耳を洗う

世俗の汚れたことを聞いた耳を洗い清める。~『史記索隠』

『大地といのちの会』~三角養鶏場の視察に参加

2009-06-09 09:48:09 | Weblog
 NPO法人『大地といのちの会』の役員の方々が、30年来の友人が経営する“三角養鶏場”を視察されるというので、会員の立場で参加させてもらった。一週間ほど前、三角さんが家に見え誘いを受けたので、久しぶりに訪問することにしたわけだ。“三角養鶏場”は三つの小さな山を越えて45分ほど北へ行った松浦市の山中にある。

 三角さんは私より一回り若い64歳、頑固一徹で「卵」にこだわってきた。いまは時勢が時勢(本物志向)で、三角さんの「卵」はひっぱりだこだが、一時期、安売り卵に圧倒され生協からさえ敬遠されることがあった。消費者の目線で、健康な鶏しか健康で安心な卵は産めないとの信念で、その前提となる「飼料作り」に随分試行錯誤を重ねてきた。どうやら努力が実って、ようやく安定操業にこぎつけたようだ。言うまでもなく、奥さんの協力なしにはとてもここまでやれなかったろう。

 松浦市では「体験型旅行協議会」が“ほんなもん体験”と称する「民泊」を、認定を受けた家庭が中学・高校の生徒一グループ四名ずつ受け入れているが、三角家も認定ホームで、すでに数組を受け入れ、明後日また、四人やってくるという。これまでステイした生徒からたくさんの感謝状が来ているのを見せてもらったが、「また行きたい」という泣かせる便りが何通もあった。これで米寿のおばあちゃんと三角夫妻一家の人柄がよくわかる。それにしても、2800羽の鶏の世話をしながら、都会の子どもたちの相手をしているとは驚きである。築150年の広くて開放的な谷あいの旧家が、都会の子には珍しくもあり、ストレス解放になるのだろう。

 今回の訪問で最大の収穫は、鶏糞の肥料をいただいたことだ。これまではホームセンターで買った発酵鶏糞を底肥に使っていたが、工場式養鶏場で加工した製品の安全性に危惧があった。三角さんの鶏糞を手にとって匂いをかいでみるとぜんぜん違って、少し香ばしい匂いがする。これまでの鶏糞は積んだ車の中に独特な臭いが充満したが、いただいた米袋三俵の鶏糞に臭いがほとんどしないのだ。本人は「この鶏糞肥料作りの仕事が一番こたえる」といっていたが、ビニールハウスの中でアンモニアが発生するらしく、「時々ハウスから顔ば出して外の空気ば吸うとる」と言っていた。

 
 「養鶏場の内部」:
           

 衛生上入り口からの観察で、「知らない人が入ってきたら鶏が騒ぎ出す」と奥さんの説明。烏が卵を盗んだり、テンが鶏を襲ったりするという。

 
 「養鶏全般の概要を奥さんが説明」:
           


 「三角さん手作りの野草粉砕機」:
           

 三角さんによれば、「旬の山野草を食べさせるのがいちばんいい」そうで、粉末にするこの装置はすべて廃品利用の手作り。一ヵ所に溜まらないよう一分間に数センチ移動しながら粉砕させている。

 
 「三角さんによる廃鶏の処理実習」:
           

 十数年前、国際経済大学(現長崎経済大学)の中国語講師で赴任してきた張軍建さんを連れて三角養鶏場を訪問したことがある。三角さんから「廃鶏の料理利用法はないものだろうか」と相談を受けていたので、料理が上手な張さんに依頼したのだ。その時の廃鶏は肉が硬くて処理が難しかったが、昨日の鶏は炭火で鉄板焼きにしていただいたが、柔らかくておいしかった。これも餌の影響なのだろう。


 「事務所で総括」:
           

 正面が三角さん、右から二人目腕組みをしているのが「大地といのちの会」の吉田俊道代表。吉田さんは講演で全国を飛び回っている。