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「勘竹庵」evnc_chckの音楽やそれ以外

音楽の話題が中心になるかもしれませんが日々の雑感など書いていけたらと思っています。

ピアノ独奏曲は孤高の音楽だと思う・・・

2009-03-16 00:08:07 | 音楽(ジャズ)

中学生くらいから何故か突然ピアノを弾き始めました。多分、運動も勉強もダメだったんでせめて楽器が弾ければもてるかも。ぐらいの軽薄な発想だったと記憶しています。
で高校生になるとようやく軽音楽が「コード」というものを基にして演奏されることがわかりました。
それからは毎日「コード、コード」でいろんなコードを覚えて自己満足でしたが、あるときジャズは実はこのコードだけを頼りに即興で演奏していることを知り、それからは「スケール、スケール」の毎日でポップスの楽譜に書かれているコード進行に適当にアドリブを乗せてソロ・ピアノの真似事をしていました。

当然そんな流になるとはずせないのが「キース・ジャレット」であります。

誰それ?な方はまずは彼のファースト・ソロ・ピアノのアルバム「Facing You」をどうぞ。それで「いいなぁ」と思ったら迷わず「Koln(本当はウムラウト付きのo) Concert」を。ところどころで聞こえてくる本人のうめき声と言うか叫び声が気になるけど(笑、いかにも「音楽に集中してます」という姿勢は感じ取れるのでは無いかと思います。

1970年代初め。ジャズはそろそろその進化の終焉に来ていたのでは無いかと思います。終焉が使ってはいけない言葉なら「別の姿に進化」する過渡期であったと思います。マイルスもチック・コリアもハービー・ハンコックもみんなロックのエッセンスを取り入れ、それぞれ「マイルス・バンド」「リターン・トゥ・フォーエヴァー」などを率いており、いわゆる「電化ジャズ」の最盛期であった時代です。実はキース・ジャレットもマイルスの電化ジャズのグループにチック・コリアとともに参加していたのですが、その同時代に突如としてドイツのECMと契約してソロ・ピアノのアルバムをリリースしたのでした。

どういった心境でこの取り組みを始めたのかは知る由もありません。

それまでソロ・ピアノはジャズの世界でもあるにはありました。たいていは古今の名曲スタンダート・チューンをテクニック自慢のピアニスト(オスカー・ピーターソンとかテディ・ウィルソンとか)が、まるでラスベガスのナイト・ショーでも聴いているような煌びやかさで演奏するものでした。クラシックの世界でもかつては即興でピアノ独奏をすることが一般的であったのですが、やはり自作や当時の流行歌などからモティーフを取って変奏曲やフーガやソナタに展開させるものが普通でした。

そこにキースは完全な即興のソロで挑んできたのであります。

今まさに思いついた(実際は和声の進行ぐらいは事前に考えているかもしれませんが)であろうモティーフが、最初はもどかしいぐらいポツリポツリと、そしてやがて心の中を全部さらすようにあふれだす「The Koln Concert」の第一曲など、その孤独なまでの演奏への真摯な集中力は緊張感と清涼感にあふれ凄みを感じさせます。

ただ、私自身はこれら一連のキースのソロ・ピアノはその瞬間の彼の集中力の記録ではあっても、その後に何か残したか?と言われると何ともコメントし辛いものがあります。
それはキースが悪いのでは無く、彼の商業的な成功や彼の個性的な音楽に対する「ジャズもクラシックもロックやゴスペルすら超越した」みたいな評価の下に、どじょうのように集まったほかのピアニスト達(と言うか音楽プロデ-サー達)に責任があると思います。そりゃ各々自分なりのコンセプトで取り組んでいるんでしょうが「商業的に認知されたフォーマット」に群がっていることには変わりが無いわけで・・・。坂○龍○とか加○隆とか挙句の果てにリッ○・ウ○イクマンとか・・・。「クラシックや現代音楽を勉強して軽音楽分野で活動してれば誰でもそれなりにできること。」と言っては身もふたも無いか・・・。

そんな身もふたも無い話をしておいて何ですがピアノ独奏曲だけは自身の中でも「孤高の音楽」と思っています。久しぶりに創ったピアノ独奏曲です。今までの中で一番ジャズ寄りのピアノ独奏曲では無いかと思いますが、何を創っても「ジャズっぽい」と言われてしまうので今更感でしょうかね・・・。

「Riverside Walkway」

家の前を流れる川は小さいながら護岸が殆ど自然のままで、この時期はサギや海猫などの野鳥がエサを捕りに訪れます。散歩を楽しむ方々が朝も昼も夜も絶えることの無いこの川の堤防を歩きながら構想しました。


アルって今思うと天才・・・

2009-02-20 00:04:06 | 音楽(ジャズ)

先日、中古CDショップをあさっていたら懐かしいアル・ディ・メオラの「Elegant Gypsy」がありました。

1976年の作品なんですがアルって1954年生まれですからこの作品って22歳の録音!ヒゲ面で東洋人に比べて老けて見えるんであまり気にしていませんでしたが、すごく早熟だったんですね・・・。チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」に参加したのが1974年ですから天才扱いもわかる気がします。
1970年代と言えばチック・コリアはマイルス・バンドを経て「電化ジャズ」の最先端を走っていた時代。そのチックと20歳にして共演し(当時としては)超絶技巧のギターを見せつけたわけです。

今回このアルバムを改めて聴いてみて思うことは、あまりそういう視点で議論はされていないように思いますが、チックに与えたアルの影響がいかに大きかったか?と言うことです。

チックは「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を出すころにはマイルスのバンドに参加したり、自身のリーダー・アルバムでその後のモード・ジャズの方向性に大きな足跡を残した「Now he sings,Now he sobs」も発表しており、ジャズ、クロスオーバー(懐かしい単語・・・)界の最先端であったと思います。フリーに走ったのは秘密、秘密・・・。

「チックのプレイの中に聴かれるラテンの香り」は、今でも彼に対する一定の認識として根強いものですが、この時期のプレイでもそれは随所に感じられます。フレーズにも感じられるのですがそれ以上にそのリズムのノリかたが4ビートでも8ビートでもどこかラテン風で、当時(今もですが)実力と人気を二分していたハービー・ハンコックのファンキーさと対極にあったと思います。
ただそれは少し「香る」程度で、決してイヤみな意味では無いのですが「わからない人にはわからない」テイストでした。その後の「リターン・トゥ・フォーエヴァー」の第一期でのチックは、クロスオーバーのジャンル下であったこともありバップやモードの複雑とも言える和声から一歩離れて、かなりループに近いコード進行の中でプレイできることの開放感からか、「これでもか!」とばかりのラテン・フィーバーぶり(特にスパニッシュなテイストが濃厚)です。

そして第二期「リターン・トゥ・フォーエヴァー」でアル・ディ・メオラが加入(実際はその前にアール・クルーが参加)し、完全にふっきれたかのようにスパニッシュ全開のチックが聴かれます。そして「リターン・トゥ・フォーエヴァー」の後にもチックのプレイや作品にはラテン。特にスペインの香りが感じ取れます。それは「childrens songs」のような小品集にも聴きとることができます。年齢的に熟した結果でもあるかもしれませんが、アドリブのフレーズがマイルスのバックや先述の「Now he sings,Now he sobs」の時代に聴かれた少し機械のようなアドリブに比べ、よりメロディアスにまるでラテンの民謡のように歌っていることがわかります。

アルが天才天才ともてはやされてから10年もしないうちに、ロック界にイングウェイ・マルムスティーンとか、トニー・マカパインとかの超絶プレイヤーが現れて、「すごいテクニックなんだけどどれを聴いてもスペインの民族音楽」のようなアルの「こだわりの」ギターは、少しリスナーに飽きられたように思えます。もう今更「早熟な天才」でも無いですし。技巧的であることでは共通するチックとアルですが、チックは時代を読むかのようにスタイルをより先鋭的にしたり懐古的にしたりを繰り返しながらも、今もジャズ・フュージョン界で圧倒的な影響力を維持し続けているわけです。

アルでは無くトニー・マカパインを聴いてインスパイアされて創った曲です。もちろんギターは全然弾けませんのでいい加減な打ち込みで再現していますが、ゴシックな雰囲気にのった超絶ギターが楽しんでいただけるとうれしいです。
「Holy Dark Night」


モード・ジャズのアレンジをしてみよう(最終回)

2009-01-05 00:05:00 | 音楽(ジャズ)

ジャズの中でも近代音楽的位置づけである、「モード・ジャズ」風のアレンジの手法の考察も今回で最終回です。
まずは聴覚的に理解していただくためにすでにアレンジしたものをMP3にしています。よろしかったら以下にULされておりますのでDLして聴いていただけるといいかと思います。

「チューリップ アレンジVer.1」

「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を引き続き考えるにあたり素材として「チューリップ」の歌を使います。キーはハ長調とします。

9小節目も引き続きヘ長調のままでメロディに合致したコード(Am7)を置きます。10小節目はE音がフラットしていますが、これはここで調性を変化させた(つまり転調)わけでは無く、次の小節のコードへ内声を半音下降させる経過的なもので、一般に「クリシェ」というアレンジの手法です。11小節目はそろそろエンディングが見えているわけですから、主和音のCへ導く必要から、10小節目の段階での調=ヘ長調のⅥの和音、元の調=ハ長調のⅡの和音であり下属和音Fの代理でもあるDm7(9)を置きました。
このまま12小節目でCで終了してもいいのですが、ジャズでよく利用される手法である属和音の代理コードに留まって、再度13小節目でCに進行させました。厳密にはハ長調の属和音=G7の代理コードはD♭7ですが、メロディとの関係でD♭△7にしてあります。ベースがD音→D♭音→Cと動くのもらしくていいですよね。

ここまででとりあえずリハーモナイズが完了しました。お読みいただいた方はありがとうございます。
コード譜を書かせていただきますと以下とおりです。サンプルのmp3とともに楽譜をご確認いただけるとわかりやすいかと思います。

F♯m7-5│E7+5│A7+9│D△7-5│Dm7-5│D♭△7│F△7│B♭△7│Am7│Am7-5onG│Dm7│D♭△7│C

しかしこのままでは変な和音がついた「チューリップ」です。ジャズはメロディを崩す「フェイク」をしてこその音楽です。そこで少しビル・エヴァンス風にメロディ・フェイクさせた版を作ってみました。あまり最初のリハーモナイズしただけのヴァージョンとかけ離れてもいけないので、ピアノの左手のヴォイシングはまったく変えず、ピアノの右手とベースを大幅に変えてシンバルの4つ打ちが入ってます。
最後によろしければお聴きください。

「チューリップ アレンジVer.2」


モード・ジャズのアレンジをしてみよう(7)

2009-01-03 00:05:00 | 音楽(ジャズ)

ジャズの中でも近代音楽的位置づけである、「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を考察しています。
まずは聴覚的に理解していただくためにすでにアレンジしたものをMP3にしています。よろしかったら以下にULされておりますのでDLして聴いていただけるといいかと思います。

「チューリップ アレンジVer.1」

「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を引き続き考えるにあたり素材として「チューリップ」の歌を使います。キーはハ長調とします。

5小節目で雰囲気を変化させたわけですから、6小節目の役割はそれを維持することだと考えました。そこで響きはそのままに経過的な意味でベースだけ半音下げたコードをあてています。コードとしてはD♭△7ですが、使用するモードをD♭音で始まるメジャー系のものにするより、前のモードでベースが半音下がっているだけと解釈したほうが、アドリブもしやすく響きも斬新と思います。
7、8小節目をどういう位置づけにするか考えましたが、オリジナルのキーであるハ長調から少し遠ざかっている調性を戻すため(モードとコードの両面から解釈して6小節目の段階で変ホ長調)、および変化を狙って変ホ長調から見て二度調、元のハ長調から見て下属長であるヘ長調へ強引に持っていくことにします。

今回は6~8小節を説明させていただきました。
細かい説明が続くので大変でしょうが次回で最終回です。
つづく・・・


モード・ジャズのアレンジをしてみよう(6)

2008-12-30 00:05:25 | 音楽(ジャズ)

ジャズの中でも近代音楽的位置づけである、「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を考察しています。
まずは聴覚的に理解していただくためにすでにアレンジしたものをMP3にしています。よろしかったら以下にULされておりますのでDLして聴いていただけるといいかと思います。

「チューリップ アレンジVer.1」

「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を引き続き考えるにあたり素材として「チューリップ」の歌を使います。キーはハ長調とします。

5小節目から曲としては繰り返しなのですが、アレンジで大切な「和声的な変化」を持たせるために、まったく違うモードに入ることにします。ただし聴覚的な継続さを維持することも考慮してルートだけD音を引き継いだ上で、4小節目がDのメジャー系コードで終止したことからDのマイナー系コードをあてはめることにします。ストレートにDm7あたりを置いてもいいのですが、更にひねりを入れてDm7-5(Dφ)としてみました。モードはD音で始まるロクリアンになります。もちろん1小節目と同様の考えからロクリアンの第二音をシャープさせた、「スーパー・ロクリアン=F音で始まる旋律的短音階の上昇形」を使うことも可能です。ただしあくまで前後のモードを考えて使う必要があります。D音で始まるスーパー・ロクリアンの構成はdefga♭b♭c。前の4小節目で使ったモードはD音で始まるリディアンでしたから構成はdef♯g♯abc♯であることはすでに述べました。2つを比較するとd、e、g♯=a♭の3つの音が共通しますので、次の6小節目でどのモードが使われるかにもよりますが、アドリブの際にこの3つの音に関しては連続的なフレーズで演奏可能となります。

細かい説明が続くので大変でしょうが毎回1小節づつ説明させてください。
つづく・・・


モード・ジャズのアレンジをしてみよう(5)

2008-12-28 00:10:00 | 音楽(ジャズ)

ジャズの中でも近代音楽的位置づけである、「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を考察しています。
まずは聴覚的に理解していただくためにすでにアレンジしたものをMP3にしています。よろしかったら以下にULされておりますのでDLして聴いていただけるといいかと思います。

「チューリップ アレンジVer.1」

「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を引き続き考えるにあたり素材として「チューリップ」の歌を使います。キーはハ長調とします。

2小節目のリハーモナイズの際に述べたのですが、2小節目の役割は調性感を持たせる方向に導くことでした。ところが3小節目は2小節目のコードを受けてAmに進行すべきところを、あえて更なる転調の可能性を持たせてA7+9としてしまいました。結局、調性感は無くなりつつあるような(笑。クラシックでは無いのですからこれはこれでありなんですよ。

4小節目は音楽全般で言うところの一旦のフレーズの切れ目です。ですからとりあえず完結しつつも次のフレーズへの導きとなる小節です。
完結する雰囲気であれば前の小節のA7+9をドミナントとして受けた形でDを置きたいところです。そこで本当にごく素直ですがD△7とします。ここで大切なのは本当にD△7をそのままで鳴らしては終止感が強すぎて、冒頭から維持してきた調性の希薄さが解消されてしまうように感じますから、最初の小節で採った方法である「トーナリティーから考えて明らかにトニックになるであろうコードに、メジャーの場合はリディアンをあてはめる」ことをします。そこでここのコードはD△7-5となりモードはD音で始まるリディアン(def♯g♯abc♯)を使用します。「スーパー・ロクリアン=A音で始まる旋律的短音階の上昇形」と比べてC音がシャープになるだけですから、非常に近いモードを使ってアドリブが行えるわけです。

細かい説明が続くので大変でしょうが毎回1小節づつ説明させてください。
つづく・・・


モード・ジャズのアレンジをしてみよう(4)

2008-12-26 00:10:00 | 音楽(ジャズ)

ジャズの中でも近代音楽的位置づけである、「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を考察しています。
まずは聴覚的に理解していただくためにすでにアレンジしたものをMP3にしています。よろしかったら以下にULされておりますのでDLして聴いていただけるといいかと思います。

「チューリップ アレンジVer.1」

「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を引き続き考えるにあたり素材として「チューリップ」の歌を使います。キーはハ長調とします。

3小節目は2小節目のコードを受けてAmに進行することが可能です。アドリブの際はそうすることで更に先に挙げたモードを継続することが可能です。
しかしメロディのハーモナイズとしてはあまりに当たり前すぎて、ジャズが本来持つ「ブルージーさ」が足りないように感じます。もちろん好みですがリスナーを裏切ることも大切です(笑。
そこでここは1つ更に次に展開させることでA7を置きましょう。ただ何度も書きますがメロディの音を最低限は和声音にする必要からA7+9とします。
この小節では経過的な転調ですので逆に自由にモードを選択することが可能であると思います。先に述べた1、2小節と同じモードを継続することも可能ですし、もっとシンプルにA音で始まるペンタトニックでもいいですし、音数を沢山入れられればペンタトニックでインサイド→アウトサイド→インサイドと言ったアプローチをさせることもできます。
このあたりやや専門的でアレンジとは少しはずれるので、これ以上はまた別の機会に述べたいと思います。

細かい説明が続くので大変でしょうが毎回1小節づつ説明させてください。
つづく・・・


モード・ジャズのアレンジをしてみよう(3)

2008-12-18 00:11:55 | 音楽(ジャズ)

ジャズの中でも近代音楽的位置づけである、「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を考察しています。
まずは聴覚的に理解していただくためにすでにアレンジしたものをMP3にしています。よろしかったら以下にULされておりますのでDLして聴いていただけるといいかと思います。

「チューリップ アレンジVer.1」

「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を考えるにあたり素材として「チューリップ」の歌を使います。キーはハ長調とします。

2小節目はメロディが1小節目と同じです。そこでこの小節の役割としては2通りが考えられます。1つは1小節目から見て少ない変化で1小節目で発生させた無調性感を持続すること。もう1つは逆に大きく変化させて無調性感を一旦排除して調性感を持たせること。
今回は後者の方針で行きます。
そこでこの曲のオリジナルのキーであるハ長調に少しでも戻すことを考えました。このあたり冒険心不足にも感じますが何事も程度問題です。
とりあえずハ長調の平行調であるイ短調の主和音、Amに進行するコードを2小節目に置きます。イ短調のドミナントであるE7ですがこの場合もメロディの音を最低限は和声音にする必要から、E7+5としました。この段階でのこの小節のモードは「E音で始まるハーモニック・マイナー・パーフェクト5thベロウ」が比較的使い安いと思いますが、1つ前の小節で使用している「スーパー・ロクリアン=A音で始まる旋律的短音階の上昇形」を使えば2小節を同じモードで通すことが可能となります。

細かい説明が続くので大変でしょうが毎回1小節づつ説明させてください。
つづく・・・


モード・ジャズのアレンジをしてみよう(2)

2008-12-13 01:16:11 | 音楽(ジャズ)

前回よりジャズの中でも近代音楽的位置づけである、「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を考察しています。
まずは聴覚的に理解していただくためにすでにアレンジしたものをMP3にしています。よろしかったら以下にULされておりますのでDLして聴いていただけるといいかと思います。

「チューリップ アレンジVer.1」

「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を考えるにあたり素材として「チューリップ」の歌を使います。キーはハ長調とします。

前回でお話したとおりハ長調ですが、始まりのモードとしてCのリディアンで始めます。
まずCのリディアンですからキーがハ長調にもかかわらず、F音がシャープ(F♯音)になります。そしてそれを最初から明確にするためF♯音を含み、かつオリジナルのCのコードと何らかの理論的な関係のあるコードとして、代理コードのF♯とルートが同じである「F♯m7-5」を最初のコードにします。メロディがC音から始まりルートがF♯音ということで減5度が構成され、いきなりの和声的な不安定さがクールさを表現できると思います。
他の方法として比較的多いのがここでC7をあてはめて、Cで始まるミクソリディアンを対応させることです。より無調ぽくしたいと言うことであればいっそ完全にCの代理コードであるF♯を持ってくることも可能です。その場合はメロディの音を最低限は和声音にする必要から、メロディを演奏する際はF♯-5にすることになります。今回はそこまで過剰な無調性感は避けてF♯m7-5を最初のコードとします。この段階ではこの小節のモードはF♯音で始まるロクリアンですが、無調とは言えそれなりに旋律的なアドリブを考えると、ロクリアンの第二音をシャープさせた、「スーパー・ロクリアン=A音で始まる旋律的短音階の上昇形」を使うことが無難であると思います。もちろんロクアリンをストレートに使っても構いませんが、次の小節の役割を考慮する前提での話しとなります。

細かい説明が続くので大変でしょうが毎回1小節づつ説明させてください。
つづく・・・


モード・ジャズのアレンジをしてみよう(1)

2008-12-09 00:13:02 | 音楽(ジャズ)

と言う事で特に誰にも頼まれていませんが、ジャズの中でも近代音楽的位置づけである、「モード・ジャズ」風のアレンジの手法を考えていきたいと思います。

ここで簡単に「モード・ジャズ」についてご説明いたします。

一般論になりますが1950年代に複雑で緻密なコード・アレンジと、それに伴うアドリブ重視の演奏スタイルを確立したジャズが、1960年代に多様な方向性を模索しました。
その一つがモード・ジャズです。異論はあるのかもしれませんが1970年代以降の所謂「かっこいいジャズ」の原型だと思っています。もちろん普通にかっこいいのはハードバップに軍配は上がるように思いますが、それまで激しいビートと複雑すぎてスレスレのスリリングさのあったバップに比較して、妙なクールさが個人的にはスタイリッシュでかっこいいと感じます。

今回は版権の関係もありますが素材として良い子はみんな大好き。幼稚園で上体を左右に揺らしながら唄った、「チューリップ」の歌を使いピアノ・トリオの編成で作業します。キーはハ長調とします。

今回のアレンジはモード・ジャズとは言っても、その後のフリー・ジャズに繋がるような、ワン・モードやツー・モードなどの旋律を最重視したものでは無く、ハードバップから発展した複雑な和声をシンプルな旋律に施すスタイルを取り上げたいと思います。

まず最初にチューリップの歌のオリジナルのコード進行を下記に記載します。何がオリジナルかは実際はわかりませんが常識で考えて以下とおりだと思います。

C │C │C │G │C │C │C │G/C│C │F/C│C/G│C │

モード的アプローチでよく使われる手法ですが、そのコード進行の前後のコードとの関係で、トーナリティーから考えて明らかにトニック(メジャー、マイナー両方)になるであろうコードに、メジャーの場合はリディアンを。マイナーの場合はドリアンをあてはめることをします。すべてがそうでは無いのですが個人的にもこのほうがアプローチがしやすく、独特の神秘的な浮遊感があると感じます。
そこで今回は冒頭部分にまずCで始まるリディアンを対応させ、そこから全体のコード進行をつけていきます。この作業を「リハーモナイズ」と言います。

次回から本格的にアレンジをしていきたいと思います。