先日、中古CDショップをあさっていたら懐かしいアル・ディ・メオラの「Elegant Gypsy」がありました。
1976年の作品なんですがアルって1954年生まれですからこの作品って22歳の録音!ヒゲ面で東洋人に比べて老けて見えるんであまり気にしていませんでしたが、すごく早熟だったんですね・・・。チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」に参加したのが1974年ですから天才扱いもわかる気がします。
1970年代と言えばチック・コリアはマイルス・バンドを経て「電化ジャズ」の最先端を走っていた時代。そのチックと20歳にして共演し(当時としては)超絶技巧のギターを見せつけたわけです。
今回このアルバムを改めて聴いてみて思うことは、あまりそういう視点で議論はされていないように思いますが、チックに与えたアルの影響がいかに大きかったか?と言うことです。
チックは「リターン・トゥ・フォーエヴァー」を出すころにはマイルスのバンドに参加したり、自身のリーダー・アルバムでその後のモード・ジャズの方向性に大きな足跡を残した「Now he sings,Now he sobs」も発表しており、ジャズ、クロスオーバー(懐かしい単語・・・)界の最先端であったと思います。フリーに走ったのは秘密、秘密・・・。
「チックのプレイの中に聴かれるラテンの香り」は、今でも彼に対する一定の認識として根強いものですが、この時期のプレイでもそれは随所に感じられます。フレーズにも感じられるのですがそれ以上にそのリズムのノリかたが4ビートでも8ビートでもどこかラテン風で、当時(今もですが)実力と人気を二分していたハービー・ハンコックのファンキーさと対極にあったと思います。
ただそれは少し「香る」程度で、決してイヤみな意味では無いのですが「わからない人にはわからない」テイストでした。その後の「リターン・トゥ・フォーエヴァー」の第一期でのチックは、クロスオーバーのジャンル下であったこともありバップやモードの複雑とも言える和声から一歩離れて、かなりループに近いコード進行の中でプレイできることの開放感からか、「これでもか!」とばかりのラテン・フィーバーぶり(特にスパニッシュなテイストが濃厚)です。
そして第二期「リターン・トゥ・フォーエヴァー」でアル・ディ・メオラが加入(実際はその前にアール・クルーが参加)し、完全にふっきれたかのようにスパニッシュ全開のチックが聴かれます。そして「リターン・トゥ・フォーエヴァー」の後にもチックのプレイや作品にはラテン。特にスペインの香りが感じ取れます。それは「childrens songs」のような小品集にも聴きとることができます。年齢的に熟した結果でもあるかもしれませんが、アドリブのフレーズがマイルスのバックや先述の「Now he sings,Now he sobs」の時代に聴かれた少し機械のようなアドリブに比べ、よりメロディアスにまるでラテンの民謡のように歌っていることがわかります。
アルが天才天才ともてはやされてから10年もしないうちに、ロック界にイングウェイ・マルムスティーンとか、トニー・マカパインとかの超絶プレイヤーが現れて、「すごいテクニックなんだけどどれを聴いてもスペインの民族音楽」のようなアルの「こだわりの」ギターは、少しリスナーに飽きられたように思えます。もう今更「早熟な天才」でも無いですし。技巧的であることでは共通するチックとアルですが、チックは時代を読むかのようにスタイルをより先鋭的にしたり懐古的にしたりを繰り返しながらも、今もジャズ・フュージョン界で圧倒的な影響力を維持し続けているわけです。
アルでは無くトニー・マカパインを聴いてインスパイアされて創った曲です。もちろんギターは全然弾けませんのでいい加減な打ち込みで再現していますが、ゴシックな雰囲気にのった超絶ギターが楽しんでいただけるとうれしいです。
「Holy Dark Night」
不覚にも爆笑してしまいました。
「サークル」とかですよね。
フリーのチックはデイブ・ホランドと結構よくやってたみたいなので、音源がほしいのですがなかなか見つからないんですよね・・・。
本当になかったことにされているようで(笑)
大体どこに行っても「A.R.C」ってアルバムくらいしか見つかりません。
アルはほとんど聞いたことありませんが、初めて聞いたときは度肝を抜かれました。マクラフリンほどではありませんが、本当にギターかよ、と(笑)
その昔挑戦しましたが、撃沈されました。
でも今でも冒頭の部分は下手ながら弾けます^^;。
Youtubeのルシア、ディメオラ、マクラフリンのトリオは絶品ですよ。アルさんなんかレコードジャケットより若く見えるし^^;。
↓これです。
http://www.youtube.com/watch?v=HEZrB_FDw4c
だた、私はR.T.F.ではビル・コナーズさんが好きでした。勿論、アルさんの速弾きは天下一ですけど・・・^^。
技巧的なギタリストで最早伝説になっている。ということで良く比較されるアルとマクラフリンですね。マクラフリンがどうしても演奏がクールでシロっぽいのに対して、アルはやっぱりラテンの熱さがあると思います。なんと言うかマクラフリンってえらく音色が均質で、機械のようですよね。特に最近(と言っても1980年代くらい)は。
しかしマハヴィシュヌの時代なんかはすごくロックな演奏ですが。
「地中海~」ってアルがパコを招いて、即興で演奏したものを録音したんだそうですね。昔々、パコとアルが来日したとき(私はまだものすごい子供の時代)に友人のギタリストと聴きに行きました。
ピックを使ってクールに弾きながらもときどき熱い血のたぎる演奏のアルに対して、まるで打楽器のようにアコギを操るパコに強烈な印象を受けました。
MiKiTaさんのアコギ聴いてみたかったりして・・・。
「アコギ」って言われても~、最近の表現ですとかなりテクニックを伴った言い方ですよね。私の場合は「フォークギター」という表現の方が正しい気がします・・・Orz。
アコギでなくフォークですか?いやいやあれだけギターを弾かれるんですから、是非、アコギ聴かせてくださいよ。
アコギと言えば以前にパコみたいな曲を創ったことがあります。
ここで紹介してます。よろしければお時間があるときにお聴きくださるとうれしいです。
http://blog.goo.ne.jp/infmt_good/e/d9175bd38ef29c6313e7ca38926d07f3
アルは技巧派のHR/HMアーティストからも随分リスペクトされています。
「Race With The Devil On Spanish Highway(スペイン高速悪魔との死闘)」とかかなりメタルっぽいタイトルではあります。
というかアル自身、メタルアーティストのアルバムにちょこっと参加していたりもします。
デレク・シェレニアン(KEY.元ドリームシアター)の「ブラックユートピア」というアルバムで二曲参加していまして。
そのうち一曲はイングヴェ(G)とかビリーシーン(B)とかと共演していますが、全員弾きまくるタイプのプレイヤーということもあって、アルの使い方が勿体ないというかなんというか。
ていうかちょっと調べたらアルってバークリー卒なんですね。
なんとなく、evnc_chckさんはどちらかというとアラン・ホールズワースとかの方がお好きなんじゃないかと、そんな気がふとしたんですが。
それから、勘竹庵の由来は、チック→竹、コリア→韓→勘、だったりするのではないか、と、ずっと気になっていたりもします。
おっと、こちらでも書き散らかしてしまいました、すいません、それでは。
アルがメタルのアルバムに参加ですか。存じませんでした。
と言うか私の感覚ではアルはロックの人なんですが、ロックの人からはジャズの人と認識しておられるんでしょうかね。確かにバークリーにいたし教えてもいましたが、純粋にジャズのアルバムとかは特に無かったように記憶しています。
しかしイングヴェイと共演はアルにはメリット無さそうですね(笑。