JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「天使のはらわた 名美」

2016-02-18 | 映画(DVD)
「映画作家 田中登」

「天使のはらわた名美」1979年 日活 監督:田中登

性的暴行の被害者たちをルポする女性週刊誌の記者・名美は・・・。名美の精神が徐々に被害者の闇に浸食されるにつれ映画も暴走。ホラーかスプラッターかというモルグでの挌闘は凄まじく、海外ではカルト的人気に。過去の名美シリーズの名作群のみならず石井隆の原作をも越えようとした田中登に応え、鹿沼えりが体を張って熱演!



ロマンポルノ・シリーズ3作目。
曽根中生・水原ゆうき作品と池田敏春・泉じゅん作品という名作に挟まれるとちょっと弱いように見えたけれど、後半のカルト展開には満足。
実は原作劇画は読んでないけれど、石井隆の劇画イラストをタイトルで使ってみたり、題名通りに「はらわた」を飛び出させるなど、表現がストレートな所は好感。

まずは美人女優鹿沼えり、髪を掻き揚げる仕草がキャラを象徴していて良いね。
今でも根本は変わっていないのかもしれないジャーナリズムの傲慢さを地で行くようなキャラで、強姦被害者に強硬なルポを続けている名美。
読者や本作の観客はいやがうえにもこの女がレイプされるのを期待してしまう。
その期待は村木(地井武男)が代弁してくれるけれども、根はフェミニストなのでからかう程度。
期待している割には、実は看護婦という同性からの暴行とモルグのホルマリンの匂いでもって精神が壊れて行く。確かにホラー・スプラッターな展開ではあるが、楽しみにしていたレイプではないのですね。
精神に異常を来たしてからの妄想ともつかぬ展開こそがカルトであって、編集社内で「夫の眼の前で、今」をも彷彿とさせる祭り展開は見事。
ただ妄想と現実が交錯しながら結局、村木の運命は同じ繰り返し。意外な展開ではあるけれどいささかシツコイ。

脇役陣の女優さんがとても良いのです。
羽田で貧しい人妻となっている、貧困妻が良く似合う良子さんは水島美奈子さん。この人、顔のイメージが今一定着しないんだけれど。
ストリッパー蘭の山口美也子の唇はやっぱりエロい。
草薙良一との掛け合い、白黒ショーは見せ場であり、名美自身も山口美也子さんの眼力に魅了されている。
いまだに強姦魔に要求されるまま関係を続けているモデルさんは、何という女優さんでしょうか。林りえさんで良いですか。覗いていた名美に唾を吐かっけますが、このショットが実に素晴らしい。あんなに唾吐きが決まるシーンはちょっと無いと思う。明らかに映画の唾吐きシーンの中で一番と思います。
オープニングで高田馬場を逃げ惑う方も良いですね。
高田馬場駅は今もあまり変わりが無い。
オープニングショットにインパクト抜群な質屋のポルノ噴水看板はいつの日からかなくなりましたね。お懐かしや。

夕日の使い方が流石の田中登作品。
鹿沼さんの旦那の古尾屋雅人はまたしても強姦青年の役、似合う。後ろから兄貴に犯される変則3Pでした。



シネマヴェーラ渋谷

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