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中国の「文化強国」戦略に用心せねば

2014年05月22日 06時02分16秒 | 時事放談: 中国編

中国共産党政府ののマスコミ支配についてのレポートです。記録しておきましょう。

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連載:特派員リポート
(@北京)アメとムチの中国式「文化強国」戦略
朝日新聞 2014年5月22日00時00分

■特派員リポート 石田耕一郎(瀋陽支局)

 社会主義イデオロギーの普及を目指し、中国政府が映画やテレビ番組への関与を強めている。国内では放映される外国映画やテレビ番組に対する規制を強め、海外では発展途上国のテレビ局に中国映画を無償提供するなど、国産作品の輸出に力を入れる。「文化強国」と名付けた長期戦略で、映像作品を通した欧米の民主主義思想の浸透を抑え込みつつ、国際社会での中国のイメージ向上を狙っている。

 海外テレビ番組のリメーク版づくりに携わってきた北京市の20代の会社員男性は昨年10月、中国政府が出した通知に衝撃を受けた。「海外番組のリメーク版の新規放送は、各テレビ局で年間1作品に限り、(視聴者が多い)午後7時半から午後10時の放送は禁じる

 男性は、主に英国やオランダ、韓国のテレビドラマやバラエティー番組のリメーク権を、年間約60作品分、中国の国営テレビ局に販売してきた。海外で成功実績がある番組のリメークは、テレビ局の広告主に受けが良く、番組作りの手軽さもあり、各局が週末の夜などにこぞって放映していたという。

 男性は「会社の業務にとって大きな打撃。政府はリメーク番組を通じて、欧米のイデオロギーが国内に入ってくるのを恐れたのだろう」と言う。通知には、①公益性の高い番組を週平均3割以上、放映すること毎日30分間は国産ドキュメンタリー作品を流すこと――などの指示も含まれていた。

 外国の映像作品に対する規制強化は、テレビ局にとどまらない。政府は昨秋、少数民族の朝鮮族が多い吉林省延吉市の延辺大学に、「学生に韓国の映画やドラマを観賞させないように」と指示。今年に入っても、インターネットで外国の映画やドラマを流す業者に、作品の検閲と営業許可証取得の徹底を求めた。

 一連の締め付けは、2012年11月、習近平総書記が誕生した中国共産党大会で宣言された「『文化強国』の道を歩む」との国策に沿う。「文化強国」の目的について、習氏は昨年末、党幹部の会議でこう説明している。「海外で、社会主義イデオロギーを発信して、中国に対するイメージを改善し、国際的な発言力を強化せねばならない」。「国内では、愛国主義、社会主義の教育を強化し、国民が正しい歴史観、国家観を持つよう導き、中国人としての気骨を増強せねばならない

 習氏はさらに、発信すべき中国のイメージとして、①多民族が団結して社会が安定②政治がクリーン③国際社会で公平や正義を擁護する責任ある大国――を挙げた。国内の少数民族問題や役人の汚職、領土摩擦などで、中国の否定的イメージが海外で広まっていることに対するいらだちと、国民に欧米の考え方が浸透することへの危機感が透ける。

 党の焦燥を裏付けるデータがある。北京師範大学の黄会林教授らが12年、北京の子供たちを対象に実施した調査では、米国映画を通じて米国に好印象を抱く子供が7割に上ったのに対し、中国映画がもたらす中国や中国人の好感度は55%だった。党機関誌の「人民日報」はこの結果を報じた記事で、「スクリーンを通じて米国の価値観が青少年の頭にコピーされている」と警鐘を鳴らした。中国映画を研究する中国芸術研究院の賈磊磊副院長も朝日新聞の取材に、旧ソ連崩壊後に米国がハリウッド映画をロシアに無償提供してロシア人の好みを変え、ロシア映画産業に大きな打撃を与えたという例を紹介。「中国は同じ過ちを繰り返すわけにはいかない」と述べ、外国の映像作品に対する検閲や放映制限など、規制の必要性を認める。

 中国共産党は、日中戦争時代から、映像作品をイデオロギー宣伝の重要な手段にしてきた。「文化強国」戦略は、党が経済発展で得た資力を使い、国外でも同じ手法を推進し始めたことを意味する。

 例えば、中国国営テレビは2012年、ケニアやスーダンなどアフリカ9カ国と、中国映画の無償提供契約で合意年間10~52作品を、各国の主要テレビ局に無償提供した。ゴールデンタイムに放映する見返りに、同時間帯の広告枠を得られる仕組みだ。中国政府や国有企業が12年に海外で催した中国映画祭も40カ国で計112回に上った。

 国の戦略に民間企業も呼応する。「中国一の富豪」とも称される元軍人の男性がトップを務める不動産会社「万達集団」は12年、米国2位の映画館チェーンを買収。日本や欧州でも映画館の購入を計画する。万達は政府との関係維持が不可欠な国内の不動産開発を本業にしており、中国の映画評論家は「米国映画界に影響力を発揮したい政府の意向を代行した」とみる。同社は2年後の稼働を目指して中国版ハリウッド「東方影都」の建設も進めるが、その予定地は国内政治の風向きで、当初の遼寧省大連から急きょ、山東省青島に変更された。「大連は、(共産党の最高指導部入りを目前に失脚した)薄熙来氏の地盤で、事業への影響を恐れたため」(同社社員)だ。

 中国では、新作外国映画の輸入は、党が影響力を行使しやすい国有企業が独占し、国内上映にも検閲が課せられるなど、党とのパイプを必要とさせる構造が映画界に温存されている。今春に米中で同時公開されたハリウッド映画に投資し、宣伝のために主演のジョニー・デップ初訪中をアレンジした中国の広告会社も、経営トップは軍人一家に育った元政府職員だ。

 映像作品を使った国のイメージ向上は、米国や日本、韓国など、各国が取り組む共通戦略だが、中国は体制を批判する作品を認めておらず、他国の政策とは性格を異にする。ただ、こうした国を挙げての「文化強国」戦略ながら、主要部分を担う中国映画の「戦績」は、芳しいとは言い難い。国内の興行収入に占める国産作品比は13年、新作外国映画の輸入本数が34本に規制されているにもかかわらず、全体の約6割にとどまる。日本を含め、海外での中国映画の興行成績も低迷している。

 こうした状況について、ベルリン映画祭金熊賞を受賞した中国人映画監督の謝飛氏は、映画界への党の過度な関与を批判。「映画は国の政策があるからといって輸出できるわけではない。(検閲など)国内の規制が続いている現状では、輸出可能な作品作りにも限界がある」と指摘し、こう提言する。「中国はまず国内の改革を進め、魅力ある良作を制作できる環境づくりを優先すべきだ」

    ◇

 石田耕一郎(いしだ・こういちろう) 瀋陽支局長。1997年入社。大阪や東京の社会部で主に警察や検察などの事件取材を担当。2012年2月から現職。41歳。

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日本の映画館が中国資本に買われて、日本人が洗脳されていく。考えたくないことですが、ありえそうです。中国の「文化強国」戦略をどう跳ね返すか。官民ともにかんがえなければならない時代です。


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