たばこを吸う成人の割合は、厚生労働省の2016年調査によると、約20%だった。喫煙率全体は減少傾向だが、都道府県別では北海道が最高、奈良が最も低く、差がみられた。受動喫煙のない社会を目指す「禁煙週間」は6日まで。

 厚労省の国民生活基礎調査で3年に1度尋ねる喫煙者の割合を、国立がん研究センターが分析した。男女を合わせた喫煙率は04年28・5%、07年25・6%、10年21・2%、13年21・6%、16年は19・8%とおおむね低下傾向にある。

 最も低い奈良の喫煙率は17・1%。04年以降、順位は顕著に下がり、13年と連続で全国最低だった。県の担当者に理由を尋ねたが、「昔からいる職員に聞いても影響のあった施策を特定できなかった」という。

 16年に最も高かったのは北海道で24・7%。割合は01年の38・0%から減少傾向だが、都道府県別では01年以降の調査で6回連続で最も高い。道の担当者は「要因はいろいろ指摘されているがこれといったものは分からない」と頭を悩ませる。

 都道府県間の喫煙率の差について、たばこ対策に詳しい鳥取大学医学部の尾崎米厚教授(予防医学)は「喫煙に寛容な県民性や貧困など、様々な要因の組み合わせで決まり、単一の理由では説明できないだろう」と話す。そのうえで「受動喫煙対策を進めて周知することで、喫煙者は減るだろう。たばこの値段を上げることも重要だ」と指摘する。

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 世界保健機関(WHO)と世界心臓連合は、世界禁煙デー(5月31日)に合わせ、世界で年に約700万人が喫煙が要因で死亡しているとして、注意を呼びかける声明を出した。(小坪遊)

■都道府県別の2016年の喫煙率(%、高い順)

北海道 24.7 

青森  23.8 

岩手  22.6 

福島  22.4 

群馬  22.0 

栃木  21.8 

佐賀  21.7 

茨城  21.6 

千葉  21.1 

宮城  21.0 

埼玉  20.8 

山梨  20.5 

福岡  20.4 

秋田  20.3 

宮崎  20.0 

新潟  20.0 

神奈川 20.0 

静岡  19.9 

大阪  19.9 

福井  19.8 

石川  19.7 

富山  19.5 

長野  19.5 

山形  19.3 

高知  19.3 

大分  19.1 

山口  19.1 

兵庫  18.9 

和歌山 18.9 

長崎  18.9 

愛知  18.8 

岡山  18.8 

滋賀  18.7 

東京  18.3 

沖縄  18.2 

鳥取  18.2 

広島  18.1 

愛媛  18.0 

島根  18.0 

岐阜  17.7 

三重  17.7 

京都  17.5 

鹿児島 17.4 

徳島  17.4 

香川  17.4 

奈良  17.1 

※熊本のデータは、熊本地震の影響で含まれていない。厚労省の国民生活基礎調査の結果を国立がん研究センターが分析

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トップ10は、9道県が東北・関東に集中しているのに、佐賀(21.7%)だけが7位に入っていて、佐賀出身者としては驚いてしまいます。どうして鹿児島(17.4%)のようにできないのだろうかと首を傾げてしまいます。

すばらしいのは、奈良です。生駒市役所のエレベーターに喫煙後45分は乗れないというルールを作っても、反発が少ないのも理解できます。煙の少なさそうな奈良に、ぜひとも出かけてみたいものです。

それにしても、喫煙率最高の北海道と最低の奈良の間に、7.6%も喫煙率に差があるとは驚きです。地方自治体の努力の差と推測します。ニコチン依存症の問題は、全国の地方自治体がにもっと真剣に取り組むべき問題です。喫煙率の違いによって、医療費その他が変わってくるはずですから。