とにかく風変わりな映画です。
もうかれこれ20年くらい前にTVの深夜の映画枠で観たきりの映画ですが、オール外人キャストなんで洋画だと思っていたら邦画でした。しかも東宝東和・・・。やるぅ!(笑
国際的なデザイナー(らしいですが服装に無頓着な私はよく知りません。ユニクロでも着てりゃ十分ですよ。)の高田賢三が監督したことで有名な作品です。
ストーリーはどことも知れない砂漠の場面から始まります。砂漠を歩く若者が占いに従って砂漠を渡り遠くの湖に小船を漕ぎ出します。しかし疲れたのか何なのかわかりませんが気を失って目覚めると湖に面した古城で寝かされていました。そこには何故か「月」と「雪」と言う名のお姫様(にしては貧乏そうと言いますかシンプルな白いドレスしか持って無いみたい)が住んでいます。二人は姉妹ですがどこの領地を統治しているのか親がどうしたのかは不明です。ただ冒頭からすでに独特の雰囲気なのでその辺りの「常識」はつっこみ辛くなっていますのでスルー。
姉の「月」はキツイ顔つきの妖しい美女で妹の「雪」は色白(まぁ雪ですから・・・)の地味なおじょうちゃん。と言った雰囲気。若者は明らかに妹に惹かれた感じで、妹も若者に一目ぼれしたようです。
しかしそこにキツイ姉が割り込んで結局、若者も若さ故か姉に誘われるまま関係してしまいます(やっちゃったんですね。つまり)。砂漠で気を失ったばかりなのにえれぇ元気です。
その後も若者は妹が気になる風なんですがその都度、姉が強力に誘ってくる上にこの若者も優柔不断と言いますか「若いんだから仕方無いさ」と言うことでしょうか。この近辺はこの姉妹以外は存在しないのか覗いたりするやつもおらず、太陽の下で開放的に花畑や川原で関係しちゃいます(やっちゃうんですね。つまり)。
存在を「しかと」され男を横取りされた妹はついにキレて姉と大喧嘩をします。姉は唐突に若者を殺すと宣言しますがこの若者の屈託の無い寝顔にその決心も鈍り、「月」は泣きながら外へ。後を追う若者が見たものは白鳥に変化していく「月」でした。
結局この二人はかつて盗賊どもに乱暴され殺されたのですが、関係した男を殺さないと鳥になってしまう条件で蘇っていたのです。姉は妹が辛い思いをしないために妹が恋をするとわざと横から割り込み、男を殺す役を引き受けていた。と言うことでした。
だったら行き倒れの男なんか拾わなきゃいいのに・・・。
余計なことですが姉妹が白鳥に変化する場面は中身の飛び出した羽毛布団をかぶって走るみたいで、昨今のCG特撮を見慣れると失笑シーンです。
不必要に胸だけ出して走ってるし(笑。
1981年の作品だからリック・ベイカーあたりに無理してでも頼めばもう少し見栄えもしたと思いますが、逆にリアルになりすぎて不気味だったりして。
正直に言うとデザイナー上がりの素人の作品で無ければ「何だこの映画・・・」と思わず口走りそうな内容です。だいたいが「キャット・ピープル」のパクリだしこの手のオチは日本の「雪女(雪女郎)」などでも見られるありがちなもの。
ところが「国際的なデザイナーの初監督作品!」と言われると安い御伽噺もゲイジツに見える不思議・・・。映像も美しいと言えば美しいのですがそれだけで名作と呼ぶのは無理があります。だいたい特に頼みもしないのに勝手に女性の方から来てくれるなんて、「いちご100%」や「To LOVEる」じゃあるまいに、そんなウマい話があるわけないだろう、まったく最近の若いもんは・・・ブツブツ。
「フレンズ」(アメリカの人気ドラマとは違います)で青春スターとしての地位を確立したかに見えた、アニセー・アルビナが「月」の役で主演しているのが見所かも?「フレンズ」と「続・フレンズ」以外にこれと言った作品が無い彼女が観られるだけでも価値はあります。これでもかと言うぐらい脱いでくれてますし。ただフレンズの少女がこんなにキツイ「お姉さま」になるとは思ってなかったのでクレジットを見たときは腰を抜かしました。
その彼女ももうすでにこの世にはいません。女優としての活躍は華々しいものではありませんでしたが「フレンズ」での印象は忘れられません。
ご冥福をお祈り申し上げます。
「夢・夢のあと」