BSEと医薬品 2月15日

[米国産ウシ由来の原材料が使用されている医薬品](2006.2.14現在)

成分名(販売名)
・インターフェロン ガンマ-n1(オーガンマ100)
・インターフェロン アルファ(オーアイエフ250万IU、同500万IU、同1000万IU)
・乾燥ガスえそ抗毒素(乾燥ガスえそ抗毒素“化血研”)
・乾燥ボツリヌス抗毒素(乾燥ボツリヌス抗毒素“化血研”)
・乾燥濃縮人活性化プロテインC(注射用アナクトC2500単位)
●乾燥弱毒性おたふくかぜワクチン(乾燥弱毒性おたふくかぜワクチン「化血研」)
・乾燥濃縮人血液凝固第Ⅷ因子(クロスエイトM250、同500、同1000)
●インフリキシマブ(レミケード点滴静注用100 抗リウマチ薬) 
●ムロモナブ-CD3(オルソクローンOKT3注)
●肺炎球菌莢膜ポリサッカライド(ニューモバクス 肺炎予防ワクチン)
・オクトコグアルファ(コージネイトF250IU注射用、同500IU注射用、同1000IU注射用)
・ルリオクトコグアルファ(リコネイト250、同500、同1000)
●イミグルセラーゼ(セレザイム中200U)
・A型ボツリヌス毒素(ボトックス中100)
●サキナビル(フォートベイスカプセル HIVプロテアーゼ阻害剤)
・トラスツズマブ(ハーセプチン注射用60、同150 乳癌の治療薬)
●リツキシマブ(リツキサン注10mg/ml(100mg/10ml)、リツキサン注10mg/ml(500mg/50ml)抗ガン剤)

【平成15年7月以降に新たに承認された医薬品】
●エタネルセプト(エンブレル皮下注用25mg 抗リウマチ薬)
●ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ注射用5mg 急性骨髄性白血病の治療薬)


米国産ウシ由来の原料を使用している医薬品について、厚生労働省は、速やかに原産国をBSEが発生していない国に変更するよう指導している。しかし、1月末厚労省が発表した資料によると、それにもかかわらず依然として米国産ウシ由来の原料を使用し続けている医薬品が上記19品目存在する。

●は、「ウシ血清」あるいは「ウシの骨髄」が原料に使用されている医薬品だ。薬害エイズの轍を踏まないように、速やかに原産国を切り替えるよう指導してもなお、何故、メーカーはいまだに変更しないのか。

例えば、抗HIV薬「フォートベイス」は、カプセルの原料となるゼラチンがウシ由来だ。販売元である中外製薬は、抗インフルエンザ薬「タミフル」のカプセルにつては、平成16年11月以降の出荷については原産国を変更したと発表しているのに、何故、フォートベイスカプセルは変更できないのか。フォートベイスカプセルの添付文書(説明書)には、「重要な基本的注意」の項目に、「ゼラチンは製造工程において不活化処理を行ったものであることから、一定の安全性が確保されていることを確認している。」と記されている。だったら何故、タミフルカプセルの原産国を変更する必要があったのか。中外製薬の対応には、一貫性がない。

「ウシ血清」を原料とする医薬品の添付文書(説明書)には、「伝達性海綿状脳症(TSE)=BSE伝播の理論的リスクを完全には否定し得ないので、疾病の治療上の必要性を十分に検討のうえ投与すること」と明記されている。勿論、この記載は、企業の逃げ道でしかない。仮にBSEに感染し、ヤコブ病を発症したとしても、添付文書に注意喚起の文章があることをたてに、企業は責任追及を免れるのだ。

おたふくかぜワクチンは、2歳~4歳の乳幼児が主な対象者だ。なんだか、ぞっとする。近年、高齢者に積極的に接種が勧められている肺炎予防ワクチンは、ウシの骨髄が原料に使用されている。BSEの潜伏期間は比較的長いので、高齢者への接種には抵抗がないとでもいうのか。抗HIV薬や抗リウマチ薬についても、ベネフィットが優先されると言わんばかりだが、実際これらの薬は、いったいどれほどの効果があるのか。原産国を切り替えることは、最低限の企業モラルであるはずだ。

血清や骨髄は、SRM(特定危険部位)そのものともいえる。注射薬やカプセル剤の原料にそれらを使用させたまま放置する厚労省の感覚が、私にはまったく理解できない。1日以上英国滞在歴のある人の献血を禁止することと、大きく矛盾する。今日の衆議院予算委員会でも、川内博史議員の質問に対して川崎厚労大臣は、なんと「(血液製剤など)は、化学的処理がされているので、BSEのリスクはない。」とはっきりと答弁していた!!これが、日本の公衆衛生の責任者たる厚労大臣の発言だ。日本国民を、あえて危険にさらす厚労大臣がいるだろうか!

BSEで最も重要なことは、SRMを含んでレンダリングされた肉骨粉を、牛の飼料としている点だ。「米国が肉骨粉の使用を全面的に禁止しない限り、牛肉は勿論のことウシ由来原料を使用する医薬品の輸入はできない」と、明確に日本政府は米政府に伝えるべきだ。クロをシロと簡単に書き換える米国のリスク管理は、日本とは比較にならないくらい甘い。小泉総理は、米国人は米国産牛肉を食べているのだから、日本が目くじらをたてるほど危険ではないと発言したが、とんでもなく大きな誤解だ。米国の消費者や外食・食品会社でさえ、米国の安全管理のあまさに警鐘を鳴らし始めている。米国でヤコブ病が集団発生していることや、アルツハイマーが激増していることも、小泉総理は承知していないのだ。

タミフルは、新型インフルエンザの流行に備え、全世界で備蓄が進められている。備蓄されたタミフルの中には、当然、米国産ウシ由来のものが存在する。世界の公衆衛生のためにも、米国は一刻も早く肉骨粉の使用を止めて、リスクを最大限取り除く体制を整えるべきだ。そして厚労省は、企業モラルに委ねるのではなく、上記19品目の原料原産国を、直ちに米国からBSE未発生国に切り替えるよう、期限を定めて警告すべきだ。厚労省の、これ以上の不作為は許されない。
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