年末年始、ネット上の中国の囲碁サイトにハンドルネーム「Master(マスター)」なる棋士が参戦し、非公式ながら世界のトップ棋士とみられる対戦相手に対し、今月4日までの1週間で60勝無敗という驚異の戦績を上げた。その正体は、昨年韓国の世界トップ棋士を破った囲碁AI(人工知能)の「アルファ碁」の進化版だったことが明らかにされた。

 囲碁サイトには少なからぬプロ棋士がハンドルネームを用い、短時間の非公式対局で腕試しをしているが、トップ棋士のハンドルネームは半ば公然と囲碁ファンに知られている。

 英語で「名人」「達人」などの意味を持つMasterは、12月29日に囲碁サイト「東洋囲碁」、元日からは「野狐囲碁」に登場。現在世界ナンバー1と評される中国の柯潔九段や韓国の朴廷桓(パクジョンファン)九段、日本の井山裕太六冠ら世界のトップ棋士とみられるハンドルネームの対戦相手をハンディなしの互先(たがいせん)で次々に破った

 正体は何なのか。各国の棋士や囲碁ファンの関心が集まる中、日本時間5日午前0時ごろ、アルファ碁を開発したグーグル傘下のAI開発会社ディープマインドのCEO(最高経営責任者)、デミス・ハサビス氏は自身のツイッターでアルファ碁の進化版であることを認めた。さらに「われわれの非公式のテストは完結した。今年中に公式戦で披露することになるだろう」とした。

<囲碁AI>世界トップ連破、実は「アルファ碁」の改良版
01月05日 18:56毎日新聞

 ◇「ディープマインド」CEOがツイッターで明かす

 米グーグル傘下の人工知能(AI)開発企業「ディープマインド」(英)のデミス・ハサビス最高経営責任者(CEO)は5日、ネット対局で世界トップ級の棋士を次々と破った謎のソフトが、同社の囲碁ソフト「アルファ碁」の改良版であることを、自身のツイッターで明らかにした。

 昨年末から年始にかけ、謎のソフトが日中韓などの棋士と見られる相手を次々と負かし、60連勝。「神的な強さ。どこのソフトだろう」と話題となっていた。

 アルファ碁は昨年3月、韓国の世界トップ級の棋士を破り、その後も改良を重ねてきた。ハサビスCEOは「非公式なテストは終わった。今年中に公式対局を打てるのを楽しみにしている」と記した。

 ネット上で対局を観戦した本因坊文裕(井山裕太九段)は「強いの一言。中央のとらえ方で、人間との感覚の違いを感じた」とコメントした。【金沢盛栄】

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朝日は、井山裕太六冠がアルファ碁と対戦して負けたと書いています。他方、毎日は「対局を観戦した」だけという書き方。どちらが正しいのか。おそらく前者なのでしょう。

この猛烈に強いアルファ碁に勝てる人間は現れるのか。それが井山六冠だと、最高なのですが。