白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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囲碁の棋力

2017年11月12日 21時18分52秒 | 囲碁について(文章中心)
皆様こんばんは。
今年の秋はずいぶん暖かいと思っていましたが、最近急に冷え込むようになりましたね。
風邪を引かないよう、気を付けておきましょう。

さて、本日は囲碁の棋力についてのお話をしたいと思います。
勝ち負けのある個人競技では、大抵は強さを示す指標が必要となります。
と言うのは、ナンバーワンを決めさえすれば良いというシーンはともかく、一般的には始まる前に勝ち負けが決まっている試合は面白くないからです。
そういった試合をなるべく作らないため、実力の近い者同士を対戦させたり、実力が離れていればハンデをつけたりします。

多くの競技の中で囲碁はどうかと言えば、比較的適正なハンデを付けやすいゲームだと思います。
最も適正なハンデを付けやすいのは、やはりゴルフなどの個人競技でしょうか。
対戦相手が自分の邪魔をすることはまず無く、あくまでも自分がいかに頑張るかという競技です。
囲碁は1対1の競技である分、相手によって揺らぎが生じる余地はありますね。
ただ、本人の着手を全て棋譜という2次元の情報にまとめられるという点では、実力を客観的に判断しやすいでしょう。

囲碁のプロの段位は、初段から九段まであります。
近年では、これは実力とイコールではありません。
ただ、プロの世界に入った者は初段からスタートし、活躍を重ねた先の最終到達地点は九段であるという点においては、今も昔も変わりません。
これは、碁に縁の無い方にも理解しやすいでしょう。

難しいのが、アマチュアのレベルです。
アマのレベルはプロの世界の数十倍の幅があり、ちょっと基準を間違えると対等な勝負が成立しなくなる可能性があります。
今回はその点について考えていきましょう。

現代のプロの世界において、初段と九段の手合割は3子です。
これは初段が強くなった現代では通用しない基準ですが・・・。
江戸時代ではその幅はさらに大きく、初段と九段の差は4子だった時代もありました。
まあ何にしろ、プロの世界では実力差は最大4子まで、と言っても良いでしょう。

ただ、アマの世界では事情が違います。
ルールを覚えたばかりの何十級レベルから、プロに近いレベルまでと非常に幅広いです。
この両者の間では、真剣勝負はまず成立しません。
何故なら、うわ手はした手が間違える場所を分かっているからです。
ですから、した手が置き石を何十個置いても、うわ手がその気になれば負かされてしまうのです・・・。

というわけで、対等の勝負を求めるならば近いクラスの相手と打つ必要があります。
そこで、私なりのクラス分けのイメージをご紹介しましょう。

<入門>ルールを覚えたばかりの方々。生き死にを理解しているかによって、50級~25級
<初心者>囲碁を自力で終局まで打てるようになった方々。25級~20級
<初級者>生き死にの概念をなんとなく理解した方々。ただ、囲碁のセオリーや石の形はまだあまり分かっていない。
<2桁級>19級~10級。19路盤で打っても、それなりに形になってくる。ただし読みは3手ぐまでであり、まだ頭の中で碁盤をイメージする力が無い。
<1桁級>10級~1級。囲碁とは何をすれば良いゲームなのか、なんとなく分かってくる頃。ただ、ここで基本を正しく身につけておかないと停滞しやすい。初段になれるかどうかは、アマチュアにとって大きな壁である。
<有段者>初段~四段ぐらい。基本をきっちり身に付けることができれば、誰でもここまでは到達可能。現実には学び方を間違えている方が多く、ここまで行けない方も多い。
<高段者>碁会所五段~七段ぐらい。基本を身に付けた上で、それを応用できなければここまで到達できない。ある意味ではプロ的な思考方法も必要になってくる。
<県代表クラス>碁会所七段以上。プロの世界に片足を踏み入れている。プロとの真剣勝負での手合割は4子~逆コミぐらい。
<全国常連クラス>ここまでくるとほぼプロレベル。プロとの手合割は2子~互先。

細かい数字はともかく、大体このような感じでしょう。
当然ながら、下に向かえば向かうほど1クラス上げることの難易度は上がりますが、上の方であればコツを掴めばあっという間にクラスは上がります。
5級、10級離れていると、とてつもない差に感じるかもしれませんが、それは錯覚なのです。
自分の可能性を信じて、頑張って欲しいですね。

なんだかまとまりの無い内容になった気がしますが、少し飲み過ぎたでしょうか。
次回は手合割についてお話ししようと思います。
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