白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

囲碁との付き合い方

2018年08月27日 23時58分25秒 | 囲碁について(文章中心)
<本日の一言>
自動運転の実用化が、着々と近付いてきているようですね。
既に技術よりも、文化やリテラシーの問題がクリアできるかどうかの段階になっていると思います。
人間よりずっと確率が低くても、AIが人を殺してしまうことを世の中は受け入られるのでしょうか?


皆様こんばんは。
本日はアマチュアの方のある悩みにお答えしたいと思います。
それは、「棋力が停滞していて、勉強が楽しめなくなってきた」というものです。

そもそも、囲碁とは何でしょうか?
ある人は「ゲーム」と答えるでしょう。
対局すること、あるいは観戦すること自体を楽しんでいます。

しかし、もう1つの面もあって、それは「競技」です。
技術というものがはっきり存在するゲームですから、自分の能力を高めることには喜びを感じる人もいるでしょう。

多くの人は、両方の面を楽しんでいると思います。
対局や観戦を楽しむ一方で、棋力が上がればそれもまた嬉しいものです。
しかし、どちらを重視しているかは人それぞれです。
対局さえできれば幸せという人は、熱心に詰碁を解くようなことはないでしょう。
棋力向上を第一に考えている人は、対局しながらも常に上達方法を探っているでしょう。
正しい楽しみ方というものは無く、どちらを選ぶべきかはその人の価値観によるでしょう。

ただ、対局を楽しむということに関しては級位者も高段者もあまり変わりないでしょうが、棋力向上という面では大きな違いがあります。
棋力が上がる度に、上達のペースが遅くなっていってしまうのですね。
私の例で言えば、覚えてから1年で3段になったのに、今は1年でコミ1目強くなることにすら苦労しているわけです(笑)。
まあ、それは極端な例としても、強くなればなるほど自身の上達を実感する機会は減っていくことは間違いありません。
これは囲碁の上達を目指す時、必ずついて回る問題です。

対局や観戦を楽しむことがメインという方は、さほど困らないのです。
棋力が上がらなくても、十分楽しめるのですから。
しかし、囲碁を競技として考えている方には重大な問題です。
段々楽しみが減っていくのですから・・・。

この問題を、こうすれば必ず解決できると言える方法はありません。
なにしろ、その人の価値観の問題です。
ただ、私は競技の道をずっと歩いてきたので、この問題にも長く向き合ってきました。
私なりの答えは、「新たな楽しみを見付ける」ということになります。
実際に私が採用してきた方法をいくつかお伝えしましょう。

①勉強自体に楽しみを見出す
この勉強をしなければいけない、と思って取り組むと楽しくないものです。
この際、バランスなどは考えず、これなら楽しめると思える勉強方法だけを選んで取り組むのも1つの方法だと思います。

②勉強を休んでみる
目標も目先の勝ち負けも全て忘れ、ただひたすら対局に明け暮れてみます。
勝たなくて良いのですから、やりたい放題です。
束縛から解放された時、囲碁の楽しさを再確認できるかもしれません。

③しばらく囲碁から離れてみる
最終手段ですが、これも1つの方法です。
無理に苦しみに耐える必要はありません。
しばらく休んで、またやりたくなった時に始めれば良いのです。
久しぶりに囲碁に触れた時、やっぱり楽しいと思えるようになっているかもしれません。

いずれの方法も、それなりに効果があったと思います。
皆様が実践して上手くいくかは保証できませんが、何かの参考になれば幸いです。
コメント
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