「勘竹庵」evnc_chckの音楽やそれ以外

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ヒトは未発達のサル

2009-10-07 00:05:15 | 古生物
恐竜と鳥の進化上の関係はおもしろいです。

「始祖鳥」より古い羽毛恐竜=1億6千万年前の化石、中国で発見
9月25日22時39分 時事通信および9月25日19時52分配信 毎日新聞から抜粋、要約

 中国遼寧省の1億6100万~1億5100万年前(ジュラ紀)の地層から、前脚のほか、後ろ脚にも羽毛が生えた小柄な恐竜の化石が見つかったと、同国の古脊椎(せきつい)動物古人類研究所などの研究チームが25日、英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 この化石は全長約50センチのトロオドン類の「アンキオルニス」で、当初は鳥類と考えられていた。
 恐竜は、鳥類の祖先と考えられているが、実際に発掘された羽毛を持つ恐竜化石は白亜紀前期(1億2500万年前ごろ)のものが中心。一方、最古の鳥類とされる始祖鳥の化石はジュラ紀後期(約1億5000万年前)の地層から発掘されており、恐竜から鳥類への進化の過程が議論されていた。

 前後の脚に風切り羽があり、羽はうちわのような左右対称形だった。鳥類や白亜紀の羽毛恐竜の羽は、先端に向かって細く、左右非対称で、飛行に適した形に進化している。

 今回の発見によって、最初に前後の脚に原始的な羽を持つ4翼の恐竜の中から、前脚の翼が発達して飛翔能力を身につけ、2翼の鳥類が進化したという説がより有力になったという。

 羽毛恐竜の全身骨格がそろった化石が、これほど古い地層から見つかるのは珍しい。これまで見つかった羽毛恐竜の化石は、始祖鳥より年代が新しい物が多く、進化の順番がはっきりしなかった。

 真鍋真・国立科学博物館研究主幹は「最古の鳥類の化石の方が、最古の羽毛恐竜より古いという、これまで指摘されてきた時間的なギャップを埋める化石だ。羽毛恐竜から鳥類への進化の過程が、より明らかになった」と話している。

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鳥は恐竜から進化したことはほぼ間違い無いとして、どういった過程が進化の途上にあったのかは、推論→化石証拠→推論の繰り返しの段階で、まだまだ結論が出るのは相当の未来のことだという印象です。

ふと思ったことは我々人類(ヒト)の進化についてです。

ヒトはサルの仲間です。ただサルからヒトが進化したというのは少し間違いで、例えばボルネオの森にいる類人猿のオランウータンを、今から数百万年とか数千万年放置したらヒトに進化するかと言えば、そんなことはありえないわけです。
簡単に言ってしまえば大昔にサルとヒトの共通の祖先がいて、ある種はヒトに。ある種はサルへの進化の道を選択して枝分かれした。ということです。

ところで以前にある進化に関する書籍で「ヒトはサルの幼形成熟(ネオテニー)である」という説を読んだことがあります。
幼形成熟とは動物が性的には成熟していながら、非生殖器官。つりはそもそもの体型とか、歯とかそういった部分が未成熟な状態を言います。有名なところではペットとしてよく飼われている「メキシコサラマンダー」の幼形成熟があります。俗にウーパールーパーと呼ばれるやつです。
但し飽くまで生物学的な定義であって、見た目が子供っぽい大人。というロリロリな方を指すわけではありません。

未来。例えば今から1億年後くらいの地球に、現在のヒトくらいの文明を持った生物が存在していたとして、彼らがヒトとオランウータンの化石を発見したらどう思うでしょうか?
骨の形状などは実によく似ていて共通する部分が多い。
しかし片方(オランウータン)はかなり大型の体型で、強い筋肉が付着していたであろうと推測できます。顎の骨などはがっしりと大きく、牙まではえています。骨盤は大きく広がり前肢は長く、背骨が大きく湾曲していることから、基本は4足で歩行していたと推測できます。
片や(ヒト)体型は小さく、顎の骨は狭く柔らかいものしか食べられなさそうな小さな歯。狭い骨盤にまっすぐの大腿骨が下に伸びており、大きな頭骨を支えるために背骨は不自然なS字カーブをしており、不安定な姿勢でヨタヨタと2足歩行をしていたように観察できます。
ヒトを見たこと無い生命体から見れば、ヒトの骨格は同時代に生きていたオランウータンに比べて、実に未発達で弱々しく、厳しい弱肉強食の自然界ではとても生きられないように観察されると思います。

また現在でも恐竜の皮膚痕や羽毛の印象が化石に残ることがありますが、もしヒトの皮膚痕やオランウータンの体毛の印象が化石で発見されると、ヒトはオランウータンのように気温や雨などの外部環境から身を守るための体毛も殆ど無く、皮膚もペラペラであるためにやはり弱い生き物であったと推測することでしょう。

更にはその化石の発見される数もそれを裏づけそうです。

一般に自然界では捕食動物に比べて被捕食側、つまり食べられる側は食べる側よりも繁殖する数が多いのが一般です。恐竜時代でもモンゴルのプロトケラトプスや、北米のエドモントサウルスなどの草食恐竜は、多くの化石が発掘されています。

ヒトはご存知のとおりこの地球上には大量に生存しており、これに対してオランウータンなどは絶滅の危機に瀕しているほどで、当然化石の発掘量はヒトが圧倒することでしょう。そこから未来の知的生命は
「同時期の地層から発見された大型の化石に対して、小型の生物は外敵から身を守るための防御手段や、攻撃手段は特に持たず、常に捕食生物からの攻撃という危険にさらされていた。そこで大量に繁殖し群れで行動することを生きるための術としたのであろう。」
と推論をたてるのかもしれませんね。まぁ実際、群れるの好きですしね・・・。

実際はその後のより綿密な調査の蓄積で、この小型の生物の頭骨の大きさから大型の他の似た生物に比べてより知能が高かったこと。特に頭部の前の部分が非常に発達していたことや、2足歩行を徹底することで高度に発達した前肢をうまく使い、いろいろな道具や工作物を器用に生み出し、巨大な構築物やより複雑な使用目的を持った道具を創り出していたことが判明していき、この同時代の他の生物に比べてかなり脆弱と思われる生物は、かわりに高い知能と道具を使う能力で他の生物との差別化を図り、高度な文明を維持していた。という結論が出るかもしれません。

現在の鳥と恐竜の進化の関係を検証している段階は、上述で仮定したヒトとオランウータンなどの類人猿との関係と似ているのかもしれません。いつか鳥と恐竜の共通の祖先の化石が発見され、進化の過程もより明確に特定できる日が来ることでしょう。


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