◆テニス BNPパリバ・オープン ▽女子シングルス決勝 大坂なおみ2―0ダリア・カサキナ(18日・米カリフォルニア州インディアンウェルズ)

 女子シングルスで大坂なおみ(20)=日清食品=が第20シードのダリア・カサキナ(20)=ロシア=を6―3、6―2で破り、ツアー初優勝を果たした。日本女子のツアー優勝は通算11人目で、4大大会に次ぐ格付けの「プレミア・マンダトリー」大会を制したのは初優勝賞金134万860ドル(約1億4213万円)を獲得し、世界ランキングは44位から自己最高22位まで上昇。5月27日開幕の全仏オープンなど4大大会日本人初制覇の期待が一気に膨らんだ。

 バックハンドでツアー初優勝を決めた瞬間、大坂が無邪気な20歳に戻った。「何が起きたか分からない」。わずか1時間11分で完勝。何度も頭を振りながら陣営の席に駆け寄り、コーチらと歓喜のハグを交わした。4大大会に次ぐ格の大会を制した証しである、大きなクリスタルの優勝トロフィーを手に「明日も試合がある気分。実感がない」と繰り返した。

 ノーシードから1回戦で元世界ランク1位のシャラポワ、準決勝で現1位のハレプに完勝して進んだ決勝の舞台。最初のゲームはサーブが定まらず落とした。「本当に緊張して難しかった。簡単に失点してはいけない」と自分に言い聞かせた。同い年のカサキナが多彩な球種でコートを広く使ってくるのに対し「強打より自分のペースをつかむ方が大事」と、冬場のトレーニングで鍛えたフットワークで対応。今大会の7試合で失ったのは、わずか1セットだった。

 14年7月、初めて予選を突破したツアー大会の1回戦で11年全米覇者のS・ストーサー(オーストラリア)を破る衝撃から4年足らず。急成長の理由を「ズバリ集中力だと思う」と自己分析した。今季から指導するサーシャ・バイン・コーチはセリーナ・ウィリアムズ(米国)の練習パートナーを長年務めた経験を生かし「全ては練習から始まる。安定したプレーをするための心構えを常に話し合っている」という。ミスを引きずらず目の前のポイントに集中し、ツアー屈指の高速サーブとパワフルなフォアが安定的に出せるようになった。

 日本女子初の快挙で世界ランクは自己最高の22位まで上がり、全仏オープンでは3回戦まで上位選手との対戦が避けられるシード入りが近づいた。日本テニス協会の土橋登志久強化本部長は「4大大会の優勝や20年東京五輪でのメダルも見えてきた」と期待を込めた。過去36大会の「プレミア・マンダトリー」優勝者のうち、セリーナら延べ23人が4大大会でも優勝している。男女通じて日本勢初の4大大会優勝、世界NO1への道を大きく踏み出した。

 会場で声援を送った父のレオナルド・フランソワさんは「いつかこういう日が来ると思っていたが、こんなに大きい大会で」と喜んだ。公園や公営コートで姉・まりとともに鍛え、早くからジュニアではなくシニアの大会に参加させた。昨季までコーチとして帯同して育てた娘の晴れ姿に、感無量のようだった。

 ◆女子ツアー(WTA)の仕組み 優勝獲得ポイントが高い順に4大大会プレミア・マンダトリー(4大会)プレミア5(5大会)プレミア700(東レ・パンパシフィック・オープンなど12大会)インターナショナル(ジャパン女子オープンなど31大会)の5カテゴリーに分かれる。下部大会として125Kシリーズ、ITF女子サーキットがある。今大会はトップ10選手に出場義務のあるプレミア・マンダトリーで本戦出場は96人。優勝で1000ポイント獲得できる。年間獲得ポイント上位8選手が参加するファイナルズは、全勝優勝で1500ポイント。

 ◆大坂なおみ(おおさか・なおみ)アラカルト

 ▽生まれ&サイズ 1997年10月16日、大阪市。180センチ、69キロ。右利き。両手バックハンド。フロリダ州ボカラトン在住。日本と米国の二重国籍だが選手登録は日本。

 ▽家族 昨年までコーチとして帯同していたハイチ出身米国人の父、レオナルド・フランソワさん、日本人の母・環(たまき)さん、姉でプロ選手・まり(21)。

 ▽テニス歴 3歳のとき、大阪の靱(うつぼ)テニスセンターで始める。2001年に父の仕事の関係で米国に移住。14歳からプロツアーを転戦。

 ▽今までの成績、獲得賞金 16年9月の東レ・パンパシフィック・オープン準優勝が最高で、生涯獲得賞金は148万3053ドル(約1億5720万円)だったが、今大会だけで134万860ドル(約1億4213万円)を手にした。

 ▽趣味 買い物。日本の漫画、アニメが好きで日本語学習にも役立てている。

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大坂選手のことは、ほとんど知りません。ですが、コーチが変わっただけで、これだけ変化するのですから、大坂選手はきっと素直な人なのでしょう。

素直な人は、ぐんぐん伸びます。これだけの強敵を連破したのも、不思議ではありません。

グランドスラム大会の優勝も、夢ではなくなりました。若さの勢いで、突っ走ってもらいたいものです。

それにしても、1億4213万円の賞金ですか。凄いものです。