JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「お国と五平」

2016-12-29 | 映画(DVD)
「妄執・異形の人々 文芸篇」

「お国と五平」東宝 1952年 監督:成瀬巳喜男 原作:谷崎潤一郎 35mm

夫を元許婚の友之丞に殺されたお国は、お供の五平を連れて敵討ちの旅に出た。いつしか、二人は主従の関係を超え・・・。別れた女の夫を闇討ちし、女に追いすがり、いざとなると命ごいする女々しい男・友之丞が、成瀬的とも言えるリアルな人間像を体現。友之丞の尺八の音色と共に壮絶な結末が訪れる、成瀬の隠れた傑作。

素晴らしかったですね。面白かったです。
原作は谷崎先生ですが、これは時代物でもあり戯曲集の中の一篇であることから先送りにしたまま未読でございました。
本作を見て、まぁ、成瀬巳喜男も素晴らしいんでしょうが、またまた谷崎潤一郎の優秀さを強く意識しちゃいました。



武士の女房である未亡人お国の木暮実千代の美貌は半端ない。
蚊帳越しのお国、女であるために道中どうしても心身の弱さが出てしまう、武士の女房の気品。
忠誠でまっすぐな若き美貌の五平の大谷友右衛門。
あの旅籠での長方形の箱に入った蚊取り線香の立ち上る煙も良い小道具。

友之丞は若き山村總。細身の顔にマキバオー並みの馬鼻が印象的。
武士道を解せぬ、おとぼけでお間抜けなキャラが最後まで笑いを誘う。

お国と五平が一線を越える夜の描写は、当然見せる事はしない。そんな見せる必要性って本当に無いんですよね。
結ばれた後はますますはりきる五平に対して、何か重く背負ったお国が逆に美しさに翳りを見せる女らしさ、つくずく木暮実千代の名演、お見事。



シネマヴェーラ渋谷

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