厚生労働省は12日、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた受動喫煙防止対策として、多くの人が利用する官公庁や医療機関、学校などを全面禁煙とし、飲食店は分煙以上とすることを義務付けた対策案を公表した。違反者への罰則も盛り込んだ。関係団体などから意見聴取した上で、早期の法案提出を目指す。

 政府は今年1月に関係省庁の局長級で構成する検討チームを設置し、課長級のワーキンググループ(WG)が具体的な議論を進めていた。11日のWGに厚労省案が示され、この案を基に議論を進めることが了承された。

 対策案によると、多くの人が利用し、他の施設の選択肢がない官公庁や社会福祉施設、運動競技場などは建物内を禁煙とする。特に医療機関や小・中・高校は患者や未成年者が利用するため、健康への影響を考慮して敷地内全てを禁煙とする。

 飲食店やホテルのロビーは、他にも選択肢があることから、喫煙室を設置した分煙も可能とした。バスやタクシーは全面禁煙で、鉄道や船は分煙も可能。個人宅やホテルの客室などは制度の対象外とした。

 施設の利用者には禁止場所で喫煙しないことを、管理者には喫煙場所の掲示などを義務付ける。違反者には勧告、命令などを行い、従わない場合は過料などの罰則を適用する。 


受動喫煙、防止強化へ罰則案 施設・喫煙者、双方に
朝日新聞 2016年10月13日05時00分

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、厚生労働省は、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の対策を強化する。施設管理者や喫煙者を罰則付きで規制する法整備の「たたき台」を12日に示した。今後、各省庁や関係団体と調整し、詳細を詰める。新法か健康増進法の改正を検討する。

 たたき台では、多数の人が利用し、他施設と代替が難しい官公庁や社会福祉施設などは「建物内禁煙」。特に未成年者や患者らが主に利用する学校や医療機関はより厳しい「敷地内禁煙」とする。飲食店などのサービス業施設や、職場のオフィスなどは「原則建物内禁煙」とし、煙が外に流出するのを防ぐ喫煙室の設置を認める。施設管理者は禁煙場所の範囲や喫煙室の位置を掲示するなどの義務、利用者は禁煙場所で喫煙しない義務があり、違反者が勧告や命令に従わない場合、過料などの罰則を適用する。

 03年施行の健康増進法は施設管理者に受動喫煙対策を課すが、努力義務にとどまる。一方、海外では病院や飲食店など公共の場を屋内全面禁煙とする法律を施行する国が14年末時点で49カ国あり、世界保健機関(WHO)は日本の対策を「世界最低レベル」と指摘している。国際オリンピック委員会(IOC)とWHOは「たばこのないオリンピック」を共同で推進し、近年、日本以外の五輪開催地と開催予定地は、罰則を伴う受動喫煙防止策を講じている

 (黒田壮吉、竹野内崇宏)

 ■主な施設での受動喫煙防止対策(案)

◇医療機関、小学校、中学校、高校

 →敷地内禁煙

◇官公庁、社会福祉施設、運動施設(スタジアムなど)、大学

 →建物内禁煙

◇飲食店、ホテル・旅館(ロビーほか共用部分)などのサービス業施設、事務所(職場)、ビルなどの共用部分、駅、空港ビル、船着場、バスターミナル

 →原則建物内禁煙(喫煙室設置可)

◇バス、タクシー

 →乗物内禁煙

◇鉄道、船舶

 →原則乗物内禁煙(喫煙室設置可)

 (厚生労働省の資料から)

病院、学校を全面禁煙、飲食店には喫煙室 受動喫煙対策で厚労省
産経新聞 2016.10.12 19:10

 厚生労働省は12日、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、病院や学校を敷地内全面禁煙とする受動喫煙防止対策をまとめたことを明らかにした。飲食店やホテルなどサービス業は喫煙室を設置することを認める。10月末にも作業部会を立ち上げ関係団体から聴取した上で、違反した場合、施設の管理者だけでなく喫煙者本人にも罰則を適用する法律の制定を検討している。

 厚労省によると、現状では健康増進法に基づき、多くの人が集まる公共の場での受動喫煙防止は努力義務にとどまっており、罰則はない。しかし、リオデジャネイロや英国など過去の五輪開催国では、敷地内全面禁煙にするなどしていたため、同じ水準の対策を確保するとしている。

 厚労省がまとめた対策では、スタジアムなどのスポーツ施設や官公庁、社会福祉施設、大学では「建物内禁煙」に。特に未成年者や患者らが主に利用する小中高校や病院では、受動禁煙による健康影響を防ぐ必要性が高いため、より厳しい「敷地内全面禁煙」を提案した。

 サービス業では「建物内原則禁煙」にした上で、喫煙室の設置を認めるが、副流煙防止のため喫煙席は認めない。駅や空港ビル、船着き場、バスターミナルも同様で、バスやタクシーなどは乗り物内禁煙にしている。

 違反者に対しては、勧告や命令などを行い、それでも義務に違反する場合に罰則を適用することを考えている。

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飲食店に喫煙席を認めないというのは、とてもよいことです。喫煙室を許すというのがちょいとばかり癪ですが、現状からすれば、大進歩といわざるを得ません。

早急の法制化を望む次第です。