えて保存されていたが火災で焼失した。
それは過去の話。

 「時間はいつ眠るの?」

手をつないで残り火の上を跳びこそう。
これは季節の行事、記憶しておくべきこと。
地上を去ったものたちが一晩だけ戻ってくるのなら、
今こそおまえに発見されたい。
時間は点滅する。
景色を色彩が焼き落とす。
手紙はいつも間に合わない。
おまえはストーンサークルの真ん中に直立するひとつの棒っきれ。
遺跡をむらさめが通過して、
明日には夏日が戻ってくるだろう。











ぜんぶ、こころのせい

2009年06月29日 09時06分58秒 | 日々
おはよう。ムラタです。
日差しが強いよ。

バス停のご婦人方は
そろって額に手をかざしながらバスを待ってる。
もうすぐジューンが終わる。



昨日は出かけてから雨になったから
傘を買ったんだ。
ただでさえ雨で気が滅入るから
明るい色の傘にしようと思って
クリーム色か黄緑か、売り場で広げながら迷った。

結局、黄緑にしたんだけど
レジを離れたとたんに後悔した。クリーム色にすればよかった。
でもなぜか引き返すことができなくて
おまけに店の外は雨だからすぐ使ってしまって
もう取り替えられなくなっちゃった。
そのことで、そのあとしばらく落ち込んだ。

なぜこんなことが起こるんだろう。
ぜんぶ、こころのせい?


別に黄緑の傘がそれほど嫌なわけじゃないんだよ。
しばらく使ってると「悪くない」って気にもなってくる。
でも、というか、だからこそ、
本当はクリーム色がいい、とはっきり感じていたのに
「今は明るい色が必要なんだ」と思い込んで
より「明るい」黄緑を選んじゃった自分の判断に
腹が立ってるのさ

我ながら小せぇ。
しょうもないといえばあまりにしょうもない。
少なくとも四十のおっさんが
ぐちぐちこだわるようなこっちゃないんだけどさ。

それともこれは何かのたとえ話?
そんなこと言ったら
見るもの聞くものすべてたとえ話だけどな。
この世はメタファーだらけだ。略して メケだ。



出かけたのは仕事で、
原宿のUTストアでアイドルイベントの立ち会い。
明治通沿いにあるユニクロのTシャツショップね。

店内にいくつも並んだモニターで
パフィーの新曲PVが流れてた。

初めて聞く曲なのに
ギターリフを耳にするだけで
肋骨の内側がざわざわするこの感じ。

宇宙をまるごと手に入れたい気持ちと
同時に
すべて失ってもいいような気持ちで
いてもたってもいられなくなる。


こういうとき
俺は歌詞を聴いてない。
へたすりゃメロディーだってよくわかってない。
ただ空気を伝わってくる振動に共鳴してる。
自分が一本の音叉になったような気がする。

ぜんぶ、からだのせい?







大同窓会

2009年06月28日 08時55分29秒 | ポエトリーリーディング/詩/朗読
おはよっす。曇り空。
ポエム係長です。村田です。


ウエノポエトリカンジャム2009、楽しかったよ。
史上最大のオープンマイク。
皆様おつかれさまでした。

パンデイロ叩いてリズムをとりながら
リーディングしてみた。
ブラジルのヘペンチスタ(吟遊詩人)スタイル。
もちろん本物のヘペンチスタは
もっと複雑でかっちょいいリズムだけど。


ひさりぶりに会えたひとがたくさんいた。
俺にとっては大同窓会みたいなもんだ。

しげもそとむらちゃんもマスイジュウもいっこうさんも鈴木レモンも
それぞれ新しい仕事してたり子供が大きくなってたり少しずつ顔の感じも変わって
なんか自分だけが…
「3歩進んで4歩さがる感じ」
そうそう、そうやって某女子に突っ込まれるのも
久しぶりで楽し。


後半のゲストコーナー、猫道くんの芸に驚く。
suikaのフロント3人を
それぞれソロで聴けたのは面白かった。
聴いてるとふと
あ、なるほど。こうすればいいんだって思うポイントがあって
自分の胸にメモした。
カワグチさんは何度聴いても新鮮。
そして最後は幹くんがすべてもっていきやがった。
カッコいいぜパパ。


俺はオープンマイク育ち。
それを誇りとして
さらにこの先へ行こう。







脳がちょっと大きめってだけのサルだから

2009年06月27日 09時34分50秒 | 日々
おお。晴れたね。
いい感じだ。
おはよっす。ムラタっす。


ゆうべはひさしぶりにビール一杯だけ飲んだよ。
残業終わりで後輩たちと
会社近所の焼き鳥屋で。

無人島に持って行きたい映画ベスト3とか
韓流と華流の違いとか
ハワイ旅行の土産話とか
入社面接のとき何をしゃべったとか
寝言で元カレの名前を呼ぶのを今カレに聴かれてやばかったとか
他愛もないことを延々と話して。

「村田さん、仕事じゃないときの方が
ぜんぜんいい顔してますよ」
と言われてしまいました。

ちょっと納得。ちょっと不本意。


今日はこれからウエノポエトリカンジャム2009です。
ムラタカツヒコa.k.a.村田活彦 インザハーーーウス!

会場のどっかで
私も参加した大型ホチキス留めアンソロジー「夏至」
絶賛手売り中です。


20世紀も9年目ってわけですが
ぼくらは何も進化しちゃいない。

テレパシーを使えるわけじゃないし
タイムマシンを発明したわけでもない。


だから
ひとに何か伝えたいときは
やっぱり声を使って
音を使って伝えようとするんだ。

もちろんそれでうまくいくとは限らないから
「あの時、ああ言えばよかった」
「あの時、ああ言わなければよかった」
なんてしばしば後悔しながら

寝て起きて飯食ってまた寝て起きて
そんでまた誰かに話しかける






カステラ・ラブ

2009年06月26日 09時52分44秒 | 日々
暑さのせいかイベント前で興奮してるのか
昨夜なかなか寝つけなかった。
たぶん両方だな。

おかげで眠いよ。
おはようございます。ポエム係長 a.k.a.ムラタカツヒコ
いや逆だ。


「ぐりとぐら」のカステラを覚えてる?


きのう残業中にふと見たら
誰かがお土産に持って来たカステラがあった。
四角いのじゃなくて、
ホールケーキみたいな丸いやつ。
このお店の。

こ、これは
あの「ぐりとぐら」のカステラ!
ふたりがでっかい卵から作った、
読んだらもう食べたくて仕方がなかった、
夢にまでみた、あの、カステラ!!

ちぎってたべてみたら
ふわふわでまさにこの味。

絵本のなかの話なのに、
本当にああこの味だと思ったんだよ

思わず
カステラを箱ごと持って
となりの部屋でくつろいでた後輩たちのところへ行って語ったさ。
そのカステラのおいしさ、ふわふわ感、
「ぐりとぐら」の素晴らしさについて。

あっけにとられた顔の後輩が言った。
「酔ってるんすか?」


どんだけハイテンションだったんだ俺。
そんな舞い上がるほどのカステラだったということなんだけど。
ま、ちょっと
おかしくなってるのは否めないわな。









やりたいこと やれること やらなきゃならないこと

2009年06月25日 08時42分19秒 | 日々
おはよう。空は薄いグレイ。
そっちはどうですか。
ポエム係長です。ムラタです。


新聞を取りにマンションの1階まで
エレベーターにのったら
からっぽのエレベーターに
シャンプーの香りがした。

寝ぼけた頭がすこし目覚めたよ


「40歳なのに、誇れることを何もしていない」
これはこないだの
映画「MILK」のセリフ。

「大事なのは目の前のことを真面目にやり続けることだ」
「剣岳 点の記」の木村大作監督がインタビューで吠えてる。


やりたいこと
やれること
やらなきゃならないこと

少しずつしか進まない
少しずつやるだけだ





そんじょそこらのポエム

2009年06月24日 08時54分28秒 | ポエトリーリーディング/詩/朗読
雨だ雨だ。朝から雨だ。
おはようございます。
ムラタです。ポエム係長です。
ステレオからキヨシローの「Oh! RADIO」が流れてる。


ウエノポエトリカンジャム2009
エントリーすることにした。
仕事の合間に、なんとかいけるだろう。
うん。

せっかく出るのなら何か新しいことをしようと思う。
しばらくずっと考えていたことで
まだステージではやってなかったこと。


しばらく考えてたことってのは
詩の朗読って
そんな特別なことでもなんでもないってこと

万葉の時代には歌垣ってのがあって
愛の告白と言えばポエムを交換することだった。

ヨーロッパには吟遊詩人がいて
ニュースや珍しい物語を詩で伝えてた

開拓時代のカウボーイたちは
たき火を囲んで自慢話を語り合い
それはカウボーイ・ポエトリーと呼ばれた。

平成の日本で「詩の朗読」なんつーと
特殊な趣味みたいだけど
声に出して詩を読むことは
人間の歴史のなかじゃ
プリミティブでありふれた行為なんだと思う


と、ここまで書いて
なんか俺、肩に力入りすぎてるな。
もちっとお気楽にいこう。

早めに行ってさくっと終わらせる感じで。
人前で朗読するの初めてってひともエントリーするだろうし
むしろそういう人の方が大事だし。


こんなブログでも
毎日書いてると100人前後のひとが
読んでくれてる。
ほんとありがとうございます。

よろしかったら上野も聴きに来てね。





time goes on

2009年06月23日 09時11分48秒 | 日々
おはようございます。
ムラタです。ポエム係長です。
本格的に梅雨って感じですな。
頭のなかも湿気てしまいそうだよ。

ゆうべは妙に寝つけなかった。
なにがある訳じゃないのに
遠足前の小学生みたいだった。


古い写真を整理してるんだけど
あれ、俺こんなんだったっけ?と思ったりするんだ。
結構ころころ顔つき変わってんなあ

最近のはともかく
大学時代のとか、他人の写真を見てる気分ですよ。
高校時代に好きだった女の子と一緒に写ってるのを
上京するときに大事に持って来たのとか、どうするよこれ。


第一回ウエノポエトリカンジャムのときの写真も
出て来たよ。

時は流れる。容赦なく。





夏至なんです

2009年06月22日 09時54分49秒 | 日々
おはようございます。
KATSUHIKO MURATA a.k.a.ポエム係長。
梅雨の真っ最中。


日曜は朝9時からスタジオに入って
ちょっとばかしリーディングをやって
ファミレスで遅い朝食。
出社してメールのやりとりをいくつか。

1ヶ月になる姪っ子の顔をみにいって
お寿司をいただく。
赤ん坊の抱き方がぎこちないと指摘される。

それからイベントの設営現場にいって
最終チェック。
日比谷で母と妹と食事。
家に帰って渡辺謙のドラマを見る。
写真整理のつづき。

談笑があり、告白があり、出発があった。
それもまたありふれた日。


「夏至なんで」と電話をくれたひとがいた。
「あけましておめでとう」や
「誕生日おめでとう」を言うように

何かの記念日みたいに
「夏至なんで」

そういうのもいい。





世界は神話を待っている

2009年06月21日 08時04分46秒 | 映画・アニメ・動画
おはよう。ムラタです。a.k.a.ポエム係長です。
古い写真を整理してます。
10年前の自分のアホ面が泣けてくるよ。


「スラムドッグ$ミリオネア」観て来たよ。
煽り文句には「涙と感動」なんてあるけど
ちょっと違うんだよなあ。
「痛快」ってのが正しいんじゃないか?

なんちゅうか
神話を観てるみたいな面白さだった。
ペルセウスの活躍とか
オオクニヌシの冒険とかさ。

主人公があんまり葛藤したり悩んだりしない。
ひたすらまっすぐなのね。
ほかの登場人物も判りやすい。
そもそもすべてを「運命」で片付けるあたり
脚本の「これでいいのだ」感がすごい。

だからといって物語が薄いってことじゃないんだよ。
むしろ最高に面白いお話をいただきました。
とんでもないエネルギーがスクリーンにあふれてる。

それはインドという国、
ムンバイという街が持つ生命力なんだろうなあ。
暑さ、臭い、クレイジーさ。ほとんど同義の生と死。


表現するって小手先のことじゃない。
もっと原始的でいいんだ。