メディア・リテラシーという科目があったら、その試験問題用に使えそうな記事を発見しました。中国関連の記事です。
皆さん、この記事を読んで、どう思いますか?ゴウ先生の考えは、記事の後に述べさせてもらいます。
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米で高まる中国語熱 経済・文化・安保で重要 基金設立の動き (産経新聞) - goo ニュース
2005年05月29日(日)
【ワシントン=気仙英郎】米国で中国語教育熱が高まっている。台頭する中国パワーを背景に、米政府、民間ともに中国語を話す人材に対する需要が増大していることが背景にある。
米国バージニア州フェアファックス郡もこのほど、中国語教育をこの秋から新たに二つの公立小学校で始める、と発表した。同郡の日本語教育の実践校三校が、生徒数の減少で二校に統合される方向にある一方、中国語を採用する学校は今後、一段と拡大する兆しをみせている。
「米国政府にとって、中国語を話す人材がますます重要になっている。しかし、その人材を見つけるのが難しい。新たな中国語教育は、子供らの学業成績を上げるだけでなくグローバル経済の中で競争していく力を身につけることにつながる」
中国の人権侵害糾弾の急先鋒(せんぽう)として知られるウルフ米下院議員はこの日、同郡の記者会見場となったシュリーブウッド小学校を来賓として訪れ、中国語教育の重要性を強調した。
今回、新たに中国語を始める小学校は、シュリーブウッドとウルフトラップの二校。同郡教育委員会の外国語教育責任者、パウラ・パトリック氏は「まず、この秋の新学期から一年生と二年生の計百二十人が学習を始め、いずれは、中学校、高校まで広げていく」と語る。
米政府の最新のデータでは、中学校から高校にあたる七年生から十二年生の生徒の中で、中国語を学習している生徒は約二万四千人。ホルト米下院議員は「経済的にも文化的にも、そして、安全保障の面でも中国語を学ぶ学校を増やしていかねばならない」と主張する。同議員は、中国語教育の充実を訴え、新たな政府ファンド(基金)設立を求める法案を今年初めに提案している。
一方、中国語と対照的なのが日本語教育だ。一九八〇年代、九〇年代を通じて高まった日本語熱は、日米通商摩擦の収束とともに薄れ始めている。パトリック氏は「全体として、日本語を学ぶ子供の数は減っていない」とするものの、教育委員会は、生徒数の減少から日本語と英語の二カ国語教育を実践している小学校を三校から二校に統合する方針を打ち出している。統合対象となったフローリス小学校の保護者らが署名集めに奔走し存続を求めているが、決め手は日本語を学習する子供の数を増やすしかなく厳しい状況にある。
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どうやら、この記事を書いた記者は最後の段落を書きたかったからこそ、こうしたトピックを取り上げたように見えます。アメリカでは日本語熱が冷めかけており、代わりに中国語熱が盛り上がっている、と訴えつつも、そのことが腹ただしかったので(?)、こうした記事を載せたという印象を持たざるを得ません。何せ産経の記事ですから。
しかし、こうした何でもかんでも中国を仮想敵国として想定するようなメディアの態度は、いくら中国(政府)が嫌いなゴウ先生でも、ついていけません。(これでは逆の意味で、中国の意見は必ず聴くべきだと主張している朝日新聞が犯している過ちと同じですから・・・。)
第一に、良かれ悪しかれ、中国の軍事・経済力が先進国の仲間入りをしようとしている現在、アメリカにおいて中国語学習熱が盛り上がっても不思議ではありません。それは日本がガンガン飛ばし続けていた1980年代にアメリカで日本語学習熱が盛り上がっていたのと同じことです。
第二に、日本語熱が冷めていると判断する根拠を「生徒数の減少から日本語と英語の二カ国語教育を実践している小学校を三校から二校に統合する方針を打ち出している」ことだと筆者は提示していますが、その生徒数の減少が、日本語を選択する小学生が減っているのか、小学校全体の児童数の減少なのか(アメリカでも少子化現象は進んでいます)、この記事では判然としません。「全体として、日本語を学ぶ子供の数は減っていない」というのが正しいというのならば、後者が正しいことになり、日本語を学ぶ小学生数の割合が減っていないかもしれないのです。
第三に、こうした中国語熱を語るのにバージニア州だけしか取り上げていません。全米中に中国語熱が高まっているのかどうか、本当のところは分からないのです。
ホルト下院議員が基金設立の法案化に動いていると書いてあって、あたかも全米中で中国語熱が高まっているように見えます。しかしそうとも言えないのです。
アメリカの連邦下院議員は、2年毎の改選に備え、日本の衆議院議員よりも地元への露骨な利益誘導を行います。すなわち、全米でそうした法案が必要かどうかを考えるよりも、自分の選挙区において必要かどうかを優先するのです。ですから、もしホルト下院議員がバージニア州選出であるのならば(それもこの記事では分かりませんが)、彼(女)が法案化に動いたところで、全米の動きだと断言するのは早とちりになるかもしれません。
というわけで、この記事には曖昧なところがあまりに多くありすぎます。せめて上記した三つの点についてだけでもきちんと論述したデータを添えてもらわないと、記者の意見に同意はできません。
産経、がんばってください。
メディア・リテラシーを高める必要性を感じた記事でした。
皆さん、この記事を読んで、どう思いますか?ゴウ先生の考えは、記事の後に述べさせてもらいます。
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米で高まる中国語熱 経済・文化・安保で重要 基金設立の動き (産経新聞) - goo ニュース
2005年05月29日(日)
【ワシントン=気仙英郎】米国で中国語教育熱が高まっている。台頭する中国パワーを背景に、米政府、民間ともに中国語を話す人材に対する需要が増大していることが背景にある。
米国バージニア州フェアファックス郡もこのほど、中国語教育をこの秋から新たに二つの公立小学校で始める、と発表した。同郡の日本語教育の実践校三校が、生徒数の減少で二校に統合される方向にある一方、中国語を採用する学校は今後、一段と拡大する兆しをみせている。
「米国政府にとって、中国語を話す人材がますます重要になっている。しかし、その人材を見つけるのが難しい。新たな中国語教育は、子供らの学業成績を上げるだけでなくグローバル経済の中で競争していく力を身につけることにつながる」
中国の人権侵害糾弾の急先鋒(せんぽう)として知られるウルフ米下院議員はこの日、同郡の記者会見場となったシュリーブウッド小学校を来賓として訪れ、中国語教育の重要性を強調した。
今回、新たに中国語を始める小学校は、シュリーブウッドとウルフトラップの二校。同郡教育委員会の外国語教育責任者、パウラ・パトリック氏は「まず、この秋の新学期から一年生と二年生の計百二十人が学習を始め、いずれは、中学校、高校まで広げていく」と語る。
米政府の最新のデータでは、中学校から高校にあたる七年生から十二年生の生徒の中で、中国語を学習している生徒は約二万四千人。ホルト米下院議員は「経済的にも文化的にも、そして、安全保障の面でも中国語を学ぶ学校を増やしていかねばならない」と主張する。同議員は、中国語教育の充実を訴え、新たな政府ファンド(基金)設立を求める法案を今年初めに提案している。
一方、中国語と対照的なのが日本語教育だ。一九八〇年代、九〇年代を通じて高まった日本語熱は、日米通商摩擦の収束とともに薄れ始めている。パトリック氏は「全体として、日本語を学ぶ子供の数は減っていない」とするものの、教育委員会は、生徒数の減少から日本語と英語の二カ国語教育を実践している小学校を三校から二校に統合する方針を打ち出している。統合対象となったフローリス小学校の保護者らが署名集めに奔走し存続を求めているが、決め手は日本語を学習する子供の数を増やすしかなく厳しい状況にある。
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どうやら、この記事を書いた記者は最後の段落を書きたかったからこそ、こうしたトピックを取り上げたように見えます。アメリカでは日本語熱が冷めかけており、代わりに中国語熱が盛り上がっている、と訴えつつも、そのことが腹ただしかったので(?)、こうした記事を載せたという印象を持たざるを得ません。何せ産経の記事ですから。
しかし、こうした何でもかんでも中国を仮想敵国として想定するようなメディアの態度は、いくら中国(政府)が嫌いなゴウ先生でも、ついていけません。(これでは逆の意味で、中国の意見は必ず聴くべきだと主張している朝日新聞が犯している過ちと同じですから・・・。)
第一に、良かれ悪しかれ、中国の軍事・経済力が先進国の仲間入りをしようとしている現在、アメリカにおいて中国語学習熱が盛り上がっても不思議ではありません。それは日本がガンガン飛ばし続けていた1980年代にアメリカで日本語学習熱が盛り上がっていたのと同じことです。
第二に、日本語熱が冷めていると判断する根拠を「生徒数の減少から日本語と英語の二カ国語教育を実践している小学校を三校から二校に統合する方針を打ち出している」ことだと筆者は提示していますが、その生徒数の減少が、日本語を選択する小学生が減っているのか、小学校全体の児童数の減少なのか(アメリカでも少子化現象は進んでいます)、この記事では判然としません。「全体として、日本語を学ぶ子供の数は減っていない」というのが正しいというのならば、後者が正しいことになり、日本語を学ぶ小学生数の割合が減っていないかもしれないのです。
第三に、こうした中国語熱を語るのにバージニア州だけしか取り上げていません。全米中に中国語熱が高まっているのかどうか、本当のところは分からないのです。
ホルト下院議員が基金設立の法案化に動いていると書いてあって、あたかも全米中で中国語熱が高まっているように見えます。しかしそうとも言えないのです。
アメリカの連邦下院議員は、2年毎の改選に備え、日本の衆議院議員よりも地元への露骨な利益誘導を行います。すなわち、全米でそうした法案が必要かどうかを考えるよりも、自分の選挙区において必要かどうかを優先するのです。ですから、もしホルト下院議員がバージニア州選出であるのならば(それもこの記事では分かりませんが)、彼(女)が法案化に動いたところで、全米の動きだと断言するのは早とちりになるかもしれません。
というわけで、この記事には曖昧なところがあまりに多くありすぎます。せめて上記した三つの点についてだけでもきちんと論述したデータを添えてもらわないと、記者の意見に同意はできません。
産経、がんばってください。
メディア・リテラシーを高める必要性を感じた記事でした。
先生が指摘されたことに気付きません。
日本語の読解能力の問題でしょうが、普段から
先生が掲載されたような記事に接していて何も感じないであろう
自分の能力を疑いました。
ホルト下院議員が基金成立の法案化に動いているという例を用いて、説得力と具体性を持たせようとしているのでしょうが、このような曖昧な使い方をしていると、ただ下院議員という肩書きを利用したかったのかと感じてしまいます。
詳細なデータを示さないで、肩書きを使って記事を説得力のあるものにしようとしている産経の態度が"Appeal to authority" だという解釈で宜しいのでしょうか?