前回はビバップ時代の特にピアノによる和声の特徴を述べました。
今回は引き続きその発展形とも言えるハードバップの和声を説明いたします。
・ハードバップ時代(だいたい1950年代から1960年初頭のスタイル)
時代を代表するピアニスト
ソニー・クラーク、ホレス・シルヴァー
ビバップがアドリブ重視で、一部の天才的なプレイヤー(チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、バド・パウエルなど)しか正直聴く気がしないのですが、ハードバップはよりコード進行が複雑になり、その上で進行をそがないで旋律も聴かせる。というある意味ご無体な要求をしました。ですからその後に現れるモードジャズにとってかわられるんですが、旋法の理論を導入することまで気が回らず、複雑なコード進行の上で、必死にアヴェイラブル・ノート・スケールの理論だけで乗り切ろうとしている姿は、個人的には一番おもしろいな ぁ。と。
ピアノのバッキングは基本はビバップと同じと考えていいと思います。ただ全体にテンポの速い曲が多く、コードが細かく複雑に進行して いると。
例えばただのⅡ→Ⅴなのに
Dm7/Dm7♭5→G7/Gaug
なんてふうにして。テーマを提示しているときは美しいでしょうが、この上でアドリブをするとなると、きっついですよね。どんだけスケールを並べたらいいのか?
ちなみにこの時代の究極はジョン・コルトレーンの「Giant Steps」という曲だと思います。まともにアドリブを弾いている人を、聴いたことがありません。コルトレーンですら「練習曲のようなソロだ」と言われたぐらいです。
ジョン・コルトレーン ジャイアント・ステップス(+8) - goo 音楽
この後、Jazzはモードに進化しマイルス・デイヴィス、ウェイン・ショーター、チック・コリア、ハービー・ハンコックなどの天才が現れますが、これ以後のJazzを私はまともに聴いていないため、何ゆえAcid JazzやRare Grooveといったジャンルになっていったのかは、よくわかりません。またあれをJazzの進化と呼ぶべきかもわかりません。Fusion同様のJazzから派生した一分野なのでしょう。ただ今の若い方々が指すJazzはこういったHipHopですね。
次回はジャズの最終形とも言われる「モード手法」に触れます。お楽しみに。