日本将棋連盟は20日、プロ公式戦の指し手を記録する「棋譜」について、人工知能(AI)を活用し自動的に作成するシステムを、事務機器大手のリコーと共同開発したと発表した。記録係の人員不足解消が目的で、将来の無人化を目指す。
7月から女流棋戦で実験を進め、来年4月以降の本格運用を予定している。システムは天井に設置したカメラで盤面を撮影、動いた駒を自動で読み取っていく仕組み。
公式戦の記録係は、主にプロ棋士養成機関の奨励会在籍者や女流棋士が務める。中学や高校に通う奨励会員が多く、公式戦の数も増加したことから、要員の確保が難しくなっていた。
将棋の若手記録員が足りない! 棋譜は手書きからAIへ
朝日新聞 2019年6月20日19時30分
リコーと日本将棋連盟は20日、将棋の対局経過を記録する「棋譜」を自動でつくるシステムを発表した。カメラで盤面を撮影し、駒の動きをコンピューター上に記録する仕組みで、公式戦での導入をめざす。棋譜の記録係の無人化が期待でき、人手不足解消につなげたいという。
棋譜は過去の対局を振り返ることができ、棋士の技能向上に欠かせないとされる。同連盟では年間3千局以上の全公式戦で棋譜を手書きで記録している。近年、大会数が増えて年間の対局数が10年前から1千局ほど増えたことや、記録係を担う若手会員の高校や大学への進学率が上がり、昼間の対局に参加できないことなどから、記録係が足りなくなっていた。
どの駒がどの動きをしたかを認識するのは、リコーのAI(人工知能)技術を生かしているという。素早い対局展開や、棋士の体がカメラの視界をふさぐことも考え、カメラでは1秒あれば盤上の駒を認識できる。開発に加わった棋士の鈴木大介九段も「対局には支障なく、満足できるレベル」と期待を寄せる。
一手にかかった時間の計測には課題が残る。棋士の持ち時間を決める対局の重要な要素で、今は記録係が手元のストップウォッチで計っている。このシステムでは駒から手を離した瞬間など微妙な判断はしにくく、同連盟では棋士たちが自らタイマーを押す対局形式も検討するという。
7月のリコー杯女流王座戦から実証実験を始め、来春以降の本格導入をめざす。(小出大貴)
将棋の記録係が無人化される。日本将棋連盟とリコーは20日、人工知能(AI)の技術を活用し、棋譜を自動的に生成する「リコー将棋 AI棋譜記録システム」を開発したと発表した。対局の盤面を天井からのカメラで動画撮影し、AIソフトに取り込んで解析。リアルタイムで棋譜が生成され、連盟の「棋譜データベース」に取り込まれる。来月からスタートする、第9期リコー杯女流王座戦本戦トーナメントから実証実験を始める。
現在、年間3000局以上行われている対局は、記録係が棋譜と持ち時間の計時を主導で行っている。その大半はプロ棋士養成機関「奨励会」の会員でまかなっているが、高校や大学に進む会員の増加、対局数の増加で、慢性的な記録係不足となっていた。1年ほど前から人員不足解消のため、開発を進めてきたという。完全導入になれば、記録係の必要はなくなる。
日本将棋連盟・佐藤康光会長(49)は、「棋士が人生をかけて1手1手築き上げた棋譜は、将棋の技術発展の上で大きな財産。ファンが将棋の面白さや棋士の個性を確認する魅力的なものでもある。新たな活用が期待できるし、万全の形になるように協力していきたい」と話した。暫定運用から始めるが、主催者側と相談して、来年4月以降の本格運用を目指す。
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棋譜係を務めるのも勉強になるのでしょうが、藤井七段のように、そんなことをほとんどしなくても強くなる棋士はいるわけです。奨励会会員の負担を減らすためにも、このAI棋譜記録システムはとてもよいことのようにおもえます。
とはいえ、AIに取って代わられて、記録係のいない対局風景は、どこか寂しいものになりそうです。ついでに、対局者もAIですませようとなりませんように。
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