ポエ活

村田活彦 a.k.a.MC長老のブログ。ポエトリー・スラム・ジャパン代表。ラップスクール2期生。

フジロックのロック以外部分

2012年08月16日 16時44分51秒 | 音楽
フジロック2012で
ライブ以外に印象的だったことがあるので
ちょっと書いておきたいんですが。


それは3日目、7/29のジプシーアバロン。
17:10からのアトミック・カフェ トークという時間がありまして

津田大介氏を司会役に
松田美由紀、巻上公一(ヒカシュー)、
後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)、
そしてサステナという広告会社の代表・マエキタさん
以上の方々のトークだったんですが


そのなかでお二方の発言を。

一人目はアジカン・後藤氏。
彼は震災のあと、
「身体性のことを考えるようになった」と言うんですね。
「原発のことも、沖縄の基地も、それがどこにあるのか体で感じないと」
そう思って、ツアーの合間などに
原発立地に実際に行ってみたりしたと。

それを聞いて大きくうなづいたんですが、
たとえば原発のことを考えるのに
それは自分の住んでいる場所からどれくらい離れているのか、
どんな海や川があって、そこにどんな言葉をしゃべる人が住んでいるのか、
一度でも自分で行ったり、見聞きしたり、体験するというのは重要だと思う。
知識としてだけじゃなく、
自分の身体で関わりを持つということ。
私はまだまだできてないことですが。

それともうひとつ
後藤氏がThe Future Timesというフリーペーパーを始めたことについて
音楽活動以外に、なぜそれをやろうと思ったかという質問に対して
「音楽史を調べると、吟遊詩人がニュースを伝えた時代があった」
ということを言ったんですね。
荘園から荘園へ渡り歩いて、世の中の出来事を伝えていた、
その吟遊詩人のような役割をフリーペーパーでやってみよう、と。

これもなるほど、と思う話で。
以前、ブラジルに行ったときに
ブラジル北東部のヘペンチスタ(吟遊詩人)について少し調べたんですが
確かに吟遊詩人という存在は
詩人であり、音楽家であり、大道芸人であり
しかもニュースメディアでもあったんですね。
ほかの町で起こったことを即興の定型詩にして、
それを街頭や酒場で朗読したり、冊子にして売ったりしていた。

ノルヂスチ(ブラジル北東部)に行くと
今でもそういう吟遊詩人の冊子、
コルデルといってガリ版刷りのものなんですが、
お土産として売ってたりします。


現代はどちらかというと
音楽は音楽、報道は報道みたいに
細分化、専業化しがちな時代だと思うんですが
後藤氏が音楽の歴史について調べてるうちに
吟遊詩人という存在に触れ、しかもそのやり方を実践してるのが
面白いし、意義あることだと思います。



もう一人はヒカシューの巻上公一氏。
トークの間、それほどたくさん話された訳じゃないんですが
最後のほうで言われたこと。
要約するとこんな感じ。

  「あれをやれ」とか、「こうしよう」っていう音楽は嫌い。
  「愛し合おう」という音楽も嫌い。
   だけど、音楽はパーソナルなことのエネルギーになる。



うん。
これはこれ以上、私の感想を付け加えずにおきます。









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