「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

「郵便配達は二度ベルを鳴らす」1981年　米　監督：ボブ・ラフェルソン

南カリフォルニアの寂れた街。道はずれに建つカフェ兼ガソリンスタンドに立ち寄った流れ者フランクは、調理場の中の艶かしい女性コーラに心を奪われる。彼女の夫(カフェの主人)ニックは、フランクの下心に気付かないままスタンドの店員として彼を雇い入れる。ニックの留守を狙ってフランクは激しくコーラに言い寄る。彼女もまたニックとのつまらない毎日に耐えられなくなっていた。

ジェームス・M・ケインの小説で1930～40年代に3度も映画化された物の81年リメイク版。
性描写の自由度が高くなった80年代にリメイク企画が出たのは賢明で、当然上映当時もそちらの方の話題が先行していましたね。
キング・コングのジェシカ・ラングがますます色っぽくなっているというのでTV上映される度に鑑賞したものですが、冒頭のハイライト、厨房での激しい情事シーンを見ると、あとは眠ってしまうかチャンネルを変えちゃってまともに見た事は無い。
一度くらいはちゃんと見ましょう・・・

なるほど、こういうストーリーでありましたか。ストーリーとしてはなかなか面白く、何度も映画化されている事に納得。
でも、やっぱり前半のジェシカ・ラングが全てですな。
強姦から和姦に至る「Come on」の厨房も良いですが、そこまでに至る立ち働くコーラの薄手ブラウスにスカートの後姿をフランク（ジャック・ニコルソン）が覗き見る視線で追うシーンが最高にエロです。いい尻してます。

同居の亭主の目を盗み抱擁接吻、呼ばれた声で去る時の仕草・・・
間男物の傑作ですね。

性描写の自由度がもっともっと上がった現在、5回目のリメイクをしても良さそうですが、この80年代の自由度の按配が捨てがたい物であります。ほとんど脱がずにこれだけやる所が凄いです。ヘア出してますが・・・。クラシックな下着、伝線したストッキング。

ブラックジャックの一撃を見舞わすコーラ、全快パーティで振る舞うコーラ、転落を装うために殴打されるコーラ、裁判でのゴタゴタと巧妙な取引に翻弄されるコーラ、一人店で忙しく立ち働くコーラ、母親の死によって改心し子供を欲しがる喪服のコーラ、フランクの浮気に激しく嫉妬するコーラ、車でいちゃつくコーラ（2度ある）、即死するコーラ・・・
ストーリーが面白い割には心理描写が軽いので、どうしても情事シーンばかりが目立ちますが、それでこの作品は良いのでしょう。実際ヒットしたし。
テレビ上映の度にしていた鑑賞方法は間違いでは無かったとも言えます。

原作に当たるのは面倒だけれど、40年代に撮られた2本でサスペンスが楽しめるのなら観てみたいですね。

それにしてもフランクが浮気したサーカスの女って何だ。奇っ怪だ。