JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「赤い殺意」

2012-08-16 | 映画(DVD)
「世紀の大怪優2 西村晃MAGIC」

「赤い殺意」1964年 日活 監督:今村昌平

東北のある町。封建的な「家」思想のもと虐げられてきた主婦・春川ますみが、強姦事件を契機に強靭な存在へと変貌していく──。藤原審爾原作、今村昌平監督の傑作社会ドラマ。西村晃は小心翼々たる中年夫を巧演して多数の演技賞を受賞。

今村昌平の最高傑作とまで言われている本作。
私は列車のシーンしか見た事がなかったが、虐げられた田舎者の嫁が強い女に変貌していくという本格サスペンスだとばかり思っていたんだけど、こんなにも喜劇的要素が含まれているというのは知らなかった。全編に渡り微妙なニュアンスの笑いがとても好ましい。いや、面白くて笑っちゃう。

まぎれもなく、春川ますみの映画。
太めの身体、大きなお尻、そして本作では寝ぼけたような冴えない顔と独特な声でもって、いつものようにチャーミングだなぁと感じる事はほとんど無い。そう、「私はなんで不幸なんだろう」と言いつつ顔パック・・・
なんともとぼけた演技が堪らない。

エゴイストな夫・西村晃との夫婦の関係やらも。
西村晃も浮気していて、その浮気相手の眼鏡女子が、後半の追跡から悲業な最期まで、とても良い味になっている。
春川ますみの方は、姑に「すみません」を繰り返しながら、正式に籍を入れるため隣家の夫人を通して裁判にかけてみたり。
強姦男に金を押しつけて縁を切ろうとするが「まだ話がある」という言葉にバスで引き返しちゃったり。
キャバレーでドラムを叩く露口茂のバンドに殿山泰治が居たり・・・。

若いころには小沢昭一に夜這いかけられそうになったり・・・
この時、窓を開けてあげているんだけれど、以降そんな事は忘れていて、何かの拍子で思い出すタイミングの妙・・・

そして極め付けが、眼鏡女子が決死で撮った証拠写真を夫から突き付けられ「私じゃありません」と白を通しきりながら「私じゃないけど私だったらどうする」って・・・。

虐げられて、権利も何も与えれていなくて、鈍重のようでいて、したたかに強いのは、やはり女です。
何やら、その女どもが、同等の権利などを手に入れて、ある程度文化が進み、裕福になったなら、そりやあ、手に負えません。敵うわけが無いのです。
奴らに権利を与えてしまったのが不覚でした。
この映画の封建的な背景。それはそれで問題もあるでしょうが、知らん世代にはどうしたって憧憬を禁じ得ない。

西村晃との夫婦生活ではお互い「お父ちゃん」「お母ちゃん」と仲良くしたりする。これが同年の西村晃・春川ますみ出演作「くの一化粧」でパロディとして使われてるんですね。(先にくの一の方を見たので、後から解った)

ひとつとても気になってしょうがなかったのが息子。日野利彦。何故、子供役に侏儒の役者をキャスティングしたのでしょうか。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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