「勘竹庵」evnc_chckの音楽やそれ以外

音楽の話題が中心になるかもしれませんが日々の雑感など書いていけたらと思っています。

ヒトは未発達のサル

2009-10-07 00:05:15 | 古生物
恐竜と鳥の進化上の関係はおもしろいです。

「始祖鳥」より古い羽毛恐竜=1億6千万年前の化石、中国で発見
9月25日22時39分 時事通信および9月25日19時52分配信 毎日新聞から抜粋、要約

 中国遼寧省の1億6100万~1億5100万年前(ジュラ紀)の地層から、前脚のほか、後ろ脚にも羽毛が生えた小柄な恐竜の化石が見つかったと、同国の古脊椎(せきつい)動物古人類研究所などの研究チームが25日、英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 この化石は全長約50センチのトロオドン類の「アンキオルニス」で、当初は鳥類と考えられていた。
 恐竜は、鳥類の祖先と考えられているが、実際に発掘された羽毛を持つ恐竜化石は白亜紀前期(1億2500万年前ごろ)のものが中心。一方、最古の鳥類とされる始祖鳥の化石はジュラ紀後期(約1億5000万年前)の地層から発掘されており、恐竜から鳥類への進化の過程が議論されていた。

 前後の脚に風切り羽があり、羽はうちわのような左右対称形だった。鳥類や白亜紀の羽毛恐竜の羽は、先端に向かって細く、左右非対称で、飛行に適した形に進化している。

 今回の発見によって、最初に前後の脚に原始的な羽を持つ4翼の恐竜の中から、前脚の翼が発達して飛翔能力を身につけ、2翼の鳥類が進化したという説がより有力になったという。

 羽毛恐竜の全身骨格がそろった化石が、これほど古い地層から見つかるのは珍しい。これまで見つかった羽毛恐竜の化石は、始祖鳥より年代が新しい物が多く、進化の順番がはっきりしなかった。

 真鍋真・国立科学博物館研究主幹は「最古の鳥類の化石の方が、最古の羽毛恐竜より古いという、これまで指摘されてきた時間的なギャップを埋める化石だ。羽毛恐竜から鳥類への進化の過程が、より明らかになった」と話している。

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鳥は恐竜から進化したことはほぼ間違い無いとして、どういった過程が進化の途上にあったのかは、推論→化石証拠→推論の繰り返しの段階で、まだまだ結論が出るのは相当の未来のことだという印象です。

ふと思ったことは我々人類(ヒト)の進化についてです。

ヒトはサルの仲間です。ただサルからヒトが進化したというのは少し間違いで、例えばボルネオの森にいる類人猿のオランウータンを、今から数百万年とか数千万年放置したらヒトに進化するかと言えば、そんなことはありえないわけです。
簡単に言ってしまえば大昔にサルとヒトの共通の祖先がいて、ある種はヒトに。ある種はサルへの進化の道を選択して枝分かれした。ということです。

ところで以前にある進化に関する書籍で「ヒトはサルの幼形成熟(ネオテニー)である」という説を読んだことがあります。
幼形成熟とは動物が性的には成熟していながら、非生殖器官。つりはそもそもの体型とか、歯とかそういった部分が未成熟な状態を言います。有名なところではペットとしてよく飼われている「メキシコサラマンダー」の幼形成熟があります。俗にウーパールーパーと呼ばれるやつです。
但し飽くまで生物学的な定義であって、見た目が子供っぽい大人。というロリロリな方を指すわけではありません。

未来。例えば今から1億年後くらいの地球に、現在のヒトくらいの文明を持った生物が存在していたとして、彼らがヒトとオランウータンの化石を発見したらどう思うでしょうか?
骨の形状などは実によく似ていて共通する部分が多い。
しかし片方(オランウータン)はかなり大型の体型で、強い筋肉が付着していたであろうと推測できます。顎の骨などはがっしりと大きく、牙まではえています。骨盤は大きく広がり前肢は長く、背骨が大きく湾曲していることから、基本は4足で歩行していたと推測できます。
片や(ヒト)体型は小さく、顎の骨は狭く柔らかいものしか食べられなさそうな小さな歯。狭い骨盤にまっすぐの大腿骨が下に伸びており、大きな頭骨を支えるために背骨は不自然なS字カーブをしており、不安定な姿勢でヨタヨタと2足歩行をしていたように観察できます。
ヒトを見たこと無い生命体から見れば、ヒトの骨格は同時代に生きていたオランウータンに比べて、実に未発達で弱々しく、厳しい弱肉強食の自然界ではとても生きられないように観察されると思います。

また現在でも恐竜の皮膚痕や羽毛の印象が化石に残ることがありますが、もしヒトの皮膚痕やオランウータンの体毛の印象が化石で発見されると、ヒトはオランウータンのように気温や雨などの外部環境から身を守るための体毛も殆ど無く、皮膚もペラペラであるためにやはり弱い生き物であったと推測することでしょう。

更にはその化石の発見される数もそれを裏づけそうです。

一般に自然界では捕食動物に比べて被捕食側、つまり食べられる側は食べる側よりも繁殖する数が多いのが一般です。恐竜時代でもモンゴルのプロトケラトプスや、北米のエドモントサウルスなどの草食恐竜は、多くの化石が発掘されています。

ヒトはご存知のとおりこの地球上には大量に生存しており、これに対してオランウータンなどは絶滅の危機に瀕しているほどで、当然化石の発掘量はヒトが圧倒することでしょう。そこから未来の知的生命は
「同時期の地層から発見された大型の化石に対して、小型の生物は外敵から身を守るための防御手段や、攻撃手段は特に持たず、常に捕食生物からの攻撃という危険にさらされていた。そこで大量に繁殖し群れで行動することを生きるための術としたのであろう。」
と推論をたてるのかもしれませんね。まぁ実際、群れるの好きですしね・・・。

実際はその後のより綿密な調査の蓄積で、この小型の生物の頭骨の大きさから大型の他の似た生物に比べてより知能が高かったこと。特に頭部の前の部分が非常に発達していたことや、2足歩行を徹底することで高度に発達した前肢をうまく使い、いろいろな道具や工作物を器用に生み出し、巨大な構築物やより複雑な使用目的を持った道具を創り出していたことが判明していき、この同時代の他の生物に比べてかなり脆弱と思われる生物は、かわりに高い知能と道具を使う能力で他の生物との差別化を図り、高度な文明を維持していた。という結論が出るかもしれません。

現在の鳥と恐竜の進化の関係を検証している段階は、上述で仮定したヒトとオランウータンなどの類人猿との関係と似ているのかもしれません。いつか鳥と恐竜の共通の祖先の化石が発見され、進化の過程もより明確に特定できる日が来ることでしょう。

ヒレから翼へ・・・(最終回)

2009-07-31 00:03:30 | 古生物
少し前の記事ですが恐竜に関して新たな発見のようです。

恐竜と鳥つなぐ“手” 中国で新種の化石発見
(06/18 02:07)

 鳥類は恐竜から進化したとする「恐竜起源説」が有力で、翼は手の進化の結果と考えられている。だが骨格部分となって翼を支えている鳥の手と、恐竜の手には、起源が同じとは見なせない大きな違いがあり謎だったが、最大の疑問だった手の構造の違いを合理的に説明できる重要な発見である。

 化石はジュラ紀後期の約1億6千万年前の地層から出土、恐竜の体長は約1・7メートルの獣脚類の仲間とみられ、「リムサウルス」と名付けられた。
(一部抜粋)

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人類が知る限り、過去、脊椎動物は3度空を飛んでいます。「翼竜」「鳥」それから哺乳類の「こうもり」です。

前回までは爬虫類である翼竜と、我々と同じ哺乳類のこうもり、そして鳥の翼について少し説明いたしました。

それでは今回の発見である「リムサウルス」が、恐竜→鳥への進化にどのような意義を持っているのでしょうか?

鳥が恐竜、特に獣脚類恐竜から進化した。とする説はほぼ確実というのが現状なのですが、アンチ「恐竜=鳥」派はまだまだ根強いのも事実です。これら反対派の根拠は「鳥にあって」「恐竜に無い」特徴を一つ一つ挙げて、「化石証拠を見せろ」というものです。かつては「羽毛」の、また鳥の胸にある「叉骨」というV字型の骨もそうでした。これらは時間が進む中で次々と化石証拠が見つかり、「恐竜=鳥」説は真実味を色濃くしていっています。

現生の鳥が持つ指の特徴も反対派が挙げるものの一つでした。

鳥は前述したとおり人間で言う第二、三、四指の3本の指を持っており、恐竜も初期のヘルレラサウルスのような4本指や、後期のティラノサウルスのような2本指のものもいますが、多くの獣脚類恐竜は3本指です。しかしこれがどの指が退化して、どの指が残って3本なのかがよくわからなかったのです。
ところが今回の発見であるリムサウルスは3本指ですが、第一指は甲まで骨がありながらも指の部分は退化してなくなっています。と言う事は恐竜は第五指から退化し、次に第一指が退化したため、残りの3本指は鳥と同じ第二、三、四指である証拠となりえるわけです。

もちろんこれはリムサウルスに限ったことかもしれませんが、ひょっとすると今後の同様の化石証拠が発見されて、より強固な説となっていくのかもしれません。

「恐竜=鳥」の物的な証拠は今後も調査が進むにつれ、次々と新しい事実によってより強固なものになっていくことでしょう。

しかし鳥が地面から飛び上がって飛ぶようになったのか?木や崖など高いところから飛び降りて飛ぶようになったのか?未だ議論が続いています。

ヒレから翼へ・・・(4)

2009-07-29 00:03:39 | 古生物
少し前の記事ですが恐竜に関して新たな発見のようです。

恐竜と鳥つなぐ“手” 中国で新種の化石発見
(06/18 02:07)

 鳥類は恐竜から進化したとする「恐竜起源説」が有力で、翼は手の進化の結果と考えられている。だが骨格部分となって翼を支えている鳥の手と、恐竜の手には、起源が同じとは見なせない大きな違いがあり謎だったが、最大の疑問だった手の構造の違いを合理的に説明できる重要な発見である。

 化石はジュラ紀後期の約1億6千万年前の地層から出土、恐竜の体長は約1・7メートルの獣脚類の仲間とみられ、「リムサウルス」と名付けられた。
(一部抜粋)

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人類が知る限り、過去、脊椎動物は3度空を飛んでいます。「翼竜」「鳥」それから哺乳類の「こうもり」です。

前回まではこのうちの爬虫類である翼竜と、我々と同じ哺乳類のこうもりの翼について少し説明いたしました。

では鳥の翼はどうなっているのでしょうか?

前肢が翼へと変化したことは翼竜やこうもりと同じです。しかし鳥は指や脇の部分の膜を発達させる方法では無く、指や腕に「羽」を付けることで翼を作り出しました。

鳥には第二、三、四の3本の指がありますが、指の関節を支える中手骨、所謂手のひらの骨は人間で言う中指の分だけの1本しか無く、指自体も殆ど棒のような形状です。から揚げでお馴染みの手羽先を思い浮かべてください。手羽先を食べるときにもち手代わりにつかむ細い部分が指で、そこから「ツンッ」と飛び出ている棘のようなのが第二指です。柔らかくておいしい部分は下腕(前腕)です。

羽はこの3本の指のうち第三、四指に付いており、この部分の羽を初列風切羽と呼びます。だいたい10枚前後あります。

下腕にも羽がはえていますがこの羽を次列風切羽と呼び、小型の羽ばたいて飛ぶスズメのような鳥と、アホウドリのようにあまり羽ばたかずもっぱら滑空する鳥とで、6枚から37枚まで枚数はまちまちです。

上腕から胴体にかけての羽は三列風切羽と言います。

鳥の翼の構造について簡単ではありますが説明させていただきました。

それでは今回の発見である「リムサウルス」が、恐竜→鳥への進化にどのような意義を持っているのでしょうか?

次回、ようやくその意義を説明させていただきます。

ヒレから翼へ・・・(3)

2009-07-27 00:09:00 | 古生物
少し前の記事ですが恐竜に関して新たな発見のようです。

恐竜と鳥つなぐ“手” 中国で新種の化石発見
(06/18 02:07)

 鳥類は恐竜から進化したとする「恐竜起源説」が有力で、翼は手の進化の結果と考えられている。だが骨格部分となって翼を支えている鳥の手と、恐竜の手には、起源が同じとは見なせない大きな違いがあり謎だったが、最大の疑問だった手の構造の違いを合理的に説明できる重要な発見である。

 化石はジュラ紀後期の約1億6千万年前の地層から出土、恐竜の体長は約1・7メートルの獣脚類の仲間とみられ、「リムサウルス」と名付けられた。
(一部抜粋)

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人類が知る限り、過去、脊椎動物は3度空を飛んでいます。「翼竜」「鳥」それから哺乳類の「こうもり」です。

ところで翼竜とこうもりの翼の違いはご存知ですか?

今回はこのうちのこうもりの翼について簡単に書かせていただきます。

こうもりの場合は第一指(人間で言う親指)以外の4本の指が長く伸び、翼竜と同様に腕から後肢にかけて薄い膜がはって翼になっています。普通の長さの指は第一指だけのため、物をつかんだりはできません。よくこうもりが逆さになって後肢で木の枝や、洞窟の天井にぶら下がっている写真などを目にしますが、この状態で排便したりすると、体や顔についてしまいそうです。運が悪いと口や鼻に便が流れ込んで、それはそれは大変なことに・・・。

実は排便時などは普通の長さの第一指一本でぶら下がり、ちゃんと下に向かって便を排出することがあるそうです。

さて翼の話ですが、こうもりは翼竜と違い4本の指に膜がはられた形状をしているため、我々が手の指を関節や筋肉の許す限り自由に動かせるのと同様に、この4本の指を動かして細かく翼をコントロールすることができ、翼を閉じるのもまさにこうもり傘をすぼめるようにできます。
空中で信じられない角度で急旋回できるのは、この巧みな翼のコントロールのおかげです。

さて長くなりましたが爬虫類である翼竜と、我々と同じ哺乳類のこうもりの翼について少し説明いたしました。
ここでようやく本題です。

次回は本題である鳥の翼について簡単に書かせていただきます。

ヒレから翼へ・・・(2)

2009-07-24 00:06:43 | 古生物
少し前の記事ですが恐竜に関して新たな発見のようです。

恐竜と鳥つなぐ“手” 中国で新種の化石発見
(06/18 02:07)

 鳥類は恐竜から進化したとする「恐竜起源説」が有力で、翼は手の進化の結果と考えられている。だが骨格部分となって翼を支えている鳥の手と、恐竜の手には、起源が同じとは見なせない大きな違いがあり謎だったが、最大の疑問だった手の構造の違いを合理的に説明できる重要な発見である。

 化石はジュラ紀後期の約1億6千万年前の地層から出土、恐竜の体長は約1・7メートルの獣脚類の仲間とみられ、「リムサウルス」と名付けられた。
(一部抜粋)

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人類が知る限り、過去、脊椎動物は3度空を飛んでいます。「翼竜」「鳥」それから哺乳類の「こうもり」です。

ところで翼竜とこうもりの翼の違いはご存知ですか?

今回はこのうちの翼竜の翼について簡単に書かせていただきます。

地上の脊椎動物は元々は海に棲んでいた魚から進化した生き物が、勇気をふりしぼって陸に上がったのが始まりです。ですから全ての脊椎動物の手(前肢)は水をかくための鰭が形状を変えたものです。
人間は現在5本の指を持っていますが、陸生を始めたばかりの両生類の祖先は6本以上の指を持っていたものも発見されていますが、現在の人間や猿のようなものをしっかり掴む機能を持ってはおらず、最近の復元では殆ど魚の鰭のような膜でつながった形状で描かれています。
それがやがては陸生に完全に適応するにつれ、エサを取ったり、敵と戦ったりするために手(前肢)は道具としての機能を高め、やがて必要に応じて指の数が減っていきます。

人間は5本の指を持っているために、それを基準に指の退化を説明することが普通ですが、親指を第一指として数えると翼竜は第五指が退化して無くなっています。
そして第四指、つまり薬指だけが長く伸びており、この長い薬指と腕から後肢にかけて薄い膜がはって翼になっています。残りの第一指から第三指は翼の中間あたりに鉤爪のついた普通の指として残っており、これでエサをつかんだり木に登ったりできたと考えられています。

何にしても膜を支える骨が実質1本しか無いわけで、イメージとしては旗のようなものです。これでは羽ばたいたり広げたり閉じたり、といったコントロールが十分にできないのでは?という根拠から以前は翼竜は高い木や崖にえっちらおっちらと登って、そこから滑空することしかできなかった。と考えられていました。
しかし、化石を観察していくうちに膜の表面に筋肉の付いていた痕や、血管が走っていた痕が判断でき、それらを使って複雑に膜をコントロールして巧みに飛行したと、現在では考えられています。

次回はこうもりの翼について簡単に書かせていただきます。

ヒレから翼へ・・・(1)

2009-07-22 00:04:53 | 古生物
少し前の記事ですが恐竜に関して新たな発見のようです。

恐竜と鳥つなぐ“手” 中国で新種の化石発見
(06/18 02:07)

 恐竜と鳥類、両方の手の特徴を持つ新種の恐竜化石を、中国科学院や米国、カナダなどの研究チームが新疆ウイグル自治区で発見し、18日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 鳥類は恐竜から進化したとする「恐竜起源説」が有力で、翼は手の進化の結果と考えられている。だが骨格部分となって翼を支えている鳥の手と、恐竜の手には、起源が同じとは見なせない大きな違いがあり謎だった。

 日本の国立科学博物館の真鍋真研究主幹は「最大の疑問だった手の構造の違いを合理的に説明できる重要な発見だ」と話しており、恐竜起源説の有力な証拠になりそうだ。

 化石はジュラ紀後期の約1億6千万年前のぬかるんだ泥だった地層から出土、恐竜の体長は約1・7メートルと推定される。ティラノサウルスを含む獣脚類の仲間とみられ、ラテン語で「泥」を意味する「リム
ス」から「リムサウルス」と名付けられた。

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人類が知る限り、過去、脊椎動物は3度空を飛んでいます。「翼竜」「鳥」それから哺乳類の「こうもり」です。魚のトビウオとか哺乳類のムササビは滑空しているだけですので除きます。

そしてこれらの脊椎動物は人間の「手」と「腕」にあたる部分に翼を持っていて、それを羽ばたいたり広げたりして飛翔しているわけです。
翼竜やこうもりは人間で言う「指」が長く伸びて、その長い指と腕や足の間に大きな膜がはられて、これが翼になっています。指や腕についた膜なので人間が手のひらを閉じるように翼をたたむことができるわけです。

ところで翼竜やそれによく似たモンスターを描かれると、翼をこうもりのように描いてしまう方がおられるのでは無いかと思います。あのコミック版デビルマンの翼のような感じです。ちなみに最初に放映されたアニメ版デビルマンの翼は、ヒーローらしく三日月を背中合わせにしたような形状でしたが、とりあえず関係無いですね・・・。

少し脱線してますが、次回せっかくなので翼竜とこうもりの翼の違いを簡単に書かせていただきます。

恐竜界の偽装王(最終回)

2009-07-13 00:03:02 | 古生物
東京の上野にある国立博物館で開催していた「大恐竜展知られざる南半球の支配者」に行って参りました。開催期間が2009年6月21日までだったのですが、もう終了しているので言いたいことが書けると思いまして、今回、思ったことを。

前回はこの恐竜展の目玉であるマプサウルスを紹介いたしました。

ところでこの記事に添付している画像をご覧ください。画像の向かって左上が今回の巨大肉食恐竜マプサウルスの頭骨部分です。なにせ13mもある生物ですから、頭も展示台を含めて4mくらいの位置にあるので、一生懸命手を伸ばして撮影しておりますがややピンボケですいません。

恐竜の頭骨は人間と違っていくつか穴が開いています。これは頭骨を軽くしたり筋肉がつく位置であったりするのですが、特に目の後ろ、ちょうどこめかみのあたりの穴を「側頭窓」と呼びます。
恐竜は顎関節が無いのでこの側頭窓から下顎に強い筋肉がついています。

マプサウルスはテタヌラ類という分岐分類学上の分類に入っていますが、これはジュラ紀を代表する肉食恐竜のアロサウルスを含みます。向かって右上の画像が福井県立恐竜博物館に展示されているアロサウルスの頭骨です。頭骨の高さがアロサウルスは高く、マプサウルスは低いので、マプサウルスの頭はややほっそりした形状ですが、下顎の形状や鼻の形状、歯の形状や顎への歯の付き方などに共通点がありますね。
また同じテタヌラ類で、マプサウルスと同じ南半球にあるアフリカ大陸で発見された巨大肉食恐竜に、「カルカロドントサウルス」がいます。アロサウルスに近い仲間と考えられていますが、画像の向かって左下がそのカルカロドントサウルスの頭骨です。上野の国立博物館の地球館の地下1階で常設展示されているものを撮影してきました。

同じテタヌラなのですが、マプサウルスの側頭窓とアロサウルス、カルカロドントサウルスの側頭窓を見比べてください。妙に後ろに広がっているように感じませんでしょうか?マプサウルスはカルカロドントサウルスに近い種と言う事で、カルカロドントサウルス科と分類されているのですが・・・。

実はこの恐竜を発掘して復元したコリア教授は、以前にやはり南米で発見された巨大な肉食恐竜「ギガノトサウルス」も発掘・復元しています。画像右下がその「ギガノトサウルス」です。こちらも上野の国立博物館の地球館の地下1階で常設展示されているものです。

1998年に日本で開催された恐竜展の目玉の一つが、この「ギガノトサウルス」でした。当時も「ティラノサウルスをも凌駕する巨大肉食恐竜!」として喧伝されていたものです。
この恐竜もカルカロドントサウルス科で分類されていていますが、こちらの側頭窓はもっとはなはだしく広がって、もはや丸窓の様相を呈しています。

この恐竜の復元が発表された当時、多くの学者が側頭窓の復元に疑問を表明しているのですが、化石自体はこの部分がつぶれて未発見であったため、コリア教授自らが「ケラトサウルス類」を参考にした。と回答しています。ケラトサウルス類はテタヌラ類より原始的な肉食恐竜の分類で、一般に側頭窓が広い種類なのですが、ギガノトサウルスを「テタヌラ」で分類しておいて、ここだけケラトサウルス類を参考にしたことに、「最大級の肉食恐竜」にこだわるあまり、人為的にここを伸ばしてサイズを稼いだのでは?と疑問視する意見が多く見られます。
そしてマプサウルスもどうやら同様の復元方針が採られたのでは無いか?という意見があるようですが、この4つの画像をご覧いただきみなさんはどう理解されますか?

以上、恐竜ファンなら「もう知ってるよ!」なエピソードですが、恐竜業界(ってあるのか?)でもやはり、「自分の発見した恐竜は史上最大の○○」みたいなインパクトが欲しいのは、どの世界でも同じだという意味で1つ紹介させていただきました。

恐竜界の偽装王(2)

2009-07-11 00:09:19 | 古生物
東京の上野にある国立博物館で開催していた「大恐竜展知られざる南半球の支配者」に行って参りました。開催期間が2009年6月21日までだったのですが、もう終了しているので言いたいことが書けると思いまして、今回、思ったことを。

今回のこの恐竜展の目玉は、アルゼンチンで発見された巨大な肉食恐竜「マプサウルス(Mapusaurus roseae)」です。
最大で13mくらいにはなったであろう。という巨大さが恐竜界のトップ・スター(なんじゃそりゃ)「ティラノサウルス」を超える(かもしれない)巨大さ。という期待なんでしょうが、本当にこの恐竜化石の発見が重要なのはその産状でした。

このマプサウルスの化石が発見されたのは1997年ころのようです。2000年にドン・レッセムという、映画「ジュラシック・パーク」の監修を努めたらしい人の書いた記事に、アルゼンチンでこの恐竜化石が発見されて2000年2月に調査結果の中間報告がされた。と書かれていました。報告を行ったのはカナダの学者でアルバートサウルスの研究で有名なフィリップ・カーリー博士と、アルゼンチンのロドルフォ・コリア教授でした。
この恐竜の化石はアルゼンチンのパダゴニアの砂漠の同じ場所から、実に大小いろいろな成長過程の7体もの個体が発見されたのです。カーリー博士とコリア教授は殆ど同じ時期に、カナダのアルバータでやはり同じ肉食恐竜のアルバートサウルスの9体の大小さまざまな個体を発見しています。
つまりマプサウルス発見の意義は、「巨大肉食恐竜」がライオンのような群れを形成して生活していたという仮説の証拠の1つなのです。

しかしやはり興行である以上は「群れを作って生活していた肉食恐竜!」よりも「あのティラノサウルスをも凌駕する巨大肉食恐竜!」のほうがインパクトがあるのでしょう。どうもそちらばかりがクローズアップされているようでした。

この恐竜展の目玉であるマプサウルスを紹介いたしました。
次回こそこの恐竜にまつわるおもしろいエピソードをご紹介いたします。

恐竜界の偽装王(1)

2009-07-09 00:05:57 | 古生物
東京の上野にある国立博物館で開催していた「大恐竜展知られざる南半球の支配者」に行って参りました。開催期間が2009年6月21日までだったのですが、もう終了しているので言いたいことが書けると思いまして、今回、思ったことを。
と申しましても恐竜好きの人たちの間では今更な話題なんですいません。新鮮味の無い話題であること事前にお断りしておきます。

今回のこの「大恐竜展知られざる南半球の支配者」ですが、読んでのとおり「南半球」で発見された恐竜をメインにした展示内容です。

恐竜の研究は英国から始まりました。メガロサウルスと名付けられた、肉食恐竜の歯がついた顎の骨の化石が世界で初めて命名された恐竜です。当時は大昔にこの地上に巨大な爬虫類がいたらしい。という程度の認識ですが「恐ろしいほど巨大トカゲ」ということで「恐竜」という今に繋がる生物としての総称が決められたのです。

その後もヨーロッパでは多くの恐竜の化石が発掘されましたが、何と言っても恐竜研究の中心は北米大陸であった時代が長く続きます。代表的な恐竜である「ティラノサウルス」や「アロサウルス」、「トリケラトプス」などはすべて北米大陸で発見されました。

しかし最近は南米大陸およびアフリカ大陸、オーストラリア、南極の「南半球」で発見される恐竜が注目を集めています。
それは恐竜の出現が三畳紀の南米大陸と考えられる化石証拠が発見されているからです。とは言ってもこの時代は地球には「パンゲア」と呼ばれる巨大な超大陸が1つだけ存在していたのですが。
現在、最古の恐竜では無いかと認識されている「ヘルレラサウルス」や、それより古い「スタウリコサウルス」は南米で発見されています。これら原始的な獣脚類のうち古竜脚類の特徴を持つ種類から古竜脚類が分化し、更に巨大な竜脚類が発生していったという説があり、北米やヨーロッパでの発見だけでは説明が難しい恐竜の起源と巨大化などの進化を探る上で、南半球の恐竜化石の研究は非常に重要であるとされています。

北米の有名どころ恐竜。また最近まで注目を集めていた中国を中心とした「恐竜→鳥」進化を証明する新発見。もちろん現在も未来も検証、研究が続けられることでしょうが、これらが一般に公開されつくしてしまった感がある中で、今回は南半球の恐竜化石をメインにすることは当然の流れと言えます。

次回、この恐竜展の目玉を紹介しがてら、おもしろいエピソードをご紹介いたします。

最古の動物化石とスノーボール

2009-02-25 00:02:54 | 古生物

最古の動物化石(実際は細胞に含まれる化学物質の化石)が発見されたそうです。

<化石発見>動物最古 6億3500万年前の地層
2月24日10時59分配信 毎日新聞
 中東オマーンの沿岸で、約6億3500万年前の堆積(たいせき)層から海綿動物に特有の化学物質の化石を、米カルフォルニア大などの研究チームが発見した。動物では最古の化石とみられる。英科学誌ネイチャーに発表した。【河内敏康】

海綿動物は、最も原始的な動物。これまでは、中国南部の約5億7000万年前の地層から見つかった海綿動物の化石が最古の動物化石とされていた。
研究チームは、オマーン沿岸の浅瀬に堆積した地層を調べたところ、約6億3500万年前の堆積層からステロイドと呼ばれる化学物質の化石を多数発見した。このステロイドは、海綿動物の細胞膜に含まれるものだった。
従来の学説では、約6億年前まで地球は氷河時代で、その後徐々に温暖化し、5億5000万年前ごろから動物が爆発的に増えたと考えられていた。
▽川上紳一・岐阜大教授(地球惑星科学)の話 動物の起源が大きくさかのぼったという点で意義深い。今回の発見は、地球全体が凍結していた氷河時代にもかかわらず、動物が存在していた証拠と言えるため、従来の学説に変更を迫る可能性がある。

このニュースの意義は、この化石化された化学物質の持ち主の生きていた時代が「氷河時代」であることです。

ところで氷河時代と言うとマンモスやガンダーがうろちょろとして、ブリザード吹きすさぶ氷の世界を思い浮かべますが、実際は極地に氷河があればそれは「氷河時代」となります。ここ最近での無氷河時代は恐竜が生きていた温暖な気候の時代です。
そういう意味では現在も「氷河時代」なのですが、一口に「氷河時代」と言ってもブリザードの吹き荒れるような「氷期」と、その合間に現れる「間氷期」が繰り返されるので、今、我々が生きている時代は「間氷期」であるとされています。
ちなみに2004年に公開されたハリウッド映画「デイ・アフタートゥモロー」は、地球温暖化で南極の氷床が海に溶け込み海水温が下がり氷期になる。という話で、映画自体は

*環境問題、特に温暖化を問題視し→急激な氷期の到来で全人類が大打撃→さぁ、どうなる人間?!負けるな人間→ある地質学者が遊びに行った息子を助けるために(他人を巻き込みながら)氷原を歩いて助けに行く→いろいろな課題は山積。でも家族愛の大切さを高らかに謳ってEnd!

という失速感バリバリのトンデモ映画でしたが、氷期に入るプロセスの急激さに疑問は感じるものの着眼はおもしろかったと思います。実はなぜ氷河時代が起こるのか?はいろいろな要因が複雑でそのプロセスはまだ未解明な部分が多いのです。

で、ようやく本題ですが、上記で引用させていただいた記事で言う「約6億3500万年前」の氷河期とは、ここ10年くらいで議論されておりそのインパクト故によく取り上げられる「全球凍結(スノーボールアース)」のことを示しています。

この世にろくに生物もいなかった原生代の地球には
・ヒューロニアン氷河期(約24-22億年前)
・スターチアン氷河期(約7億6千万年~7億年前)
・マリノアン(ヴァランガー)氷河期(約6億2千万年前~5億5千万年前)
と呼ばれる氷河時代が存在したことが知られており、これらの氷河時代は赤道域まで氷床が及んでいたと言われています。つまりこの時代の地球は巨大な氷の球になっていたわけで、これを「全球凍結」と言います。

この環境下ではいったい地球の気温はいかほどであったのでしょうか?スパコンによるシミュレーションで算出された結果は
・北極や南極の極地でマイナス90℃
・赤道付近でマイナス50℃
というおよそ生命が存在できるとは思えない過酷にもほどのある環境であったと推測されています。先の「デイ・アフタートゥモロー」の中でも急激な気温低下でヘリコプターの操縦士がそのまま凍り付いてしまう場面や、映画の冒頭で口の中に食べかけの草が入った状態で発見された氷付けマンモスなどが描かれていますが、この環境であれば無防備に外気に触れればたちまちそうなるでしょうね。

ところで今回のこの「最古の動物(を構成した化学物質)の化石」の発見があるまで、つまり現在の地球上の生物進化の定説は以下のようなものです。

直近最期の「全球凍結」が始まる前(10億年前)の地球の生物は単細胞生物が主体で、多細胞生物は小形の菌類などしか存在しませんでした。しかしマリノアン(ヴァランガー)氷河期(約6億2千万年前~5億5千万年前)が終了した原生代末、いわゆるエディアカラ紀には、エディアカラ生物群と呼ばれる大形生物が出現しはじめました。
エディアカラ生物群の中には長さ1mを超える生物化石も産出しており、この突然の大形生物出現と直近最期の「全球凍結」との関係について今でも議論・検討が行われていますが、いずれにしても「大規模な氷河期」=「全球凍結」の終了が生物の爆発的な進化に大きな影響を与えていると推論されており、実際にエディアカラ紀に続くカンブリア紀にはバージェスや澄江に代表される多様な生物群が生まれたいわゆる「カンブリア大爆発」がありました。

これが従来の生物進化上の説でした。

ところが今回の発見でマリノアン(ヴァランガー)氷河期の過酷な環境の真っ只中で、海綿動物という大型の多細胞生物が存在した可能性が出てきたわけで、それまでは博物館などでも「「全球凍結」が終わったことで生物の進化が加速した」と説明していた資料や映像などは大幅見直しになるかもしれません。

今回ご紹介する博物館はなかなかにマニアックなんですが、時々「全球凍結」と生命の誕生に関する講義や子供向けのイベントが催される博物館です。

「蒲郡 生命の海科学館」

ちなみに数年前に実体をよく理解していない市民団体から「化石標本を不当に高価な代金で取得している」と訴えられて勝訴したことで一部有名です。「澄江」や「バージェス」の化石を履歴の明確なルートで購入するんですから、そりゃ目の玉が飛び出るような価格にもなりますわね。
実際はまず市場に出回ることの無い貴重な化石を、世界的に権威のある古生物学者などを通じて正式に購入しており、国際的にも専門家やマニア垂涎の標本を多数展示する極めて上質な博物館なんですが・・・。まぁえらい田舎にあるしなぁ・・・。地味だしなぁ・・・。でもほんとすごい標本なんですよ。

アノマロカリスのホンモンの化石なんて見たことあります?