今回は引き続きその後に起こったビバップのムーブメントの中で使われた和声を説明いたします。
・ビバップ時代(だいたい第二次世界大戦後から1950年初頭のスタイル)
時代を代表するピアニスト
バド・パウエル、セロニアス・モンク
スイングがビッグ・バンドが主流だったため、クラシックの機能和声に近いコード展開でアンサンブル的響きを重視し、個人プレイを制限していたのに対して、ビバップは従来から存在するスタンダードナンバー(スイング時代に作られた「A列車で行こう」とか)のコード展開を複雑化し、その上でいかにかっこいいアドリブをとるか。を主流にした。
コード進行が複雑な分、あまりコードでアドリブの自由度を制限するわけにいかず、根音と構成音が明確なストライド・ピアノは使用されず、また奏法上も左手に気を取られるよりアドリブだ!ということで、ベースはウッドベースにまかせて、ピアノは調性がわかる程度の音を転回させながら叩くスタイルに。
例)
一般的なブルース進行(Key=F)
Code進行が:F7→B♭7→F7→F7~
であった場合Bassのラインはおおむね以下のように弾かれます
F/E♭/D/C│B♭/A♭/G/G♭│F/F/G/G│G♯/G♯/A/A~
それにかぶさるPianoのバッキングは
1小節目:下からD,E♭,A
2小節目:下からC,D,A♭
3小節目:下からD,E♭,A
4小節目:下からD,G,C
こんな感じに入ってきます。
左手でベースを弾きながらこのヴォイシングで和音を右手で弾くと、結構、Jazzっぽいと思います。
ベースは基本は1拍目にルートを持ってきますが、上のピアノは少なくともルートは殆ど弾かず、3度と7度を基本にテンションを入れています。原型はあきらかにストライド・ピアノの2拍目と4拍目ですが、これが実際は三連裏で入ったり、和声法ではありえない平行5度で移動したりして、アドリブにからむ対位旋律のようです。
この時代は複雑になったコード進行の上で、どう美しいアドリブをとるか。に主眼が移りアンサンブルも即興能力が重視されたため、このような音使いが見られます。
この時代の演奏を収録したCDでわかりやすく、かつお薦めを一枚。と言われると私は「Jazz at massey hall」を挙げます。いろいろ逸話はある一枚ですがとにかくわかりやすく素直に「やっぱ凄いわ・・・」と思えます。
チャーリー・パーカー ジャズ・アット・マッセイ・ホール - goo 音楽
次回はビバップの発展形、「ハードバップ」に触れます。お楽しみに。