昨日に続き歪な医療業界についてです。
どんな歪さなのかを医師の供給面に絞って思いつくままに列挙してみます。
1.医科系大学の定員が一校当り1学年100名前後に縛られており、医師供給数が最初から抑えられていること
2.全国ベースでは8,000名程度の医学部定員になるが、その数が妥当なのかといった検証が未だになされていないこと
3.また、勤務医数と開業医数それぞれが妥当なのかの検証もされていないこと
4.政府を中心に、医学部定員増といった医師不足への対策や医師の地域偏在是正の対策を進めているようであるが、効果が現れるのは相当先の話になること
5.数自体は増えても、早急に増員が必要な勤務医(特に救急、小児、産)が増える保障のないこと
6.開業の自由は保障されたままであること
7.誰でもが受験できる司法試験とは異なり、医師国家試験の受験資格は医学部卒業が必須となっていること
等々です。
一つの業界としては、全くのクローズで極めて歪な異例な業界です。
その結果として今日本で起こっている地域医療崩壊は、国民・患者としては到底納得の行かない状況です。少なくとも国民・患者の責任ではありません。
根本的な問題は、やはり「医師の供給システム」にあると考えます。
医科系大学の定員を絞るとともに、医学部卒業生しか医師国家試験が受けられないシステムが存在する以上、医師の供給不足は解消しません。なお、人口が激減する30年後には解消していると思われますが、そこまで待てません。
このシステムは、問題を孕みながらも長い年月をかけて確固たるものになっており、一朝一夕に変更できるような生易しいものではありません。が、供給サイドの問題のツケを需要サイドの国民・患者に回してもらっては困ります。
ここまで医療崩壊が進んでいます。変な意味ではなく、むしろこれを最後のチャンスと認識したうえで、供給サイドのシステムを作ってきた責任者(政府、医師会、大学等)が性根を入れて再構築を果たして欲しいものです。
勿論、それを許してきた国民・患者にも一端の責任があることも否定しません。
「設備もマンパワーもなくても医者なんだから助けろ」牟田口派
「医者の過労なんて知らない自分たちの命だけが大事」自己中モンスター派
「医者なんだから専門外もすべて治せ」医師は神だよ派
「ドラマや漫画のような医者はいないの?」ドラマ見すぎ派
「たらいまわしを防ぐには連携システムを作ればいい」システム固執派
「医者不足なら海外から連れてくればいい」他力本願派
「医療崩壊ってなに?一般人の俺には関係なくね?」無関心派
…。
……。
………。
…こんな人間がワンサカいる日本、医療が崩壊しないほうが不思議というものです。
「たらい回せる病院」が無くなれば、「たらい回し」も無くなります。
国民がそれを望んでるんだから、仕方が無いですよね。
↓
太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中。
2008年2月1日提出マニフェスト
「国が病院を格付けし最低ランクの病院をつぶします」
http://www.ntv.co.jp/souri/manifesto/20080201.html?PHPSESSID=7fa533febd1c154e7ea1a383e00a1af7
一般視聴者の投票結果
反対:30% 賛成:70%
医療崩壊は国民の自業自得でしょう。
ご指摘はごもっともです。その通りだと思います。質を確保したうえでの医師数増加でなければ、却ってマイナスの話になります。
政府に対しては、国民経済的な大きなスケールで量と質の確保の議論をして欲しいし、医師会にもそこに積極的に参画して欲しい。診療報酬による利益誘導的な政策はもううんざりです。
医学部定員8,000人の議論も必要です。適性な人材は限りなく存在します。勤務医に光を当てる政策も必要です。国民サイドも勤務医を盛り立ててゆくマインドが必要です。財政も考慮が必要です。その他諸々です。
理想郷と批判されるかもしれませんが、実現不能と思われるような高いハードルが厳然と存在しつつも少しでもそこに近づけるため国民を含む関係者が全力を尽くすことしかありません。
その意味では、医師会批判ばかりしている私も大いに反省させられるものです。
誤解を恐れず敢えて独断と偏見で記事を書いてはいますが、今後ともご指導方よろしくお願いします。
これは、「医師を養成するシステムが閉鎖的で敷居が高いこと」という解釈でよろしいでしょうか?
この主張が正しいのなら、医者の資格を取る敷居を低くすれば、そのアンバランスは解決することになります。
誰でも筆記試験を受けることができ、合格点を取っていさえすれば医師を名乗ってよいとするのです。
医者に限らず、弁護士、会計士、教師など国家資格が必要な職業は幾つもあります。
この理由は、これらの職業は、我々が生活する上で欠かせないものなので、受験資格や試験を設けることで国が一定以上の質を担保する、という側面があります。
司法試験は誰でも受験できる、というのは間違いです。新司法試験の受験は法科大学院卒業が条件ですし、新旧問わず合格率は医師試験よりずっと低いはずです。
言ってみれば医者などよりよほど敷居が高い世界なわけです。それでも司法試験が難関であるのは、やはり、人が人を裁く、と言う行為を
いい加減な人にやってもらってほしくないからでしょう。
医療の世界も然りです。簡単な資格試験に受かっただけで医者と名乗れるのならば、どうやってその質を確保できるのでしょう?
モンスターはどの業界にも存在します。教育、デパート、住宅 等々あらゆる業界にモンスターが存在します。だからと言って、その業界が崩壊するわけではありません。むしろ、モンスター的クレーマーの存在を前提としつつ、各業界各社が知恵を絞って悩みながらも、非合法なモンスターに対しては法的措置も念頭に入れ、対応しているのです。
医療業界のモンスターは他業界に比して少ないとも思います。やはり「お医者様」ですし命を託している「先生」だからでしょう。
供給と需要のアンバランスを作り出してしまった旧来のシステムを議論するに、モンスター議論は出来れば避けたいものです。
貴方の意見だと、医療崩壊の全ては、「医者の供給システムが閉鎖的であること」が原因であるかのようです。ここは、私の考えとはまったく違うところです。
私は、「マスコミの医療バッシング、医療は無謬であるべきと言う歪んだ認識」が医療を萎縮させ、問題を深刻化させていると思います。
つまり国民、患者側にもに医療崩壊の責任の一端は存在すると考えます。
医療業界に限らず色々なお客様が存在します。各病院には、ご指摘のような掲示がありますし、入院時誓約書のなかにも同様の記載がなされています。モンスター ペイシェントは病院経営上結構きついものがありますが、法的対応も念頭に置きながら、冷静に粛々と対応するしかないと思っています。
ただ、この話と私の言う国民・患者の責任ではないという話は全く別の話です。
とのご意見ですが、
医療崩壊と言われる一因に、「医療機関や医療従事者に理不尽な要求やクレームをつける」患者がいることをご存知の上での発言でしょうか?いわゆるモンスター ペイシェントのことです。
県内の某有名病院(県立医大とは関係なし)の待合室にも「暴言や誹謗中傷行為を行う患者には、退去を命じる。応じない場合は通報も辞さない」との張り紙があることをご存知ですか?