耳を洗う

世俗の汚れたことを聞いた耳を洗い清める。~『史記索隠』

「虫が減って受粉できない」~だが、Aさんの畑ではスイカが豊作

2009-06-25 09:31:15 | Weblog
 やっと梅雨らしくなって雨が続き、畑の野菜も元気になった。それはいいが、雨で一日畑に出なかったら、自然生で元気がよく鈴なりの実をつけているミニトマトに“テントウムシダマシ”がびっしりたかって、ほぼ半分の葉を食い荒らしていた。この“テントウムシダマシ”はナスにもたかって、葉っぱを網の目にしている。昨日は朝から捕殺に大わらわだった。マクワウリやカボチャ、キュウリには朽葉色の“ウリハムシ”がつく。この虫は近づく人影を察知するとたちまち飛び去るので、なかなか捕殺できない。地主のおばさんが「朝方なら捕りやすい」というので、早めに行って確かめたら本当だった。昼間とくらべ確かに逃げ足が鈍い。昔の人はよく知っている。無農薬野菜づくりは先人に学びながら害虫との闘いである。ネット検索で知ったが、唐辛子とニンニクの煮汁を冷まして竹酢液を加え、これを噴霧器で散布すればよいとあった。さっそく試してみるつもりである。

 囲碁仲間の A さんが「サツマイモの苗はいらんかネ」というので、貰いに行った。自宅の裏庭に苗床があって、50本ほどいただいた。その苗床のすぐ傍にニホンミツバチの巣箱があり、ハチが飛び回っている。ひと月ほど前、桃の木に「ハチ玉」ができたので、専門家に問い合わせ仮の巣箱を作って入れている話は聞いていたが、専用の巣箱を買い求めて本格的に飼いはじめたらしい。現在の巣箱は二段で、間もなく三段目をつぎ足すと言う。巣箱の位置が邪魔で、ハチが巣箱に戻った夜、5メートルほど移動させたところ、ハチが巣箱を離れもとの場所に戻ってしまった。専門家に電話して訊くと「巣箱をすぐもとの場所に戻しなさい」といわれたので、巣箱を戻すとハチが全部巣に戻ったと驚いていた。ニホンミツバチとセイヨウミツバチの違いをいろいろ教えられ、A さんは「一からハチの習性ば勉強しとっとバイ」と言う。

 ついでに A さんの畑に案内してもらった。友人三人で借りている畑はかなり広い。目についたのはスイカだ。彼の借地三ヵ所では20センチほどのスイカがゴロゴロ実っている。思わず「イヤー、すごいネェ!」と声をあげた。A さんは、上の方の本百姓は「今年はスイカが結果しない」と嘆いているが、自分は朝の散歩前に雄花と雌花を受粉させたという。私は地主のおばさんが「カボチャは受粉させないと成らないよ」と言っていたことを思い出した。A さんは「今年はキュウリの実つきが悪いが虫がいないからだろう」という。そういえば、うちの節成りキュウリも実つきが悪い。今さらながら環境の微妙な変化に驚かされる。


 早朝5時40分からNHKラジオで「健康講話」をやっているが、今週のテーマは「体内時計と健康」で、東京女子医大の大塚教授が興味深い話をしている。すべての生物は太陽や月など宇宙の運行に同調する体内時計を持っていて、その時計に狂いが発生すると生体に異常が生じる。この事実は随分昔からわかっていたが、最近、遺伝子レベルで疾病や死との関連が検証されているらしい。A さんのミツバチの話とも関連し、以前切り抜いていた新聞記事(『毎日新聞』?)からミツバチの「体内時計」について引用しておく。


 <あらゆる虫たちのなかでも特殊な行動形態と機能性を持つのがミツバチです。ミツバチは、その脳の中に「サーカディアン・クロック(リズム)」と呼ばれる約24時間周期で振動している時計機構をもっています。
 たとえばセイヨウミツバチの場合、女王蜂と雄蜂の交尾飛行の時間帯は午後1時~3時。これは遺伝的に決められていて、彼らはデートの時間を勝手に変えることはできません。この、神秘的でかつ非常に正確なミツバチの体内時計は、太陽の運行つまりは光の明暗サイクルに連動させ綿密につくりあげられるメカニズムです。
 ミツバチの体内時計の使い方を知ると、さらにその高度性に驚かされます。そのひとつが「時刻学習」と呼ばれる方法です。
 ミツバチの生活はとても効率的に進められるようになっていて、彼らは少しでもたくさんの濃い蜜をできるだけ労少なく集めようとします。そこで、花が蜜を一番よく出す時間帯を記憶して毎日その時間がくればその花を訪れるという風に時計を利用するわけです。この時間の記憶活動は、ひとつの花だけではなく、A という花なら10時、B は11時……と複数の時刻をデータとしてインプットし毎日設定時間がくるとベルが鳴るタイマーのような働きをします。

 もうひとつは、「時間調整」のメカニズムです。ミツバチは、太陽コンパスを使って密のありかをみつけますが、太陽の運行は季節によって多少のずれがあります。この太陽の動きと体内時計とを連動させて頭の中で計算し、時刻によって角度を補正していきます。
 さらにミツバチの世界では、仲間うちでの時刻情報を交換し合ってもいます。「今何時?」「「もうすぐ1時」とはいかないまでも、ミツバチ同志は暗い巣箱のなかに集まって、互いに体内時計を調整しあうミーティングを開いていることが発見されています。>(資料提供/玉川大学ミツバチ科学研究所)


 この「時計を抱いた生き物たち」という特集には“時を告げる花の美学”“太陽と月に示されてひとは生まれるという……おはなし”などの記事があり、生命の不思議を紹介している。益虫、害虫を問わず、畑の虫たちはまわりの植物と共存しているとみるべきなのだろう。それにしても、大切に育てている野菜を食い荒らす虫には、我慢ができぬ!