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中国人の英語力報道に隠された欺瞞

2005年06月08日 11時56分08秒 | 時事放談: 中国編
各新聞に対してできるだけ公平に目を通し、是々非々でモノを申し上げようとしているゴウ先生でありますが、時折ムムムと呆れて唸るしかない記事にぶつかります。

たとえば、INDECは英語塾ですから、当然次の記事など丁寧に読むわけです。新聞社名にはこだわらず・・・。

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五輪が追い風、中国で高まる英語熱 年2千万人ずつ増? (朝日新聞) - goo ニュース

2005年 6月 7日 (火) 03:03

 多様な言語と文化を持つアジアで、英語学習熱が高まっている。最大の人口を持つ中国では、英語学習者は3億人を超え、毎年約2000万人の割合で増え続けているとの推計もある。英国のブラウン財務相は2月の訪中時に「今後20年以内に、英語を話せる中国人は、世界で英語を母国語とする人口を超えるだろう」と話した。(山根祐作)

 08年に五輪開催を控えた北京では、選手や観光客らを迎える準備として、市政府が「市民外国語を話そう活動計画」を策定した。英語学習5カ年計画で、市民の3人に1人、計500万人が簡単な日常英会話ができるようになる、との目標を設定。無料講座や弁論大会、テレビ番組制作などあの手この手で「英語人口」増に懸命だ。

 市の各区や行政機関も独自の英語学習計画を設けた。東城区は40歳以下の職員に実用的な英文300センテンスの暗記を義務づけ、市交通委員会は地下鉄乗務員全員に、外国人乗客との意思疎通に必要な英会話の講座受講を求める。タクシー運転手の資格試験でも、英語が必須科目となった。

 英語学校も急増中だ。現在、全国に大小あわせて約5万校。市場規模は約100億元(約1300億円)とされる。北京で最大手の「新東方学校」には社会人を中心に約13万人が通う。授業終了後、3人に話を聞いた。

 製油会社勤務の男性尤さん(33)は「英語を身につけないと、高収入の仕事に転職できない」。新聞記者の男性羅さん(30)は「英語で取材できないと、リストラされるかもしれない」。大学教授の女性張さん(43)は「学生より英語が下手だとばかにされる」。3人とも「英語を学ばなければというプレッシャーを感じる」と口をそろえた。

 多くの子どもが放課後英語塾に通う。9歳になる小学3年は、週末も含めて毎日。「大学はハーバードに行く」と決めた。「自分の国にしかいられないなんていやだから」だという。

 教育関係者は「歴史的に教育を重視してきた中国でも、現在の英語学習熱は特異な現象といえる。英語ができれば生活に有利になるという現実が人々を駆り立てている」と分析している。

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抗日運動吹きすさぶ中国。その元凶は小泉首相の靖国参拝にあると断罪し続ける朝日新聞の記事です。

どうしてこの時期にこんな記事を書くの?と裏を読みたくなるではありませんか。

何となく、英語学習熱に追い立てられている中国人を皮肉に描いているかのように見えますが、どうもそうではない感じがします。中国人は偉い!と言いたさそうです。

そして、ゴウ先生には次のような三段論法が隠されていると思わずにはいられません。

  大前提:英語を話せれば、欧米と仲良くできる。
  小前提:中国は英語を話す人間が増えている。
  結 論:中国は、欧米と仲良くできる。

つまり、朝日が書きたかったのは、このままだと有能で勤勉で英語が使える中国人は日本なんか相手にしないで欧米と仲良くするぞということだった気がするのです。

その証拠に今日の社説「常任理入り 米国からのつれない電話」で、アメリカも中国と足並みを揃えて日本の常任理事国入りに反対しているではないかと小泉内閣を咎めているわけです。

この社説についてはどうあれ(異論だらけのゴウ先生ですが)、朝日はとにかく中国と仲良くしないとというか中国にペコペコし続けないと、日本に未来はないということを中国共産党の機関紙のごとく言い続けている印象が拭えないのです。

第一、プロの目から見て、この記事にはいくつかの欺瞞が隠されています。

まず中国人は英語が話せる人が年間2000万人ずつ増えていくというのですが、どの程度をもって英語を話すとみなしているのでしょう。それに年間2000万人増加の根拠はどこになるのでしょう。中国は怖いぞ怖いぞと脅されても、これでは全然危機感を持てません。

そもそも、ブロークンでもよければ、日本人だって相当に英語が話せます。ゴウ先生の手ごたえで申し上げますと、上に書かれている基準でよければ、全人口の70%くらいは英語で何らかのコミュニケーションが取れます。その真実を朝日が報道してくれないだけです。

また、中国人の英語力という話になると、すぐにTOEFLの平均点の話になります。いわく、中国人はすごくTOEFLの平均点が高い、ゆえに英語力があると。

本当でしょうか。まずはデータを見てみましょう。最新の結果だとこうなります。2003-2004 Test Year Dataをご参照ください。

  CBT TOEFL受験者 21206人  平均点 213点(300点満点)
  PBT TOEFL受験者 76201人  平均点 555点(677点満点)

これを日本と比べてみましょう。

  CBT TOEFL受験者 83093人  平均点 190点
  PBT TOEFL受験者  3685人  平均点 491点

CBTはcomputer-based test、PBTはpaper-based testの省略です。したがって、中国ではコンピュータで受験する環境が整っていないために、CBTよりも現在のTOEICの公開テストのようなPBTが多くなっています。日本の場合は、PBTで受験している人は企業その他が行っている特別な試験ですから、大都市圏の普通の人はCBTを受けるしかありません。

そのTOEFLのスコアで、CBTであれ、PBTであれ、中国が日本に大きく水を開けています。確かに、勉強しているのだろうなとゴウ先生も思います。日本人ももっと勉強してくれ。INDECに入ってくれれば大丈夫(!)とだけ申し上げておきます。

受験総数があの人口でたった10万人弱しかいないという現実にも、大人の日本人として目をつぶります。

それでも、黙っておれないことがあります。

中国におけるTOEFLの試験問題の管理です。前々から試験会場において受験生から回収されるべき試験問題が市場に流通しているという噂が絶えません。

事実昨年末あの中国の裁判でその乱用の事実が認められ、約8000万円の賠償命令が出ました。(もとの記事のサイトが見つかりませんでしたので、部分引用してある2チャンネルのサイトを紹介します。http://news17.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1104408728/l50

その当の訴追対象が上の記事で語られている「新東方学校」なのです!そしてそこから流れたであろう過去問をインターネットを使って、全中国どころか日本でも入手することができるのです!

日本の大半のTOEFL受験生は、そうした事実を知らずに、相当以前にETSが出している公式過去問で勉強しています。しかしその間に、中国では(ある意味国抱えの可能性も否定できません)そのような著作権侵犯の違法行為を繰り返していたのです。フェアじゃないですよね。

したがって、中国人の英語力を測るTOEFLのスコアは、当てにならないシロモノがかなり含まれているということなのです。かなりの問題を使い回しするTOEFLにおいて、ピカピカの過去問を手に入れてそれをもとに準備すれば、ハイスコアは簡単なものなのですから。

とはいえ、そうやって最新の過去問を使って勉強している割には、プロのゴウ先生には平均点が低く見えます。250点をオーバーしても不思議はないと思うのです。もっとはっきり言えば、勉強していませんよ、中国人、朝日の記者が書くほどには!

(ちなみに、CBTで言うと、世界最高はデンマークの265点、それにベルギー、アイスランドの256点が続きます。)

INDECにもしこうした教材があったら?いやあ、会員の平均点が280点をオーバーするでしょうね。いまでも260点以上の平均点ですから。要は、真面目にコツコツ勉強し続けると、TOEFLなんて屁でもないのです。中国人には分からないかもしれませんが。

それにしても、この記事を書いた山根ナニガシ、新東方学校のいかがわしさをきちんと調べてから取材したのでしょうか。それとも知った上で、何のコメントもつけず上の記事を書いたのでしょうか。

これだから、朝日の中国関係記事には警戒しなければなりません。
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3 コメント

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日本が勝ちます。 (角番)
2005-06-08 22:45:20
この記事の書き始めは、多様な言語と文化を持つ「アジアで」英語学習熱が・・・となっています。



そしてその後に、最大の人口を持つ中国は・・・として中国賛美の記事が始まりますが、他のアジアの国はどこへ行ってしまったのでしょう。



これではまるでアジア=中国のような書き方です。信じられません。



確かに、IMD調査で我が国日本の英語力は最下位でした。この事実は謙虚に受け止めなければならないと思います。



しかし、それをバネに踏ん張れと言うどころか、アジアで最も英語を勉強しているのが中国のような書き方は許せません。



朝日をギャフンと言わせる位、勉強します。
返信する
この記事には続きがある (飛車角)
2005-06-23 21:35:56


この記事には続きがあるんですよ。

同じ日に掲載された「週刊アジア」のページの紹介部分でしかないんだけどね。

批評するなら、全体を呼んでからにしたら。





http://www.asahi.com/international/weekly-asia/TKY200506070145.html
返信する
危なかった ()
2005-06-25 06:58:29
あの手、この手で宣伝していることに気付かず

いつのまにか洗脳されてしまいそうです。

正確な読解を心がけます
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