ポエ活

村田活彦 a.k.a.MC長老のブログ。ポエトリー・スラム・ジャパン代表。ラップスクール2期生。

友と酒。

2007年09月30日 23時30分04秒 | 日々
大学時代の同級生と池袋で飲んだ。
お互い40歳直前。

「最近シャンプーを選ばないと髪がへなへなになるんだよ」

たぶん40くらいが男として最盛期で
あとはたぶん下っていくんだよ、仕事的にも体力的にも、なんて言うから
そうかな、そうかも、と曖昧に返事をする。

確かに、きっとあとの30年くらいは
加速度的に時間が過ぎていくんだろう。


「後悔はしたくないんだけど」と前置きして、友人は続ける。
ひとつだけ後悔してるのは
なんで大学4年の時に、就職活動しちゃったんだろう、と。
バンドで身を立てるとか
少なくとも音楽の近くで仕事するとか
なんで考えなかったんだろう。

なんでスーツ着て面接行って
帰りに部室寄ってトランプしてまた面接行って、を
くり返してたんだろう。

ZAZEN BOYZの向井みてるとさ、音楽だけじゃん。
音楽のことだけ考えて、その合間に酒飲んで
それ以外のもの捨ててるじゃん。あれはできないよね。

だからどうしても憧れるんだよー
と言いながらクエルボのロックを追加してる。


どうでもいいけど
いやどうでもよくないけどとりあえず
飲み過ぎんなよ。





シネマは歌う。シネマは語る。

2007年09月29日 18時52分24秒 | 演劇/演芸
大塚愛「PEACH」の歌詞ってさ
富沢順の『ガクエン情報部H.I.P.』が元ネタ??

すんません80'Sキッズで。しかもマニアックで。
ポエム主任です。新人類と呼んでね。


いやそんな話ではなく
70年代の映画の話です。

パギやんことフォークシンガー趙博さん
「歌うキネマ」を観てきました。
映画をまるまる一本、
語りとピアノ伴奏だけで聞かせてしまおうというライブ。
もともとは故・マルセ太郎の芸
「スクリーンのない映画館」から影響を受けて
始めたものだそうです。

今回は「砂の器」。
松本清張原作、日本映画史に残る傑作
…って観てないですけど。

にもかかわらず、あまりの迫力にただ圧倒されました。
そう、「歌うキネマ」は
ただ映画の紹介やシーンの再現ではない、
ひとつの舞台としてとてつもない熱を放っているんです。

これはすごい。


映画って原作、脚本、監督、キャメラ、役者、音響…と
とてつもなく多くのスタッフによって支えられていますよね。
それからリメイクということもよくある。
だからひとつの映画を観るということは
そこに関わった人々の思いとか
その映画に連なるあらゆる映画史、物語の歴史を
受け止めることだと思うのです。

その圧倒的な物語の総和が
パギやんの中に蓄積され、熟成されて、放出される。
それだけの熱量が
たったひとりの男の声になって響いてくる、
その濃さといったら!


丹波哲郎になったり、森田健作になったり
声色やモノマネも使って
シーンの再現をする。

親子の別れのシーンなんて
もうクライマックス中のクライマックスですよ。
駅に駆け込んでくる子ども。抱きとめる父。
「おとうちゃーん!」そして暗転。

次にパッと舞台が明るくなると
別の場面になっている。
その緩急のつけ方も絶妙!

語りとピアノだけのシンプルな構成だけに
シンプルな照明技術が実に効くんです。


ほかに持ちネタとして
「パッチギ!」「マルコムX」「風の丘をこえて」等があるそうです。


必見必聴。





めるしー・ら・う゛ぃ

2007年09月28日 03時15分20秒 | 日々
長生きするもんだね。面倒だけど。
今日みたいな日があるからね。

ポエム主任です。

今日みたいなっていうのは別段たいしたことでもなくて
10年来の友人のバンドのライブに行った、
それだけといやあそれだけのことですが。
酒は一滴も飲んでなくて
でもその1時間ほどがどれだけ愉快だったことか!


赤坂見附から徒歩一分の
ビルのB1Fへ階段を下りていくと
久しぶりにあう仲間がいて
おー!なんつって握手してハグして、
「来たね、エライね」なんて言われて、
前のほうの席に行くとそこにも知った顔がいるから
いやあご無沙汰です、ちょい太りました?

なんか懐かしい顔ぶれが揃ってて
6~7年前にタイムスリップしたみたいだ。


ライブはゆったりとはじまった。
シンガーだってのはもちろん知ってたけど、
ちゃんとライブを聴くのはそういや初めてだ。

平均年齢××歳の爆音バンド。
メンバー4人中2人がピストルズTシャツで、
ひとりは『タクシードライバー』のモヒカン・デ・ニーロTシャツ。

編み上げのブーツがステージを叩くのを見た。
ベースがヴンッヴンッと脈打つみたいに響いて、
シンバルがバンバン鳴らされた。
客席からママー!と子どもの声がした。

顔の筋肉がゆるんでいくのがわかったよ。
『謙虚と傲慢』『マイジェネ』『メソポタミア』
曲が進むにつれてますますニコニコになった。


ライブのあと客席に降りてきて、
嬉しかった?と聞いてくるもんだから、素直に答える。
「嬉しかった!大喜び!」
「だと思った」
あらやっぱ見抜かれてたのね。それもまた愉快。

かっこよかったぞー、The Travel Book Co._


だからね、長生きってのはするもんです。
こんな他愛もない一日が
お前さんの人生にもあるからね。





日々是ロック

2007年09月26日 09時01分01秒 | 日々
写メで撮られまくるノッポン。

何かと言えば
みうらじゅん&いとうせいこうのザ・スライド・ショー
@渋谷CCレモンホール公演なわけです。
(それにしても、いつまでたっても
口にするのが一瞬ためらわれる会場名だこと)

土曜日に文芸漫談、火曜にスライド・ショーですから
なんだかいとうせいこう追っかけみたいです。
実際ファンになりつつありますが。意外に美声。

さてスライド・ショー、
実に、実に本当に誠に全く、
すがすがしいほど人生の役に立たない2時間20分でした。
特にトンデモ案山子のシリーズ「KKCの世界」の破壊力はすごかった。
石景山遊園地も顔負けの偽キャラ天国。


みうらじゅん先輩に敬服するのは
やっぱり
なにをやっててもロックを感じさせるところでしょうね。
仏像見てもロック。童貞語ってもロック。いやげ物集めてもロック。

ロックとは自由。
ロックとは馬鹿。
ロックとはみうらじゅん。




小説家の話を聞きにいこう

2007年09月23日 19時49分01秒 | 小説・ノンフィクション
下北沢で作家のトークをハシゴする、そんな土曜日でした。
しかもかなり濃いめ。
すっかりおなかいっぱいです。


ひとつめの行き先は
「個性派書店」「本のセレクトショップ」として
一部で有名なフィクショネス

店主は小説家の藤谷治さん。
デビュー作「アンダンテ・モッツァレラ・チーズ」が
文庫化されて絶賛発売中です。
注文してでも買ってください。
世界はちょっぴりの「愛」と97%の「バカ話」で出来ている、というお話。

ほとんど開店休業中の店の奥に通してもらって
藤谷さんが次回作について
どわーっと話すのに相づちをうつ。


それから北沢タウンホールで
いとうせいこう&奥泉光の「文芸漫談」ライブ。
今回のお題は「坊ちゃん」。

奥泉ボケといとうツッコミのコンビネーションも絶妙だけど
そもそも「坊ちゃん」への切り込み方が
おもしろいんですよ。

まずこれは「政治小説」である
という解釈に、ほうと唸る。

明治維新で薩長土肥にしてやられた江戸っ子が
仕返しをする、のだけど
その相手が薩長じゃなくてなぜか松山。

この中途半端な感じがミソでして、
実は坊ちゃんってば、かなりだめんずなのね。

コミュニケーション不全で
無口な相手にはよくしゃべるけど
口達者な相手には心の中でイヤミを言ってるだけ。
なにかといえば清を思い出す。
松山での教師生活は1ヶ月しか続かない。

そのあたりのところを
「ニートみたいなもんです」
「すぐキレる子どもですね」と
すかさず突っこむいとうせいこう。流石。

コミックGUMBOで連載してる江川達也のマンガ版では
たしか「これは武士道復権の物語なのだ」
みたいなことを書いてた(うろおぼえ)たけど
ぜんぜん違うじゃん!


この文芸漫談、
次は11/26(月)三茶のパブリックシアターだそうです。
ネタはカフカ。







よみがえる性的衝動

2007年09月20日 00時29分29秒 | 音楽
ひとりでライブに行くのって久しぶりです。ポエム主任です。

恵比寿リキッドルーム、
ZAZEN BOYS、DJ KRUSH、THA BLUE HERBという
異能の三点盛り。てんこ盛り。

ZAZEN BOYSは
まともにライブ聴くのほぼ初でしたが
これまで生で聴いてなかったのを
後悔いたしやした。

なんなのこのソリッド感。
漢字一文字で表すなら

「斬」

という音がする。

それも
日本刀なんてレベルではなく
大鉈、いやものごっつ切れ味の良いマサカリでもって
フロアの空気をズバッと一刀両断するような。


それだけで
けっこうお腹いっぱいだったのですが

さらにTHA BLUE HERB、
やられてしまいました。

最初のうちは「いかにも」っていう「くさ味」に
ちょっと抵抗があったんですけど。

つまり
メジャーへのアンチテーゼとか
「俺たちは勝ち上がってきたぜ」的な語り口とか
やたらと見得を切るところとかが
よくも悪くも期待通りのTHA BLUE HERBでさ。

(ストイックで近寄り難い雰囲気は
 ひと昔前のイチローを彷彿とさせます)


でもでも
次第にそんなのどうでも良くなってくるんですよ。
あまりの迫力に飲み込まれてしまう。

宮沢賢治の「告別」
(“光でできたパイプオルガンを弾くがいい”ってやつね)を
BOSSアレンジでやられた日にゃ
ザーッと鳥肌立ったよ。

やっぱこういうのを
こういう唯一無二なものをちゃんと吸収しとかないとね。
日常の中で自分がしぼんでいかないように。


ふと見たら
フロア後方のバーカウンターで
向井秀徳が酒を注文してら。

ハロー。





エヴァのやりくち

2007年09月17日 10時28分11秒 | 映画・アニメ・動画
観てきましたけども、
「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序」。


映画の後半、あたしゃずっと腹立ててました。
エヴァってこんな酷い話だったっけか?

いや、新劇場版の出来が悪いのではないです。
映像の迫力が増してるのは間違いない。
ストーリーもとりあえずヤシマ作戦までを結構忠実に再現してる。
(この先はわからないみたいだけど)

「酷い」と思ったのは映画が変わったせいではなくて
わたし自身が変わったせいかもしれない。


12年前のエヴァブームのころ
わたしは社会人4年目くらいでしたけど
それでもどこか14歳・碇シンジにシンクロしながら観てたんですね。

仕事や人間関係から
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」ってつぶやきながら。
はずかしながら。

それから月日が流れまして
さすがに今回はシンジ君目線ではなく、
ミサトやリツコくらいの目線で観られるようになった。
おかげさまで。


そしたら、まーなんて酷い大人たちだ。
勝手に呼び出しておいて、いきなりヱヴァに乗れと。
しかもどう考えても他に選択肢ないのに
「あなたが選びなさい」と。

脅迫じゃん。

なにやってんだよ、お前ら。
じぶんより若い奴らを
そんなふうに追いつめちゃダメでしょ。

甘い言葉で誘っておいて、逃げ場のない選択を迫り
逃げるのは「自分の心が弱いから」と思わせてしまう。

なるほど軍事教練って
こういうやりくちなのかもなあ。
あるいは新興宗教とか。


気づくの遅いっすか。そうですか。
でも、
12年前には気づかなかったんだよなあ。









空と風と朗読と

2007年09月16日 23時25分33秒 | ポエトリーリーディング/詩/朗読
桑島法子さんの「朗読夜」
行って来ました。熊谷まで。
題して「桑島法子 一人語り SORA TO KAZE」。


湘南新宿ラインで池袋からおよそ70分。
籠原下車。10分も歩けば田んぼが広がる.

ステージは野外。法師蝉も鈴虫も鳴いている。
宮沢賢治作品を朗読するには
もってこいの舞台です。

遠くを見れば
田園風景の中に工場のシルエットが見えたりもする。
高圧線の鉄塔が、行進するように並んでいて

嗚呼あれはまるで、
ドッテテドッテテ、ドッテテド
「月夜のでんしんばしら」じゃないか!


桑島さんの朗読の魅力は
まずやはりプロの声優としての技量。

「いてふの実」で銀杏の子どもたちの声色を
ひとりですべて演じ分ける。
「なめとこ山の熊」の熊を撃つ場面では
緩急をつけて緊迫感を出す。

その映像喚起力のすごさ!
声を聞いてるだけで
そのシーンがまさにアニメのように目に浮かぶんです。


そういう意味じゃ
賢治作品がいかに朗読に向いてるか、ってのも実感したな。

あの独特の擬音語、擬態語も
桑島さんの声で語られると
「ああ、なるほどこの音だ、この感触だ」って納得できますよ。

恐ろしい場面は恐ろしげな声で
楽しい場面は楽しげな声で読む、
いわゆる「表現読み」の手法って、
中途半端にやっちゃうと気恥ずかしかったりするもんですけど
徹底してやればこんなにもパワフルなのか。


思えば
アニメーションはアニミズムと同じ語源。
そして賢治作品ではまさに
ヒトも獣も虫もキノコも、カエルも火山弾も星も風も
万物に命があって、互いに語り合う。

「朗読夜」で桑島さんは
アニメ声優からアニミズムの姫巫女になる、というわけです。


そしてもっと大事なことは
岩手出身の桑島さんの郷土愛とか、賢治愛が
体の真ん中にしっかりあって
ひしひし伝わってくるということ。

ちいさいころからお父さんが
「永訣の朝」や「原体剣舞連」を朗読してるのを聞いて
育ってきたっていうんだから。


岩手のイントネーションで聞く
「雨ニモマケズ」は
やわらかく、つぶやくようだった。

「雨ニモマケズ」ってあまりにも有名すぎて
教科書の詩っていうイメージがありすぎて
まじめで清廉潔白な作品だと思ってたけど、ちがうんだ。

「なかなか上手くはいかないけど
 まあぼちぼちやっていきますか」って

賢治が微笑みながら、独りごとみたいに言ってる気がした



「朗読夜」のライブレビューは
「東京リーディングプレス」12-1月号に掲載予定。








進め! 鹿殺し

2007年09月16日 08時17分02秒 | 演劇/演芸
劇団鹿殺しの「殺 ROCK ME! ~サロメ~」
大いなる失敗だったなあ

一挙手一投足がキュンキュンさせてしまう菜月チョビの動きとか
そこにいるだけもの悲しくなるような丸尾丸一郎の存在感とか

あいかわらず素晴らしいのだけど

この脚本は
サロメをめぐる個人の愛憎劇と
国王、預言者、革命家たちがせめぎ合う政治の物語とが交錯して
ダイナミックに描かれる…はずだったと思うのです

なんだけど、その、
国とか社会とか歴史とか
「おっきいほう」のドラマが弱い。
スペースゼロ進出で舞台は大きくなっただけに
それが余計に目立った気がする

ただし、もちろん
そのチャレンジスピリットには敬服するわけで

前作「僕を愛ちて」がある意味セカイ系だったことを思えば
劇団を一歩、二歩も進めようという気概を感じる。

行け行け、劇団鹿殺し!






絶望した!「臨界学校」の回がアニメ化されないのに絶望した!

2007年09月15日 10時06分19秒 | 日々
コンビニの匂いはおでんの匂い。
そんな季節になりました。ポエム主任です。

ほんと、何とかならんですか、
店内に充満するむわっとした匂い。
これから半年くらいずっと、日本全国24時間
あの素敵なフレグランスを嗅げると思うとクラクラします。


それはさておき。


あんな唐突で中途半端な辞め方ってのは
たしかに精神的に相当追いつめられてたんだろうなと
思ってしまうわけで。アベさん。

そこんとこ
ちゃんと考えたといたほうがいいんじゃないでしょうか。


いや、アベさんの資質ってことじゃなくてね。
大臣がひとり自殺して
総理は涙目で仕事放り投げちゃう国ってのは
どういう国なのか

したり顔で「これだからおぼっちゃんは…」て言って
済ませちゃうのはずるいじゃないっすか。

みんな担いだんだし。御輿を。美しい国の御輿を。


あの涙目辞任が何かの象徴だとしたら
本当にこの国が
「いっぱいいっぱい」ってことなんだろうなあ。

ストレスを、偽装を、先送りを
ためこんでためこんで
必死でとりつくろってるけど耐えきれなくて
ある日突然、臨界点がやってくる。


次の総裁選の
ダービー予想ばっかしてないでさあ。
フクダヤスオーもアソータローも血統が売りだから
競馬っぽいのはわかるけど。



政治家は大なり小なり政治家になろうと思うような性格  枡野浩一