いい女よりもいい男の数は少ない

男の恋愛ブログです。
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初恋

2019-01-17 22:33:21 | 日記
その男は高校時代はラグビーに明け暮れた。彼女もいた。地方での生活は順調だった。ラグビー部の先輩の事を好きになるまでは。

「オレは、男が好きなのか?」

戸惑いはあったが毎日部活はあり、毎日好きな先輩と会えて幸せだった。チームメイトとして抱き合ったし、ふざけてキスできた。幸せだった。そして東京の大学に進学した。

彼女とは遠距離になり別れた。東京での一人暮らしは寂しかった。東京でもラグビーを続けたが、高校時代のラグビーの方が楽しかった。先輩がいたからかもしれないし、東京の人とはあまり合わないからかもしれない。寂しさを紛らわす為にゲイのアプリに登録してみたが馴染めず放置した。

新宿2丁目に行く事もなくゲイのイベントに行く事もない。ただ毎日が大学かラグビーか、そんな感じで過ぎて行った。時々やりたくなった時だけアプリで近場の相手を漁ったが、会う相手のほぼ全員から好きだと告白された。

「ずっと1人でいいかな」

セフレと呼ぶような相手を作る気もなく、彼氏も作れなかった。ゲイの世界にどうしても馴染めなかった。地元に帰りたいとよく思っていた。カッコいいと言われてもあまり嬉しくはなかった。ラグビーに明け暮れて、ただただマッチョな彼はその存在を知られることなく生きていた。彼を世に知らしめたのは何となく始めたInstagramだった。ゲイだけでなく女性フォロワーも増え、なぜこんな男性が今まで気付かれずにいたのだろうと不思議がられた。

「どう、気分は?」

「分からないです、ジムでも声かけられるようになりましたし」

誰もがインスタで見た事がある有名なイケメンは、現在は社会人になった。相変わらず彼氏はいないが東京に染まっていないところが凄いと思う。のんびりした感じというか、地方から来たまま変わらず大人になった感じだろうか。一緒にケーキを食べに行って彼の話を聞いていると、何だかオレも幸せになった。