1990年代は恐竜ブームだったそうです。
実際は1964年にジョン・オストロムが自身が発見した「ディノニクス」を分析し、「恐竜温血動物説」を提唱したあたりから所謂「恐竜ルネサンス」が起こり、それ以前から恐竜好きであった人間の間では賛否両論、活発に行動することを前提にやじろべえのような姿に復元されたティラノや、羽毛のはえた姿で復元されたディノニクスは違和感がありながらもインパクトがあり、とにもかくにも恐竜が面白い時代は1990年代ブーム以前から沸き起こってはいました。1980年代には模型の世界で「ガレージ・キット」がブームとなり、今も第一人者である「荒木一成」氏によるリアルな恐竜のモデルが、模型専門誌などに掲載されたことも恐竜ブームへの布石になったと思います。
さてそんな頃に「週間少年ジャンプ」に連載されたコミック「岸大武朗」の「恐竜大紀行」というのがありました。1988年に連載されたのですがそんな最近だったっけ?という気がします。少しでも「ダメ」とされると有無を言わせず打ち切り、後から後から新連載が始まる「ジャンプ」の中で12回しか連載されなかったために何か随分昔の作品と思ってしまいます。
いずれにしてもそれぐらい伝説のコミックというイメージがです。
3年くらい前にも復刊されしかも新エピソード追加でしたのでファンは多いと思うのですが、なにしろもう2、3年後に連載されてりゃなぁ・・・。とよく言われる「早過ぎた名作」ですね。
ちなみにこの復刊に際しかの鳥山明が推薦文と言うか序文と言うかなんか書いておられるんですが、誉めてんのかどうなのかよくわからない文章です。ちゃんと読んでんのか?
この後にスピルバーグが「ジュラシック・パーク」を公開し恐竜ブームが確実に起こったわけですが、この「恐竜大紀行」はあくまで恐竜の視点で描かれた作品ですから、人間から見て「でかくて、凶暴で現代に生きていなくて良かったぁ」的生物として恐竜を描いている「ジュラシック・パーク」とは全然違います。むしろ「恐竜大紀行」はBBSが制作した「Walking with Dinosaurs」のコンセプトの元ネタでは無いかと想像しています。
恐竜が会話したりそもそも妙に理知的な思考をするなど、爬虫類の仲間にどこまでそんなことができたかと考えると少々笑えますが、「生きることの厳しさ」を恐竜視点で描くアイディアと、当時は最新の古生物の学説をうまく取り入れている技術などやはり個性的で良質な作品だと思います。
実はもう一つ私が恐竜コミックの傑作と考える作品がありますが、長くなるのでまた次回にさせてください。