吉右衛門の鬼平、最高でした。
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(語る 人生の贈りもの)中村吉右衛門:10 鬼平の魅力、演じ求めた28年
朝日新聞 2017年7月24日05時00分
2016年12月に放映された「鬼平犯科帳 THE FINAL」
■歌舞伎俳優・中村吉右衛門
人気が出て皆さんに見て頂いて、150本も続いたのはとてもありがたいことです。
《そう話すのは、昨年末に終了した池波正太郎原作の時代劇「鬼平犯科帳」(フジテレビ系)シリーズ。盗賊に「鬼平」と恐れられる火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)長官の長谷川平蔵が、密偵たちと事件を解決する物語だ。1969年に実父の八代目松本幸四郎(初代松本白鸚〈はくおう〉)でドラマ化。四代目鬼平の吉右衛門版は89年から始まり、異例の長寿となった》
実父版では途中から、おやじが演じる平蔵の息子、辰蔵の役で出演しました。その時の鬼平が息子の根性を正すため、竹刀で息子の背中をたたくシーンがありました。手加減するかと思ったら、本当に背中をたたかれて痛かった。
主演の話を頂いたのは40歳の時。歌舞伎の舞台で忙しく、お断りしました。おやじが演じたのは60歳ごろです。
鬼平は遊びの中で人との付き合いを深めた。おやじも、とてもすてきな遊びをしましたし、生真面目な人でもありました。震災や戦災をくぐって死の覚悟もできている。鬼平にぴったりなんですよ。池波先生も「鬼平のモデルはお父さんの幸四郎さん」と言っていました。
《45歳の時に改めて出演の話があり、承諾した》
調べると、平蔵も火付盗賊改方になったのが45歳ごろのことだったらしいですね。長く続いたのはうれしいですが、どんどん毎週放映されるので、冷や汗もののこともありました。舞台で25日間、稽古を含めて30日間じっくりやるのとは違う。「これがテレビなんだな」と思いました。
当たり役ができることは光栄ですが、歌舞伎で主役をつとめた時には「鬼平人気」とも言われました。言う人には言わせておこうと思って、気にしませんでしたが。
平蔵は情と剛の強さを兼ねた人間的な魅力ある人物。28年にわたり演じてきてそこを出すのが一苦労でしたね。池波先生とはもっとご一緒して、歌舞伎の作品も書いて頂きたかったなと思います。
(聞き手 山根由起子)
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松本白鷗の鬼平も、その後、丹波哲郎・萬屋錦之介の鬼平も知りません。貧乏英語塾長にとって、鬼平といえば、中村吉右衛門以外はありえないのです。
その吉右衛門の鬼平が終わってしまって、本当に寂しい限り。しかも、そのファイナルも、手持ちのBDプレーヤーの調子がおかしくて、録画してもらったBDを観られていません。トホホホホ。
40代、50代、60代、そして70代、すべての吉右衛門の鬼平に味があってしびれます。また、梶芽衣子・蟹井敬三を始めとして、共演の役者たちもいいんです。第1シリーズ第1話には、名優・二代目中村又五郎も出ていたりしますから、歌舞伎ファンとしてはたまりません。
また、すべての回を観直したくなりました。
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