耳を洗う

世俗の汚れたことを聞いた耳を洗い清める。~『史記索隠』

『まんが日本昔ばなし』:「貧乏神と福の神」~ほどほどが一番という話

2009-06-27 10:10:17 | Weblog
 金さえあればなんでも手に入る世の中だが、「豊かさ」の実感はそれほどでもない。まして、“ワーキングプア”などという政治的遺物が存在する社会では「豊かさ」など夢のまた夢だろう。こんな時ふっと、思い出されるのが宮沢賢治の『雨ニモマケズ』である。

 雨ニモマケズ
 風ニモマケズ
 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
 丈夫ナカラダヲモチ
 慾ハナク
 決シテ瞋(イカ)ラズ
 イツモシヅカニワラッテヰル
 一日ニ玄米四合ト
 味噌ト少シノ野菜ヲタベ
 アラユルコトヲ
 ジブンヲカンヂャウニ入レズニ
 ヨクミキキシワカリ
 ソシテワスレズ
 野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
 小サナ萱(カヤ)ブキノ小屋ニヰテ
 東ニ病気ノコドモアレバ
 行ッテ看病シテヤリ
 西ニツカレタ母アレバ
 行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
 南ニ死ニサウナ人アレバ
 行ッテコワガラナクテモイヽトイヒ
 北ニケンクヮヤソショウガアレバ
 ツマラナイカラヤメロトイヒ
 ヒデリノトキハナミダヲナガシ
 サムサノナツハオロオロアルキ
 ミンナニデクノボートヨバレ
 ホメラレモセズ
 クニモサレズ
 サウイフモノニ
 ワタシハナリタイ


 ずいぶん昔のことだが、民間放送夜7時のゴールデンタイムに『まんが日本昔ばなし』という番組があって楽しみに視ていた。市原悦子と富田富士男のなんともいえない包み込むような語りにゾクゾクした覚えがある。その一つを『youtube』でご覧いただきたい。宮沢賢治が思い描く人のおはなしである。


「貧乏神と福の神」:http://www.youtube.com/watch?v=XRhKULxyQ5o&feature=related