「勘竹庵」evnc_chckの音楽やそれ以外

音楽の話題が中心になるかもしれませんが日々の雑感など書いていけたらと思っています。

ジャズの和声と旋法(3)

2008-08-06 23:16:31 | 音楽(ジャズ)

前回はビバップ時代の特にピアノによる和声の特徴を述べました。
今回は引き続きその発展形とも言えるハードバップの和声を説明いたします。


・ハードバップ時代(だいたい1950年代から1960年初頭のスタイル)
時代を代表するピアニスト
ソニー・クラーク、ホレス・シルヴァー
ビバップがアドリブ重視で、一部の天才的なプレイヤー(チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、バド・パウエルなど)しか正直聴く気がしないのですが、ハードバップはよりコード進行が複雑になり、その上で進行をそがないで旋律も聴かせる。というある意味ご無体な要求をしました。ですからその後に現れるモードジャズにとってかわられるんですが、旋法の理論を導入することまで気が回らず、複雑なコード進行の上で、必死にアヴェイラブル・ノート・スケールの理論だけで乗り切ろうとしている姿は、個人的には一番おもしろいな ぁ。と。

ピアノのバッキングは基本はビバップと同じと考えていいと思います。ただ全体にテンポの速い曲が多く、コードが細かく複雑に進行して いると。
例えばただのⅡ→Ⅴなのに

Dm7/Dm7♭5→G7/Gaug

なんてふうにして。テーマを提示しているときは美しいでしょうが、この上でアドリブをするとなると、きっついですよね。どんだけスケールを並べたらいいのか?
ちなみにこの時代の究極はジョン・コルトレーンの「Giant Steps」という曲だと思います。まともにアドリブを弾いている人を、聴いたことがありません。コルトレーンですら「練習曲のようなソロだ」と言われたぐらいです。

 ジョン・コルトレーン ジャイアント・ステップス(+8) - goo 音楽

この後、Jazzはモードに進化しマイルス・デイヴィス、ウェイン・ショーター、チック・コリア、ハービー・ハンコックなどの天才が現れますが、これ以後のJazzを私はまともに聴いていないため、何ゆえAcid JazzやRare Grooveといったジャンルになっていったのかは、よくわかりません。またあれをJazzの進化と呼ぶべきかもわかりません。Fusion同様のJazzから派生した一分野なのでしょう。ただ今の若い方々が指すJazzはこういったHipHopですね。

次回はジャズの最終形とも言われる「モード手法」に触れます。お楽しみに。


パコ・デ・ルシアってやっぱりフラメンコ(当然だけど・・・)

2008-08-04 23:49:28 | 音楽(DTM)

「パコ・デ・ルシア」のアルバムは6枚持っています。自慢するような数では無いのですが初期の「天才」とか「幻想」も持っていますので、比較的時代を追って彼の演奏が聴けるラインナップだと思っています。

3、4日前に何となく「パコ・デ・ルシア」が聴きたくてアルバムを引っ張り出してきて、彼がジョン・マクラフリンとラリー・コリエルを迎えて(迎えられてと言う気もしますが)トリオまたはデュオで録音した数曲を収録した、「CASTRO MARIN」を聴きました。

何と言うかこのアルバムは70年代の録音ですがこの時点で彼は自他ともに認めるあらゆるギター音楽における「天才」という位置づけでした。
ちょうどアコースティック・ジャズのブームであった時代ということもあり、ジョン・マクラフリンなどのジャズのプレイヤーとの共演や多くのジャズ・フェスティバルへの出演が見られました。
しかしこの「CASTRO MARIN」を聴いて改めて思ったのでしたが、この時代いかに周りが「天才だ天才だ」と騒いでいても自己を見失っていなかった、彼のある種のストイックさと言いますかクールさと言ったものが感じられるアルバムだと思いました。前述のとおりジョン・マクラフリンやラリー・コリエルらと共演している曲こそジャズやフュージョンに迎合したような曲調で、インター・プレイやアドリブを重視したまぁ聴いていて「すっげえテクだ!」と。今も昔もギター・キッズは速弾きギタリストが好きなので「サービスしました」的な曲なんですが、そのほかの曲は彼の中で考える「フラメンコとはこういうもの!」という思いがビリビリと伝わってくるような作品です。時に激しく時に美しく官能的でそれでいて優しい。
やっぱり本物だなぁ・・・。

http://music.goo.ne.jp/cd/CDDORID180314-1/index.html

と言う事で思わず創ったアコースティック・ギターの合奏曲です。総創作時間2日なのであまりつっこみはNGで・・・。

http://ewind.homeip.net/impress/200808/7318.html

こうして創ってみるとアコースティック・ギターと言う楽器は意外と低い、人の声で言うとアルトのような渋い音域が得意な楽器なんだと気づかされました。このあたり同じ発音方法
でもピックアップで増幅することで劇的になる、ロックのエレキギターとは全く異なる表現の楽器ですね。今更ですが・・・。


「恐竜キング」って何でしょう?

2008-08-02 01:41:24 | 古生物

「恐竜キング」と言うのがあるらしい。 現在「福井県立恐竜博物館」で開催されているイベントでも併設で「恐竜キング」のトレカが展示されているらしいですね。

http://www.dinosaur.pref.fukui.jp/special/kt/

実は恐竜は好きなんですがその「恐竜キング」と言うのは存じ上げないんですよ。子供たちがトレカを集めたりしているのを見たことがありますし、「ポケモン」や「遊戯王」のようにキャラクターとして恐竜が親しまれているのだろう。と想像しています。

 今日、何気なく「福井県立恐竜博物館」についての情報をネットで検索していますと、とある方のブログが目につきました。恐竜好きのお子さんを連れて博物館に初めて行かれたそうで子供さんが大喜びで恐竜知識を語る様子が書かれていました。

 で気になったのが下のような文言(そのままでは無く要約しております)。

(パキケファロサウルスの一種の骨格標本を見てお子さんが語られた知識)

・頭蓋骨の厚みが25cm程ある

・イグアノドン類の仲間

・鳥に近い仲間

・頭を武器にしていたかは?

 頭骨が分厚いのは化石から判断された事実ですし、映画「ジュラシックパーク2」で描かれたように頭突きをしていたかは実は議論されていることも事実です。

問題はまず「イグアノドン類の仲間」と言う部分ですね。

 「イグアノドン類」は「鳥盤目」に属する二足歩行の「鳥脚類(鳥脚亜目)」の下位分類ですが、パキケファロサウルスが属する「堅頭竜下目」は「鳥盤目」に属する二足歩行の「周飾頭亜目」の下位分類です。「鳥脚類(鳥脚亜目)」の下位には実際は「真鳥脚類」が入りその更に下位に「イグアノドン類」が来るわけです。

ややこしいので下にまとめます。

 「鳥盤目」→「鳥脚類(鳥脚亜目)」→「真鳥脚類」→「イグアノドン類」→「イグアノドン」

「鳥盤目」→「周飾頭亜目」→「堅頭竜下目」→「パキケファロサウルス」

素人目にもパキケファロサウルスを「イグアノドン類」の仲間と呼ぶのは抵抗感があります。この理屈だと「鳥盤目」に属する恐竜は全部「仲間だ」と言い切れてしまうので、トリケラトプスもステゴサウルスもイグアノドンもパキケファロサウルスもぜ~んぶ仲間です。

この場合は「周飾頭亜目」の下位分類である「角竜下目」に属する恐竜。例えばプシタコサウルスなどを仲間と呼ぶのが適当だと思います。

ただ少し古い図鑑などを読むと姿かたちで判断したと思われますが、「堅頭竜」や「角竜」のプシタコサウルスなどを「鳥脚類(鳥脚亜目)」に分類していたので、その時代の知識なのかもしれません。

次の問題ですがこれは大変に大きな問題です。

パキケファロサウルスを「鳥に近い仲間」と語られたようなのですが、鳥の祖先はヴェロキラプトルなどの「獣脚類」であることはほぼ確実と言えます。パキケファロサウルスが属する「鳥盤目」とは恥骨の形状が現在の「鳥類」と同じである。と言う事実だけで決して「鳥」の仲間と言うわけでは無いのです。字づらだけ読むと「鳥の骨盤」で「鳥の脚」ですからこれが「鳥」の仲間だろう。と早合点してしまうのは理解できますがこれはよく見られる初歩的な誤解です。

なんでこんなにクドクド、ダラダラとコメントしているかと言いますとこの知識がお子さんの誤解なら単に微笑ましいのですが、件の「恐竜キング」のカードやゲームから得た知識だと問題だと思ったのです。ちょっと気になるので調べましょうかね・・・。