<本日の一言>
ドコモ杯女流棋聖戦は、鈴木歩七段(36)が牛栄子二段(20)を破って挑戦権を獲得しました。
鈴木七段は言わずと知れた実力者ですが、タイトル戦登場は久しぶりですね。
冷静な鈴木七段とハンマーパンチの上野愛咲美女流棋聖の対局は、どんな内容になるのでしょうか?
皆様こんばんは。
昨日は更新をお休みしました。
家に帰ってパソコンを起動したところまでは覚えているのですが、気が付いたら朝になっていました。
対局の方は気持ちとは裏腹に、後悔ばかりの内容になってしまいました・・・。
しかし、運良く勝てたので年間成績はまた打ち分けになりました。
再来週の対局で勝ち越しか負け越しか決まりそうです。
さて、本日は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継された名人戦予選、杉内寿子八段(92)と福井正明九段(75)の対局をご紹介します。
1図(実戦)
杉内八段の黒番です。
黒△と1間に構えた手に注目しました。
この手で何も考えなければ、バランスの良さそうな黒Aの2間でしょう。
黒×と白×の中間地点ですね。
ただ、それだと右上白に対して当たりが弱い意味があります。
実戦は右上白を厳しく攻めたいという、杉内八段の意思を感じる一手でした。
2図(実戦)
また、白1に対して黒2とカカリを急ぎ、白3の渡りを許したのにも驚きました。
普通、こうしたところはとりあえず黒3と遮るものです。
想像ですが、杉内八段は左上で後手を引き、右下白2あたりに回られることを懸念したのではないでしょうか。
すると白Aの切りを狙われるのですが、それを一手かけて守るのでは悔しいということだと思います。
杉内八段はただ守るだけのような手を嫌います。
3図(実戦)
どうやら杉内八段は、この手を打ちたかったと見えます。
右上白の眼を完全に奪う急所ですね。
この後、白Aには黒Bとつないで何の問題もありません。
しかし、もし黒×がCの所にあると、白A、黒B、白Dと切る味が生じます。
ここまで考えたうえで、先の黒×を選択したのではないでしょうか。
4図(実戦)
黒1と押さえ、下辺を大きく構えれば白2と入らざるを得ません。
そこに黒3、5と攻めかかりました!
右上白との絡み攻めまで視野に入れた、壮大な作戦です。
5図(実戦)
黒が有利な戦いに見えましたが、白に上手くかわされました。
ここは黒がやり損なったでしょうね。
とは言え、形勢が悪くなったわけではなさそうです。
6図(実戦)
黒1、3は実に厳しい打ち方です。
ただ、おそらく何か錯覚があったのでしょう。
白6の後に、黒AかBと打って白×を取りにいく予定だったと思いますが、上手くいきません。
実戦は軌道修正して黒Cと打ちましたが、中央の黒が取り込まれてしまれては大損になりました。
形勢は白が良くなったでしょう。
7図(実戦)
しかし、杉内八段は92歳にもかかわらず寄せが安定しています。
例えば、この黒1は地味ながら要点です。
白をへこませつつ、Aの所に弱点を作りました。
8図(実戦)
そして、そつなく黒△の切りも入れました。
Aの弱点との関連があり、白はBと取るしかありませんが、黒が僅かに得をします。
ベテランになると、細かいところがおろそかになっていく傾向があるのですが、杉内八段は最後まで集中力を保って打たれます。
結果は黒2目半勝ちでした。
この碁が小寄せに入ってから見学に行ったところ、杉内八段は既に秒読みに入っていましたが、その時間帯でも美しい対局姿勢を保たれていました。
日頃の節制の賜物なのでしょうね。
私も見習わなければ・・・。
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