「勘竹庵」evnc_chckの音楽やそれ以外

音楽の話題が中心になるかもしれませんが日々の雑感など書いていけたらと思っています。

機会があれば観るといいと思う映画「夢・夢のあと」

2008-11-29 00:02:37 | 映画

とにかく風変わりな映画です。

もうかれこれ20年くらい前にTVの深夜の映画枠で観たきりの映画ですが、オール外人キャストなんで洋画だと思っていたら邦画でした。しかも東宝東和・・・。やるぅ!(笑
国際的なデザイナー(らしいですが服装に無頓着な私はよく知りません。ユニクロでも着てりゃ十分ですよ。)の高田賢三が監督したことで有名な作品です。

ストーリーはどことも知れない砂漠の場面から始まります。砂漠を歩く若者が占いに従って砂漠を渡り遠くの湖に小船を漕ぎ出します。しかし疲れたのか何なのかわかりませんが気を失って目覚めると湖に面した古城で寝かされていました。そこには何故か「月」と「雪」と言う名のお姫様(にしては貧乏そうと言いますかシンプルな白いドレスしか持って無いみたい)が住んでいます。二人は姉妹ですがどこの領地を統治しているのか親がどうしたのかは不明です。ただ冒頭からすでに独特の雰囲気なのでその辺りの「常識」はつっこみ辛くなっていますのでスルー。
姉の「月」はキツイ顔つきの妖しい美女で妹の「雪」は色白(まぁ雪ですから・・・)の地味なおじょうちゃん。と言った雰囲気。若者は明らかに妹に惹かれた感じで、妹も若者に一目ぼれしたようです。
しかしそこにキツイ姉が割り込んで結局、若者も若さ故か姉に誘われるまま関係してしまいます(やっちゃったんですね。つまり)。砂漠で気を失ったばかりなのにえれぇ元気です。
その後も若者は妹が気になる風なんですがその都度、姉が強力に誘ってくる上にこの若者も優柔不断と言いますか「若いんだから仕方無いさ」と言うことでしょうか。この近辺はこの姉妹以外は存在しないのか覗いたりするやつもおらず、太陽の下で開放的に花畑や川原で関係しちゃいます(やっちゃうんですね。つまり)。
存在を「しかと」され男を横取りされた妹はついにキレて姉と大喧嘩をします。姉は唐突に若者を殺すと宣言しますがこの若者の屈託の無い寝顔にその決心も鈍り、「月」は泣きながら外へ。後を追う若者が見たものは白鳥に変化していく「月」でした。
結局この二人はかつて盗賊どもに乱暴され殺されたのですが、関係した男を殺さないと鳥になってしまう条件で蘇っていたのです。姉は妹が辛い思いをしないために妹が恋をするとわざと横から割り込み、男を殺す役を引き受けていた。と言うことでした。

  だったら行き倒れの男なんか拾わなきゃいいのに・・・。

余計なことですが姉妹が白鳥に変化する場面は中身の飛び出した羽毛布団をかぶって走るみたいで、昨今のCG特撮を見慣れると失笑シーンです。
不必要に胸だけ出して走ってるし(笑。
1981年の作品だからリック・ベイカーあたりに無理してでも頼めばもう少し見栄えもしたと思いますが、逆にリアルになりすぎて不気味だったりして。

正直に言うとデザイナー上がりの素人の作品で無ければ「何だこの映画・・・」と思わず口走りそうな内容です。だいたいが「キャット・ピープル」のパクリだしこの手のオチは日本の「雪女(雪女郎)」などでも見られるありがちなもの。
ところが「国際的なデザイナーの初監督作品!」と言われると安い御伽噺もゲイジツに見える不思議・・・。映像も美しいと言えば美しいのですがそれだけで名作と呼ぶのは無理があります。だいたい特に頼みもしないのに勝手に女性の方から来てくれるなんて、「いちご100%」や「To LOVEる」じゃあるまいに、そんなウマい話があるわけないだろう、まったく最近の若いもんは・・・ブツブツ。

「フレンズ」(アメリカの人気ドラマとは違います)で青春スターとしての地位を確立したかに見えた、アニセー・アルビナが「月」の役で主演しているのが見所かも?「フレンズ」と「続・フレンズ」以外にこれと言った作品が無い彼女が観られるだけでも価値はあります。これでもかと言うぐらい脱いでくれてますし。ただフレンズの少女がこんなにキツイ「お姉さま」になるとは思ってなかったのでクレジットを見たときは腰を抜かしました。

その彼女ももうすでにこの世にはいません。女優としての活躍は華々しいものではありませんでしたが「フレンズ」での印象は忘れられません。
ご冥福をお祈り申し上げます。

「夢・夢のあと」


モード・ジャズと一口に言っても・・・(7)

2008-11-27 23:43:34 | 音楽(ジャズ)

バップを続けることでそれなりの商業的成果はあげていたマイルスですが、先に述べたとおりその刺激的な進化にこそ価値のあるジャズにおいて、このスタンスは致命的であったと思います。
ここでマイルスはショーターとハービー・ハンコックを自己のバンドに招き大幅なメンバー変更を実行しました。ショーターの「独特の和声感とモードの融合」、ハンコックの「ファンキーなノリとモードの融合」が欲しかったのではないでしょうか?そしてそれを下支えできる強力なドラマーとベーシストにトニー・ウィリアムスとロン・カーターを配したのです。
彼らはマイルスの要求に想像以上の働きをしたと思います。ショーターはブルース感の希薄なぼんやりとしたアドリブスタイルが、コルトレーンやソニー・ロリンズなどのアクティブな物と比較して地味なせいかプレイヤーとしての評価が今ひとつの印象がありますが、作曲家としての独特の和声感は他のジャズ・コンボには無い世界を創り出しました。
「E・S・P」や「ピノキオ」などはアナライズすればするほど奥深い世界に驚かされます。と言うか解釈が多様でまさにモードでしかアドリブは不可能にすら思えます。
ショーターの地味さに比較し抜群のリズム感とファンクで鍛えたノリとフレーズをモードに持ち込んだのがハービー・ハンコックです。彼のファンクを残しつつモードを駆使したノリノリのアドリブは正直暗くてわかりにくいショーターの曲を、実にわかりやすく「かっこいい」ものに変化させました。
こうしてバップからの脱却に商業的には乗り遅れた感のあったマイルスは、ジャズというビジネスのトレンドを実に俯瞰的に観察し「どこにも無い和声感+モード+ファンク+強力ビート」の融合で1960年代のジャズ界を席巻したのでした。
カリスマ、ワンマンと評価されがちのマイルスですが、これだけ個性のあるメンバーを統括するからには「聞くべきときは耳を傾け、しかしイニシアティブは取る」才能があったのでしょう。当時としては非常に若いメンバーを集めたことも互いのスタイルを吸収しつつバンド・サウンドを発展させる推進力となったと思います。

以上、ものすごく間をあけながらとりあえずバップから進化の道を模索したジャズが紆余曲折しながらも、結局はマイルス・バンドでモードの完成形を見たあたりを例によって私見満載で考察しました。
実際はこの流れとパラレルにビル・エヴァンスが発展させた別の形でのモードと、その流をくむチック・コリア、キース・ジャレット。あるいはサックスでもショーターだけで無くジョー・ヘンダーソンなどと言ったプレイヤーがいるわけですが、そのあたりはまた別の機会に考察したいと思います。
個人的にはそちらのほうが謎が多い・・・。

1960年代の黄金グループによる初録音です。後年、新伝承派と呼ばれるマルサリス兄弟などもこのアルバムの曲を何曲も取り上げており、新主流派ジャズのスタンダード的なチューンが満載です。

イー・エス・ピー - マイルス・デイビス


「絶対防御将軍」かっこいいんだけど・・・

2008-11-25 23:10:04 | Weblog
E-Windで公開させていただいた新曲のタイトルは「絶対防御将軍」です。これはご存知の方はご存知、そうじゃない方は何それ?の「遊戯王オフィシャル・カード・ゲーム」の中の効果モンスター・カードの名前です。

このカードは2001年1月に発刊された集英社の子供向け雑誌「Vジャンプ」の付録として登場しました。カード・ゲームのモティーフが「週刊少年ジャンプ」に連載していたコミック「遊戯王」であることから、「遊戯王オフィシャル・カード・ゲーム」に関連する書籍はコナミと集英社で独占しており、そのためカードが登場した初期のころから「週刊少年ジャンプ」には付録や応募者全員プレゼント(全プレと呼ぶのが通(笑))で入手できる特別カードがいくつか存在しています。
「Vジャンプ」の付録カード第一弾は私の記憶では2000年7月に付録となった通常モンスター・カードの「ガーネシア・エレファンティス」であったと思います。
「ガーネシア・エレファンティス」のカード・ステイタスは以下です

獣戦士族
地属性
7☆
攻撃力2400守備力2000

こちらはまだ「強いモンスター・カードで殴りあう」デュエルが一般的であった時代の終焉くらいを象徴しています。対して半年後に付録となった第二弾がこの「絶対防御将軍」でした。(カード・ゲームの範疇での)当時は殴りあい中心の力まかせデュエルから、効果モンスター、魔法、トラップを使ってモンスターを除去してプレイヤーへ直接攻撃、あるいは魔法やトラップの効果を無効にして、あるいは相手モンスターの攻撃を封じながらダメージを与える。と言ったコンボ主体のデュエルが主流になっておりました。丁度その年だったかと記憶しますが、世界大会を制したデッキが「週刊少年ジャンプ」に連載していた「遊戯王国」というコーナーで公開されたことがあります。魔法カード「苦渋の選択」で効果モンスター「キラー・スネーク」を3枚墓地に落として手札に戻し、トラップカード「血の代償」などで特殊召還して効果モンスター「キャノン・ソルジャー」で相手にダメージを与える(わからない方ごめんなさい)。といったコンボを中心にしており、デッキ中で最も高い攻撃力のモンスターが「キャノン・ソルジャー」であることにファンは驚愕したものでした(あくまで当時ね)。

で、やたら前置きが長いですが「絶対防御将軍」です。このカード・ステイタスは以下です

戦士族
闇属性
6☆
攻撃力1550守備力2500
効果
このカードは召還(反転召還)が成功したら守備表示になる。このカードは守備表示の状態で攻撃を行うことができる。(ダメージ計算は通常どおり)

何よりそのデザインのかっこよさが魅力です。遊戯王は「魔法使い」とか「悪魔」とかおどろおどろしいデザインのモンスターが多いのですが、このモンスターはいかつい甲冑に身を包み、ベルセルクのガッツやブリーチの一護も「おととい来やがれ!」の巨大な剣を2本も背中にしょった戦士が描かれています(1本は握っているので通常は3本も背負っているわけですね)。この甲冑がカード・ステイタスの「防御力」を表現しており、巨大な剣が相手の攻撃を跳ね返しつつ攻撃も可能な効果を実に明確にした好デザインです。まさに頼りになる将軍です。

このカード、効果を明確に表す名称と言いデザインと言い本当に申し分なくかっこいいのですが、召還に生贄を要求しておきながら1550と言う低レベルモンスター並の攻撃力が正直ネックになっていて、恐らくデッキに入れてる方はおられないのでは無いでしょうか?

「スペクトラム」ってブラス・ロック?(2)

2008-11-20 00:53:58 | 音楽(DTM)

「日本のブラス・ロックの先駆者」とか「日本のEW&F」呼ばれるスペクトラムですが、そのサウンドは私見ですが「ブレッカー・ブラザース」の影響が強いのでは無いかと推測します。
言わずと知れた「ランディー&マイケル」のブレッカー兄弟です。
「ブレッカー・ブラザース」をご存知無い方はやはりネットで検索を。掃いて捨てるぐらい他人のアルバムでトランペット(兄のランディー)、テナーサックス(弟のマイケル)を演奏し、ジャズ、フュージョンだけで無くロックもブルースもフランク・ザッパのバックまでこなすある意味天才兄弟です。スタジオ・ミュージシャンとして十分な評価とギャラを手にしていたためか、求道的な姿勢が見られず結構軽く見られがちでしたが、何を演奏してもとにかくカッコいい2人です。
もちろん他人のアルバムで小金を稼ぐだけで無く自己のアルバムもあるんですが、特に1970年代から80年代ころのフュージョン色の強いものは、ハービー・メイソンやスティーブ・ガッドのキチキチとしたビートのせいもあり非常にタイトです。
また兄弟そろって管楽器奏者なので当然ですがホーン・アレンジが前面に出た曲が多く聴かれます。
時代が時代でしたのでファンク風の曲もあるのですが、やはりリズムの組み方がファンクよりはタイトでカシオペアのように「骨格だけ」みたいなものでもなく、ほどよく体が揺れる16ビートが中心でした。
スペクトラムのサウンドに近いのはこの「ほどよくきっちりとした16ビート」と「華やかなホーン・アレンジ」を持つブレッカー・ブラザースのように思います。

今回E-Windで公開させていただいた曲はブラス・ロックを予定しておきながらかなりファンクになってしまいました。
音源はSonicCellに拡張ボードの「SRX-13 StudioSRX」を装着して使用しています。
特にスラップとホーンはSonicCellのプリセットより、拡張ボードのもののほうが臨場感があって好みです。

驚異のテクニックとほどよく渋いアレンジが楽しめる「ブレッカー・ブラザース」のおいしい曲満載のアルバム。
ザ・ブレッカー・ブラザーズ - ブレッカー・ブラザーズ

マイケルのご冥福を祈ります・・・。


「スペクトラム」ってブラス・ロック?(1)

2008-11-17 00:16:20 | 音楽(DTM)

今回のE-Windのテーマ指定は「ロック」です。
なんかわかったようなわからないような・・・とにかく広い意味をたくさん含む言葉です。
私の過去の作品から考えるとプログレかロック・フュージョンが選択肢なんですが、ここはひねって「ブラス・ロック」でいってみることにしました。

よろしければお聴きになってください。「絶対防御将軍」

ところでブラス・ロックってどんなのを言うんでしょうね?実はよく知らないんですよね。一般にはシカゴがその代表格みたいに言われてますが、確かにシカゴは音楽の持つテイストが「ロック」の範疇に感じます。表現が難しいんですがロックの主役がギターだとすると、その部分は残しながらブラスを前面に出している感じです。曲調もポップスですしね。
よく「アース・ウィンド・アンド・ファイア(以下EW&F)」をブラス・ロックだと言う人がいます。しかし私はあれはファンクだと思うんですよ。やはりギターの使い方がロックでは無くファンク独特の「もたり」を出していると思います。

で今回の本題ですが今から30年も前のバンドなんですが、日本のブラス・ロックの先駆者的に捉えられているに「スペクトラム」というグループがいました。実は来年が丁度デビュー30周年だそうです。オレも年くったなぁ・・・。
スペクトラムをご存知無い方は適当にネットで検索してください。多分いっぱい情報が見つかるはずです。あの時代はブラバン小僧なんて野球部の陰にかくれて、せいぜい夏の高校野球や秋の運動会で応援するぐらいしか役割が無いみたいな扱いでした。そんな中でスペクトラムはど派手なコスチュームのおっさんたちがステージで横一列に並んで、火花の出そうなホーン・セクションを中心にタイトでヘヴィーなリズムが支え、当時は珍しかった「ファルセット・ヴォーカル」をフューチャーし「金管楽器ってこんなかっこよかったんだ」と思わず驚かされるサウンドを展開してみせたグループでした。
ところで彼らのサウンドは本当にブラス・ロックと呼んでいいんでしょうか?少なくとも私にはシカゴ的なテイストはあまり感じません。それは中心に据えているビートが16だからでは無いかと思います。
ではよく例えられる「日本のEW&F」というのは?これもあまりに外面的すぎて納得できません。派手なコスとファルセット・ヴォーカルにホーン。この編成的な見た目だけでそう言われているだけで、EW&Fが明らかに親分のラムゼイ・ルイスの音楽性を反映しているのに対して、スペクトラムにはまったくファンキーさが感じられません。
で、このタイトな16ビート、派手でいながら手堅いアレンジのホーンはどこなら影響を受けているんだろう?と考えました。
つづく・・・
スペクトラムのセカンド・アルバムですが個人的には一番好きなアルバムです。
「オプティカル・サンライズ/スペクトラム2」

 


帰ることのできる場所

2008-11-13 22:33:49 | 音楽(DTM)
実は最近少しスランプぎみです。
って作曲の話ですが。仕事?最初からやる気ナッシング故・・・。

先回のE-WIndのテーマ指定曲「月夜」というテーマもいろいろ考えましたが全部途中で放り投げました・・・。

別にこれを職業にしているわけでも無いのでそんなに深刻に考えることも無いんでしょうが、かと言って他にゴルフとか家庭菜園とかの趣味を持っているわけでも無いので、音楽が創れないとあとは週刊少年ジャンプかジャンプSQでも読んでるしか無いというのも困りもんです。

ここは一つ大人のあり方として自身の音楽的半生を振り返ってみました。
映画好きが高じて映画音楽を聴き始め、ハービー・ハンコックやディブ・グルーシンのクールな楽曲からジャズやフュージョンを好きになり、バンドでの演奏活動やオリジナル曲の作曲を自己満足の範疇ですが続けてきました。

「やはりバンド編成のジャズやフュージョン、またはアコースティックな編成での小品が自分の原点だなぁ」

私が参加させていただいているE-Windなどでも作曲を趣味にしている方はたくさんおられます。みなさん非常にレベルの高い方々ばかりです。そんな中でも自分はかなりいろいろなジャンルの曲を手がけているように自負していますが、最後には立ち帰られる場所を持っていられるのは安心できます。
ただそこだけに留まることは私は良しとしたくありません。だめなら落ち込まず戻ればいいのでこれからもいろいろ試行しつつ向上していきたいと思いつつスランプを脱出したいですね・・・。

あ、気がついたら

2008-11-13 22:31:48 | Weblog
このブログも2008年7月12日から始めてますので、そろそろ4ヶ月が経過します。
あまり熱心に更新しているわけでも無いですし、簡略にまとめるのが苦手なんでダラダラと長いわりには同じ話題が途中で異常に間が空いたりしますが、おかげさまでここまで続けられました。
アクセス解析とか難しいことはわからないので特に何もしていないのですが、ご訪問者様の累計IPが4,000を超えました。こんな文書でもお読みいただけるのがとても嬉しく思います。
どこのどなた様方がお読みいただいているかは分かりかねる方々、これからもよろしくお願いいたします。

T-rexはやっぱり掃除屋か・・・?(2)

2008-11-11 00:26:09 | 古生物
肉食恐竜ティラノサウルスは他の肉食恐竜より鼻が利くことが10月29日、北海道大総合博物館の小林快次助教とカナダの研究チームの合同研究で分かりました。
このことから最強肉食恐竜の代名詞である「T-rex」は実は死体をあさる「掃除屋」では?と前回は検証してみました。

しかし実はハンターであったとする説のほうが根強いのです。
まず今回の発見で裏付けられた「強い嗅覚」は何もスカベンジャーで無くハンターであっても必要な能力には違いありません。ですから「鼻が利く」即「掃除屋」という図式は当てはまりません。狩をするオオカミなども非常に強い嗅覚を持っています。
貧弱な前肢についてはよくよく考えればわかるのですが、ティラノサウルスの最大の武器はその巨大な頭部と太い牙であり、その頑丈な頭でタックルをしたり顎で咥えてしまえば十分に戦えたはずです。むしろ腕は必要無いので体を大型化していく過程で退化してしまったと考えることもできます。
またティラノサウルスの頭骨から判断できることですが、上から見た頭骨の形状が他の恐竜に比べTの字型をしており、目が前方に向かっている。つまり馬などのように左右に離れた視野を広く取るための目では無く前を見るための目なのです。これは視野はせまいのですがいわゆる測量の要領で対象までの距離を測ることができますので「狩」に適応したと考えられるわけです。
あの巨大な体で俊敏に動けるわけが無いという意見もありますが、ティラノサウルスの後肢がアルクトメタターサル状態になっていることから俊敏であったのでは?という説があります。
アルクトメタターサル状態とは第三中足骨の両側の第二、第四中足骨が第三中足骨を挟み込むようになり、その上端が押しつぶされている状態です。
第三指骨および中足骨にかかる負荷を靭帯が第二、第四中足骨の中央にまとめ、かかった負荷の方向を一直線にすることで俊敏に動くことができ、更に靭帯も守られたのではないかと推測されています。ダチョウに似た姿で速く走れたと考えられているオルニトミムスにも同じ特徴があります。
余談ですが最近の研究ではこれをもってティラノサウルスとオルニトミムスが近縁とは言えないという結論が出ています。
同時代のエドモントサウルスやトリケラトプスの化石には、ティラノサウルスの太い歯でかじられた跡が残っているものがあり、それが治癒していることから生きているときにティラノサウルスに襲われて、怪我はしたけれど逃げ延びることができた証拠だと言われています。つまりティラノサウルスが草食恐竜を襲って狩をした証拠であるということです。
また根本的なことですがそもそも爬虫類の仲間のティラノサウルスを哺乳類のハイエナと比較することがおかしいと言えばおかしいです。ここは恐竜の仲間である鳥類と比較するのが適当であるのでは?となると鳥類の「ハゲワシ」の登場です。
ハゲワシは死体の腹部を鋭い嘴で突き破り頭部を体内に潜り込ませて内臓などを食べます。そのため腐肉や腐った内臓に触れて細菌に感染することを防ぐために、付着した血液などの体液が乾きにくくなる「羽毛」がハゲワシの頭部にはありません。ハゲワシと呼ばれる所以です。
比較的最近に発見された肉食恐竜の「ルゴプス」は頭骨の表面、特に口のあたりにしわがいっぱいありました。これは表面を鳥の嘴のようなケラチン質で覆って腐肉からの感染を防いでいたのでは?と考えられています。
しかしティラノサウルスの頭骨にはその特徴が無く腐肉食のみに対応した生物とは言い切れ無いと思います。

結論らしい結論がありませんが誰も目前でティラノサウルスを見た人間はいないわけであくまで推測の範囲にすぎませんが、あれだけパワフルな姿の生き物がまったく狩をしないで日がな一日死体をあさっていたとは考えにくいのでは無いでしょうか?食餌は狩をメインにしつつ死体があれば死体も食べ、空腹が頂点になっていれば強力な牙で骨も砕いて食べたことでしょう。

ドリアードは若いメーテルでは断じて無い(2)

2008-11-09 00:09:06 | 音楽(DTM)
E-Windで公開させていただいた新曲のタイトル「ギターのためのプレリュードとサラバンド「ドリアード」」は以前から手がけたいと思っていた「遊戯王」のカード・ゲームの中でからいただきました。
(以下 ご興味無い方にはチンプンカンプンの話が続きます。概ね私の文章はそういう傾向ですが・・・)

遊戯王デュエル・モンスターズ(以下 遊戯王カード)は週刊少年ジャンプに連載していた人気コミック「遊戯王」の中で、主人公の武藤遊戯がライバルである海馬瀬戸とのカード・ゲーム対決をするエピソードで初めて登場しました。ちなみにコミックの中では「マジック・アンド・ウィザーズ」と呼ばれ、コミックが最終回となるまでその名称で呼ばれていました。
当時の遊戯王は気弱な少年「武藤遊戯」を昼間にいじめた奴が、夜になると現れる武藤遊戯の裏人格にいろいろなゲームで対決をせまられて、負けると武藤遊戯にきついお仕置き(マインド・クラッシュ)をくらって精神的再起不能になる物語で、どちらかと言うと藤子不二雄Aの「魔太郎がくる」と荒木飛呂彦の初期作「魔少年ビーティー」を足して2で割ったような内容でした。ちなみに後に親友となる城ノ内と友情を結ぶきっかけになったエピソードに出てくる「牛尾」と言う生徒会長は、何故か現在放映中の「遊戯王5Ds」にレギュラー出演していますね・・・。人気あったんか?
この劇中のカードゲームがよほど読者アンケート(プッ!)で評判だったのかわかりませんが商品化がされたのです。当初はバンダイが現在流通しているコナミの商品とはまったく異なるカードを製造販売していました。その後コナミが版権を取得して現在の「遊戯王ファイブディーズ・オフィシャルカードゲーム」につながる商品が販売されました。
原作に登場するカードが「悪魔」やら「ドラゴン」やらをモティーフにしている関係で、商品化された当初もどちらかと言うとややホラーなデザインが多かったのですが、そんな中で「ブースターパック3」で登場した「ドリアード」は、今で言う「萌え」要素があふれだした清楚な美少女が祈りを捧げた姿がキュンキュンもので(ヲイ!)一部愛好家が存在しています。
しかもこのカードが、主流である「コナミ版」では無くバンダイが販売していた「ブースターシリーズ」の一枚で、その後にリヴァイバルされることが無かったことも人気に拍車をかけました。
ちなみにカードのステイタスは
魔法使い族
地属性
4☆
攻撃力1200守備力1400
の弱小モンスターですので完全にコレクターズアイテムです。

現在では少し前に瞬間爆発力で人気であった「お注射天使リリー」など萌えデザインのカードも存在しますが、その先駆けとなったこのカードの持つイメージを今回の作品に生かしたつもりです。おっさんなりにですが・・・。あ、この「ドリアード」はコナミ版でそっくりのデザインの「ハイプリーステス」があることだけ一言。以前はバンダイ版とコナミ版でそっくりのデザインのカードが何種類か混在していました。そのあたりはまたの機会に。

ドリアードは若いメーテルでは断じて無い(1)

2008-11-07 00:43:31 | 音楽(DTM)

次のE-Windのテーマ指定曲に着手したんですが、結構いきおいで完成しました。あまり凝った曲では無かったとは言えうれしいなぁ。
で「もう一曲くらいなんか創りたいな」と思っている矢先にTVからアコースティック・ギター(以下アコギ)のソロが聴こえました。報道番組のBGMで流れただけなのでそれがなんの曲かはわかりませんでしたが、このところ仕事で毎晩遅いただの雇われ者の私にはホッとさせてくれる曲でした。
そこで思い立ったが・・・。で11月3日(月)は朝から休みでしたので「ガット・ギターの独奏曲」を創り始めました。

ギターのためのプレリュードとサラバンド「ドリアード」

イメージはバッハの無伴奏チェロ組曲の第一番の前奏曲で。それに何か舞曲を足して二部構成とすることにしました。

最近のことですがアコギを4台使った編成の曲を創ったばかりですが、その際はスティール・ギターを想定して打ち込みました。高音がきらびやかすぎてやや臨場感に欠けるご評価でしたので、今回は打ち込みのトラックを4つ用意して高音、中音、中低音、低音に分けて打ち込むことにしました。こうしておいて音源をそれぞれのトラックに別々に割り付けることで、弦ごとの発音の微妙な違いを出そうという意図です。使用する音源「SonicCell」にはプリセットだけでも数種類のガット・ギターの音色がありますが、更に今回は拡張ボードのSRX-03:StudioSRXを追加することで、より多くの種類の音色から4つを選択することが可能になります。
実際はアコギの弦は6弦あるわけですが、さすがに6トラックに分けると今度は打ち込みが滅茶苦茶大変になるので、そこまで自分を追い込むことはやめにしました。4トラックでも事前に相当のアイディアを詰めておくか、もしくは打ち込みながら声部ごとの和声的連結が都度明確に確認できるか、のどちらかで無いとなかなか大変な作業になると思います。

冒頭は変拍子を多用したアルペッジョで始まります。そこから徐々に整理されてようやく四拍子のアルペッジョの連続になります。
この部分が先述の「バッハの無伴奏チェロ組曲」のイメージです。
ところでこの有名な無伴奏チェロ組曲の前奏曲ですが、一般にはアルペッジョの連続と理解されているように思います。しかしよくよく聴いて、できれば楽譜をご覧になるとわかるのですが、多声部のコラールを分解していると解釈したほうがわかりやすい音楽だと思います。特に冒頭は最低音がずっとG音で内声だけが少しづつ変化しており、明らかに一斉に発音するところを分散させていることがわかります。ロマン派などで聴かれる和音をパラパラと分散したものとは少し異なる音楽だと思います。

ギター音色でアルペッジョを表現する場合の留意事項は運指の関係で発生する、「残響がある音と無い音のメリハリを付ける」ことです。普通ですがすいません。しかし実際に弾けない人間には意外とそれらしくすることが難しいもんです。今回はとにかくそこだけに配慮して打ち込みました。和声の進行とかはもう打ち込みながら適当にでっち上げていっただけなんで正直、話すことが何もございませんです・・・。サラバンドの部分なんて鼻歌そのままです。

タイトルは以前から手がけたいと思っていた「遊戯王」のカード・ゲームの中でからいただきました。

そのあたりは次回につづく・・・。すいません毎回長いだけで内容無くて。