ポエ活

村田活彦 a.k.a.MC長老のブログ。ポエトリー・スラム・ジャパン代表。ラップスクール2期生。

PSJ2017秋 全国大会を終えて

2017年11月07日 22時32分23秒 | ポエトリーリーディング/詩/朗読
ポエトリースラムジャパン2017秋 全国大会にたくさんのご来場、誠にありがとうございました。

そして、審査員をお願いした皆様には、あらためてお礼を申し上げます。当日その場で依頼をしたにもかかわらず、快く引き受けていただきました。ポエトリースラムジャパンは、出演者だけでなくオーディエンス、そしてその中からランダムに選ばれる客席審査員、それぞれが参加者となって作り上げるイベントです。ご来場いただく皆様のご協力なしにはできません。本当にありがとうございました。

優勝した三木悠莉さんには、いま一度感謝と拍手を送ります。おめでとうございます! 東京C大会の時にも、客席の目と耳をくぎづけにする強烈な引力を感じていましたが、全国大会のステージはそれがさらに増幅されていたと思います。思えば第一回大会から参加していただいている、つまりPSJと共に走っていただいている参加者のひとり。その三木さんが優勝され、日本代表として世界大会に送り出せることが、主催としても本当に嬉しい! W杯のステージでもパリの観客を沸かせてくれることと思います。また各国代表とのいい出会い、いい交流があることを祈っています。

ほかの11人のパフォーマンスも、いずれもクオリティの高いものでした。もともと108人の出場者のなかから勝ち上がったファイナリストの皆さんです。その方々が、いつも以上のパフォーマンスを、準決勝戦そして決勝戦で見せてくれました。ただ、残念ながらスコアには低い点数が多く出る展開になりました。

これまで3年の大会でも低い点が出ることはありましたが、それがここまで続く結果になることはほぼありませんでした。しかし、起こりうることでした。大会としては「何をどう表現するかは出場者の自由。それをどう判断するかは審査員の自由」と言い続けてきています。それは基本的にこれからも変わりません。10点満点のなかで各出場者の評価に差をつけようとした結果、低い点数が続くことだってあるでしょう。それは、審査員の方にとってみれば、そのひと自身の基準に従って真面目に審査した結果です。

そもそも、ポエトリースラムという、日本ではまだ知名度の低いジャンルの大会に興味を持って来ていただいている方です。ポエトリーリーディング、詩、ラップ、あるいは舞台表現というものに、その人なりの思い入れがあって、その表れと言えるかもしれません。

ただ、実際に低い点が並んだのを見て、私は、これは望ましいことではない、と感じてしまいました。それは審査員の方々のせいではありません。ルールや仕組みのせいであり、それについての説明が足りなかったせいです。

なぜ、望ましくないと思ったか。それは、ポエトリースラムは「自分とは違ういろんな表現に出会う場所」「いろんな表現が敬意をもって認め合う場所」だと考えていて、そういう場所にふさわしくないと感じたからです。

こういう仕組みを採用している側が言うことではないのですが、点数には気持ちが込めにくいものです。高い得点の場合は良いのです。表現者へのリスペクトはあるが、残念ながら自分の基準では低い点だ、というような場合、その「リスペクト」の部分は表に出て来ない。なぜあまり点をつけられなかったかも伝わらない。ただ「良くなかった」という数値だけが発表されてしまう。そしてそれが続いてしまった時、出場者も審査員もお客さんも、楽しくない感覚だけが残ってしまいます。

ヨーロッパやアメリカのポエトリースラムで、6点や7点以下を見ることは滅多にありません。出たとしても誰かが「点数が低いぞー(笑)」とブーイングしたりします。もちろんそれはルールではなく、馴れ合いでもありません。みんなでスラムを盛り上げようという気持ちや出演者へのリスペクトの表れが、習慣としてそうなっているのでしょう。そのやり方が全てだとは言いません。ただ、私がそういう「いろんな表現が競い合い、それでいていろんな表現に寛容な場所」というのに憧れて、このポエトリースラムを始めたのは確かです。

しかし憧れるあまり先を急ぎすぎて、その理想をきちんと説明したり、そのための環境をそろえるということがまだまだできていませんでした。その点を反省しています。

全国大会のゲストに出てくれたフランス代表のJYBに、「ポエトリースラムってなんだろう」と聞きました。戦いの場所なのか、そうじゃないのか。JYBは「ある面ではイエス、ある面ではノーだ」と答えてくれました。真剣勝負で競い合うからこそ、素晴らしいパフォーマンスが生まれる。お客さんも見に来る。 一方で、点数に関係なく素晴らしい詩は素晴らしい。そういういろんな詩に出会えるのがスラムだ、と。それは、PSJが公式サイトに掲げている「THE POINT IS NOT POINTS, THE POINT IS POETRY」という言葉と同じです。

私はこの大会を、来てくれたひと、参加してくれたひとそれぞれが楽しめる声と言葉のフェスにしたい。それまで知らなかったような表現とも出会って、その魅力を味わってもらう場所にしたい。逆に言えば、もしPSJに来て楽しくない、納得いかないと思われた方がいたら、それを改善していくのが主催の責任です。

これから来年の大会に向けて、大会の主旨がちゃんとお伝えできているか、ジャッジの方法はこのままでいいか、心地いい会場にするための工夫はないか、やるべきことをひとつずつ重ねていきます。ご意見があれば、いつでもお寄せください。

そして何より直近のこととして、優勝した三木悠莉さんのパリW杯出場に向けて準備を進めます。万全の体制で三木さんを世界大会に送り込みたいと思います。きっとW杯でも大旋風を巻き起こしてくれると信じています!!


繰り返しになりますが、ポエトリースラムジャパンは皆さんの力がないと作り上げることができません。どうかこれからもご協力、応援よろしくお願いいたします。



2017年11月7日 ポエトリースラムジャパン代表・村田活彦

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