白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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女流棋聖戦挑戦者決定戦&AlphaGo Teach

2017年12月11日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は第21期ドコモ杯女流棋聖戦行われました。
上野愛咲美初段奥田あや三段の対決は、早碁らしく激しい戦いになりました。
なお、棋譜は幽玄の間で中継されています。



1図(実戦)
黒番の上野初段、右下の2間締まりに加えて黒×の肩ツキと、AlphaGo流の打ち回しです。
上野初段はまだ16歳と若いこともあり、かなり影響を受けていそうですね。
赤印あたりに巨大な勢力圏を作ろうという、雄大な作戦と言えます。

そして、ここから白が右辺に打ち込んだ手も目を引きました。
あえて弱い石を作りに行ったようにも見えましたが、奥田三段は仕掛けるチャンスがあれば躊躇なくやっていくイメージがあります。
実戦も「らしい」打ち方だったでしょうか。

後に左辺で乱戦になりましたが、白は何か誤算があったのでしょうね。
いっぺんに形勢が悪くなってしまいました。
早碁の怖いところですね・・・。

これで上野初段は謝依旻女流棋聖への挑戦権を得ました。
入段当初からバランスの良い碁を打っていたので、早いうちに出てくることは分かっていました。
勢いも実力もある若手ですが、謝女流棋聖も最近勢いをつけたばかりです。
好勝負が期待できますね!


ところで、AlphaGoと言えば、またニュースがありました。
AlphaGo学習ツールがリリースしました!
まあ、確かに前から出るという話はあった気がしますが・・・。

これは天頂の囲碁のような検討機能ではなく、布石のモデルと評価値を示すもののようですね。
最初の画面を見てみると、初手の時点で既に評価値47.1が最高ですね・・・。
AlphaGo同士の対戦では白番の勝率がかなり高いので予想はできましたが、コミ7目半ははっきり白有利ということですね。
また、天元打ちの評価が非常に低いです。
私の感覚では天元に打ったとしても2目は損しないだろうと思っていましたが、どうやらAlphaGoは2目以上の損とみていそうですね。

もっとも、これはあくまでAlphaGo同士が打った場合という前提があります。
プロに人気の流行定石をアマが真似しても、互角にはならないことが多いですが、それは使いこなすための知識や技量が足りないからです。
そして、それはAlphaGoの打ち方にも当てはまるでしょう。
評価値はあくまで参考程度にして、皆様には自由に碁を打って欲しいですね。
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